海外感染症情報 (NO.83)
平成25年6月18日
関西空港検疫所
鳥インフルエンザ A(H5N1) ヒト感染例報告(4)
 2003年から2013年6月4日までに、鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)に感染し確定診断された患者は、15か国から630人、うち375人が死亡したことが世界保健機関(WHO)へ公式に報告されています。
 4月26日以降、新たに2人の確定患者が報告されました。カンボジアで1人、エジプトで1人が報告されました。患者調査の結果、患者は散発的に発生し、今後も散発的に発生すると予想されています。
 カンボジアでは、新たに1人の患者が報告されましたが、この患者は発熱サーベイランスの研究で発見されました。この患者は回復しました。今年、カンボジアでは、鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)に感染した患者は11人と報告されており、患者はカンボジア南部の5州で発生しました。これらの患者に疫学的な関連はないようです。また、ほとんどの患者が村で病気になった家禽との接触がありました。

表1.4月27日から6月4日までの間に報告された鳥インフルエンザA(H5N1)感染例
発生国 地域 年齢 性別 発症日 入院日 死亡日 抗インフルエンザ薬
治療開始日
曝露(鳥類との接触)
カンボジア コンポンスプー州 5歳 女児 1月28日 - 不明 なし 不明
エジプト ソハグ県 25歳 女性 4月25日 4月29日 5月5日 5月1日 発症した家禽または
死んだ家禽から
鳥インフルエンザA(H7N9)について
 中国は2013年3月末から鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)のヒトへの感染例を報告しています。5月29日以降、新たな感染者は報告されていません。最後に報告された患者は5月21日に発症しました。


潜在的に公衆衛生への影響を持つ高病原性鳥インフルエンザの動物におけるアウトブレイク
 全体的に、動物におけるインフルエンザの流行の公式報告によりますと、予想される流行レベルの範疇です。北半球では夏季の到来とともに鳥でのインフルエンザの報告数は減少すると予測されます。中国での鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)のヒトへの感染例が出現したこと、家禽でこのウイルスが存在することにより、同国とその近隣国や全世界的にヒトと動物の両方において、鳥インフルエンザウイルスの様々な亜型に対して強化サーベイランスが行われています。したがって、様々な亜型や再集合体ウイルスによる感染が同定されるのと同様に、ヒトや動物において鳥インフルエンザウイルスAH5型やH7型がより検出され、報告されることが期待されます。
(2013年6月4日 WHO報告)