海外感染症情報 (NO.20)
平成25年4月4日
関西空港検疫所
中国におけるインフルエンザA(H7N9)について(2)
 中国国家衛生計画出産委員会は世界保健機関(WHO)に、あらたに4人のA(H7N9)患者を報告しました。4人は中国東部の江蘇省の住人ですが、お互いに接点はありません。45歳女性と48歳女性は3月19日に、83歳男性は3月20日に、32歳女性は3月21日に発症しており、いずれも重篤な状態です。
 現在まで中国で確認された患者数は7人となりました*。先に上海市と安徽省で確認された3人のうち2人は死亡しています。江蘇省での4人に濃厚接触をした160人が監視中ですがこれまで有症状者は出ていないとのことです。先の報告ケースの1人と接触した人2人について後ろ向き調査が行われています。この2人は有症であり、うち1人が死亡し、1人は回復していますが検査では同インフルエンザへの罹患であったかどうか確認されていません。
 中国政府は早期発見、診断、治療のために強化されたサーベイランスと活発な調査を実施しています。人畜の保健部門と産業部門との情報共有が強化されています。政府は国民に対して手洗いの励行、病鳥や死鳥との接触をさけるなど良好な個人衛生状態の維持につとめるように忠告をしています。
WHOは同国の専門家と接触をとっており、今回の出来事をくわしくフォローしています。
 現在のところこの亜型にたいして有用なワクチンはありません。中国のWHO共同研究所からの報告ではノイラミニダーゼ阻害剤には感受性がありそうとのことです。
 現時点ではヒト-ヒト感染が起こっているという証拠はありません。
 WHOは現時点では入国の際に特別のスクリーニングを実施することを推奨はしていません。また旅行や交易の制限も推奨はしていません。
 

*本情報が公開された時点ですでに新たに2人の患者発生が追加されています。

(2013年4月3日WHO報告)