海外感染症情報(NO.170)
平成25年12月12日
関西空港検疫所
中国における鳥インフルエンザA(H7N9)について(35)
 11月28日と12月6日、中国・国家衛生・家族計画(出産)委員会は世界保健機関(WHO)に、鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)の新たな診断確定例を2例報告しました。

 最初の患者は浙江省の57歳の男性で、11月20日に発症し、25日に病院受診しました。現在、重篤な状態です。

 次の患者は30歳の浙江省の男性で11月29日に発症し、12月5日に病院受診しました。その男性も現在、重篤な状態です。彼は上記の57歳の男性の義理の息子にあたります。

 12月2日と6日に香港のCHP(衛生防護中心)は、WHOに鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)のヒトへの感染確定例を2例報告しました。

 最初の患者は36歳の女性で11月21日に発症し、27日に病院受診し、29日に集中治療室に転室しました。現在、重篤な状態です。女性は広東省・深圳に11月17日まで滞在しており、調理し、食べるために生きた鶏を屠殺しました。調査は現在進行中で、家族を含む身近な接触者は、これまでのところ鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)は陰性です。

 次の患者は80歳の男性で慢性疾患の既往があり、家族とともに深センで暮らしており、12月3日に深センから香港へ闘病目的で旅行しました。12月3日に香港の病院に入院、受診時は熱がありませんでしたが、6日から発熱症状がありました。現在の状態は安定しています。調査は現在進行中で、家族を含む身近な接触者はこれまでのところ鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)は陰性です。この香港での2例の間に疫学的なつながりはありませんでした。

 これまでのところ、持続的なヒト-ヒト感染の証拠はありません。

 WHOは、入国時の特別なスクリーニング検査の実施および渡航や貿易を制限することを推奨していません。

(2013年12月10日 WHO報告)