海外感染症情報 (NO.9)
平成25年2月14日
関西空港検疫所
新型コロナウイルス感染確定例報告(2)
 2013年2月13日英国は新型コロナウイルス感染確定例が出たことをWHOに報告しました。患者は英国在住で同年2月11日に感染した人の親戚にあたります。この患者は最近外国への渡航歴はなく、現在集中治療室で治療されています。患者には基礎疾患があり、呼吸器感染症に罹患しやすい状態であったかもしれないと考えられています。

 渡航歴のない患者に新型コロナウイルスが確認されたことから、今回の患者は英国内で感染したということになります。現時点では、ヒトからヒトへの感染の根拠は限られています。この症例は、現在の根拠からはヒトからヒトへの感染が示唆されていますが、持続的にヒトからヒトに感染する危険性はきわめて低いと考えられます。英国健康保健局(HPA)は2人の患者に接触した可能性のある人全て(患者家族と医療者)について経過観察しています。

 2月13日の時点で新型コロナウイルスのヒトへの感染確定例は11例であり、2012年4月以降5人が死亡しており、死亡者数は変わっておりません。

 現在の状況と入手可能な情報に基づき、WHOは全ての加盟国に対し、急性重症呼吸器感染症(SARI)に対する監視の継続と、通常でない病状経過等について注意深く調査するよう促しています。説明のつかない肺炎患者、あるいは治療に反応しない重症、進行性の、または合併症を併発したような患者では新型コロナウイルス検査を検討すべきだとしています。

 重症呼吸器感染症の集団感染、あるいは医療従事者に見られた重症呼吸器感染症の場合は、それが世界のどこで起きたとしても、徹底的に調査されるべきとしています。また新型コロナウイルスの新たな症例や集団発生例は国の保健当局とWHOの両方へ速やかに報告すべきです。

WHOは、この事例に関して入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限することを推奨していません。WHOは引き続き、状況を監視しています。
(2013年2月13日 WHO報告)