(No.73)

西アフリカでのエボラ出血熱の集団発生(1)

 

 4月1日、ギニア保健省は、127例の臨床的にエボラウイルス病(EVD)として矛盾しない事例、うちPCR法による診断確定例35例を報告しました。この数には83例の死亡例が含まれます(致死率65%)。これらの数は、3月31日の最後の更新から、新たな5例の臨床例と3例の死亡例が発生し、22人の患者が隔離されたままの状態です。
 報告されている地域別の臨床診断例は、コナクリ県で12例(うち死亡例4)、ゲケドゥ県で79例(うち死亡例57)、マセンタ県で23例(うち死亡例14)、キシドゥーグー県で9例(うち死亡例5)、ダボラ県とダンギレ県で4例(うち死亡例3)です。コナクリ県の11例は、EVDが検査で確認されています。8人の死亡者を含む14人の医療従事者についても、EVDが検査で確認されています。現在、症例調査と接触者の追跡調査は続いており、375人の接触者が経過観察(健康監視)されています。
 リベリアの保健・社会福祉省(MOHSW)は、可能性例と確定例の数(8例)について、1例の死亡の追加を除いて(死亡例5)、3月31日以来の変更はないことを報告しています。検査で確認された症例数は2例のままで、いずれもロファ郡から報告されており、1例が死亡しています。MOHSWは、3月31日に、診断確定例の1人について、ロファ郡のフォヤからモンセラード郡のモンロビヤとマージビ郡に旅行していたことを報道発表しました。現在、患者(女性)は隔離されており、フォヤからモンロビヤまで運送したタクシー運転手と患者の家族を含む接触者は、医学的な監視下にあります。
 リベリアのチーフメディカルオフィサーが率いる国家チームが、地元政府関係者やボインジャマやフォヤの関係者と会議を開催するために、4月1日にロファ郡を訪れました。EVDやその予防に関する情報や教材は配布されており、公共の問い合わせ先として国家情報ホットラインが既設されています。他に進行中の対策として、国や郡レベルでの調整会議、モンセラード郡の病院への個人用防護具(PPE)の配布、ニンバ郡とボン郡へ郡の対策を支援するための対応チームの派遣、臨床的なマネージメントや感染予防・管理、病気についての地域の意識を高めるための社会的な動員、ヒトや動物から伝播するエボラウイルスのリスク、手洗いや食品の安全性、病気が発生した時の個人防護対策や安全な埋葬と環境衛生の重要性に関する地域啓発活動が実施されています。
 ギニアで死亡して遺体をシエラレオネに送還された家族の中に、EVDの可能性例2人がいたというシエラレオネの状況に変化はありません。状況は急速に変化するため、報告された症例数や死亡者数、医療監視下にある接触者数、診断確定症例数は予備的であり、監視活動の強化や接触者の積極的な追跡調査、研究所における継続中の検査結果により発生数は変化します。
 WHOは、この事例に関して、ギニア、リベリア、シエラレオネへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。