海外感染症情報 (NO.21)
平成25年4月5日
関西空港検疫所
中国におけるインフルエンザA(H7N9)について(3)
 今月4日中国の保健当局は世界保健機関(WHO)に対して、インフルエンザウイルスA(H7N9)へのヒト感染確定例4人、うち3人が死亡したことを新たに報告しました。
 3人の死亡者は、3月7日に発症した浙江省の38歳の男性、3月29日に発症した浙江省の64歳の男性、3月28日に発症した上海市の48歳の男性です。
 4番目の患者は67歳浙江省の男性で、3月25日に発症し、現在重篤な状態です。
確定患者の間に疫学的な繋がりはありません。 これまでに、中国でのインフルエンザウイルスA(H7N9)の確定例は11人になり、うち5人が死亡しています。400人以上の確定例に対する濃厚接触者を密に監視していますが、今のところこれらの接触者から新たな発症者はいません。
 中国政府はこの出来事に対し積極的に調査を行っており、また病気の監視を強化しています。重症呼吸器感染症の最近報告された症例に対する後向き調査により、以前は分からなかった追加例が明らかになることがあるかもしれません。国家衛生・計画出産委員会と共に協調し、農業省やその他の関係省庁が加わって、政府間の専門調査団が正式に設立されました。動物保健担当部門では、感染源やウイルスの保有宿主に関する調査を強化しています。
 WHOは同国の専門家と接触をとっており、今回の出来事を注視しています。
 現在のところ、この亜型にたいして有用なワクチンはありません。中国のWHO共同研究所からの報告では、ノイラミニダーゼ阻害剤(オセルタミビルとザナミビル)には感受性があると示唆されています。
 現時点ではヒトからヒトへの感染が起こっているという証拠はありません。
 WHOは現時点では入国の際に特別なスクリーニング検査を実施することを推奨はしていません。また渡航や貿易の制限も推奨はしていません。


(2013年4月4日WHO報告)