(No.168)

スーダンでの黄熱の流行 平成25年12月4日更新

 12月3日スーダンの連邦保健省は、世界保健機関(WHO)に西コルドファン 州と南コルドファン州の12地区で黄熱の疑い患者が発生したことを報告しました。患者が発生したのは西コルドファン州のLagawa、Kailak、 Muglad、Abyeiと南コルドファン州の Elreef Alshargi、 Abu Gibaiha、 Ghadir、 Habila、 Kadugli、 Altadamon、 Talodi 、 Aliriです。

 10月3日から11月24日までの間に44人の疑い患者が発生しており、うち14人が死亡しています。連邦保健省が行った現地調査では最初の疑い例はスーダンの東部出身で10月を西コルドファン州のアラビアゴム農園に滞在した季節労働者たちであることが報告されています。その後、疑い例は西と南コルドファン州の両方で地方に在住している人達の中で報告されました。現地調査で徴集された疑い例の血液検体は、ハルツームの連邦保健省の国立公衆衛生研究所で行われた検査IgM ELISA 試験で、黄熱陽性と診断されました。血液検体は後にWHOの黄熱の地域レファレンスセンターである、セネガルのパスツール研究所でプラーク減少中和試験(PRNT)によって確定診断されました。昆虫学調査も現地で実行され、黄熱の媒介蚊であるネッタイシマカもその地域から見つかっています。

 WHOは連邦保健省を支援し、特にダルフール(スーダン西部)に隣接する地域や、南スーダンだけでなく、季節労働者の仕事が終わった後に戻り始めているこれらの地域(スーダン中央部のコルドファン地域)でも、サーベイランスの強化や積極的に患者発見に努めています。これまでのところ疑い例は、これらの地域のいずれかから報告されています。連邦保健省は、新たな発生例を予防するために黄熱が発生している地域でリスクのある人々に対し、緊急集団予防接種キャンペーンを実施することを計画しています。WHOの国別事務局は連邦保健省と共に、集団予防接種キャンペーンを準備するためにワクチンの提供に関する国際調整グループ(YF-ICG)に正式な要請を出しています。

 去年の年末に、スーダンのダルフールで起こった黄熱の流行は849人の疑い例、うち171人が死亡しています。(致死率20%)ダルフールの5つの州で約500万人がその流行に応じて、黄熱の予防接種を受けました。2005年に南コルドファンの遊牧民が多い地域で黄熱の流行がありました。その流行で615人の疑い例が発生し、うち183人が死亡し(致死率30%)、約160万人をターゲットとした緊急予防接種キャンペーンが流行を抑制するため行われました。

(2013年12月3日WHO報告)