海外感染症情報 (NO.133)
平成25年10月2日
関西空港検疫所
アフリカの角地域における野生株ポリオウイルス(2)
 10月1日付で世界保健機関(WHO)から公表された情報によりますと、3人が南スーダンで野生ポリオウイルス1型(WPV1)に感染した疑いがあり、現在調査中です。3人とも女児で、うち2人は2歳前後で、1人は8歳です。3人とも以前に経口ポリオワクチンの接種を受けていました。

 患児2人が(スーダンの国境と接した)北バハル・アル・ガザール州からの発生で、もう1人は(ケニアとウガンダ国境に接した)東エクアトリア州からの発生です。8月15日から24日の間に、麻痺状態になりました。分離されたウイルスの起源を決定し、検査結果の最終確認を提供するために遺伝子解析が現在行われております。
アフリカの角地域では現在WPV1の流行が拡がってきており、ソマリアで191人、ケニアで14人、エチオピアで3人の患者が発生しています。前回のアフリカの角地域でのポリオウイルスの流行により、南スーダンでは再感染の危険性が高いと考えられていました。今年、南スーダンでは3月と4月に2回、全国の予防接種日(NIDs)を実施し、加えて11月と12月に再びNIDsの実施予定です。地域での予防接種日(SNIDs)は8月に実施されました。

 緊急時の流行に対応するための危機管理計画は、感染地域とその周辺に即時の補足的な予防接種対応(SIA)を含めて、現在まとめています。

 地域当局による更なる調査、集団感染に適切に対応するための計画、感染の可能性のある患者への積極的な調査のために国際的な専門家チームが南スーダンに雇われました。

 近隣のスーダンやウガンダでも全人口の免疫水準を決定するために予防接種率が評価されています。免疫水準の差を埋めるために、必要に応じて追加のSIAsが行われる予定です。ウガンダはSNIDsを今年1月と9月に行い、追加のSNIDsを10月に、NIDsを12月に計画されています。スーダンは今年11月と12月にNIDsを計画しています。ソマリア、ケニア、エチオピアでは流行はまだ続いています。

 いかなる新たなウイルスの輸入を迅速に検出し、迅速に対応するために、ポリオが常在しない全ての国々、特にポリオウイルスの感染が起こっている国・地域と頻繁に往来がある国で急性弛緩性麻痺(AFP)の監視を強化することが重要です。また、国や地域では、新しいウイルスの輸入を最小限にするために、地区段階で定期予防接種の接種率を高い水準で維持する必要があります。

 WHOは、アフリカ地域事務局と東地中海地域事務局を通じて、この地域全体において、国の集団感染に対する緊急対応活動計画の策定と実施を支援し続けています。

 WHOの国際渡航と健康は、ポリオの発生地域に行くすべての渡航者と、発生地域から出るすべての渡航者に対し、ポリオワクチンを規定の回数分接種することを推奨します。
(2013年10月1日 WHO報告)