(No.109)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染確定例報告(90) 平成26年5月7日更新

 2014年5月5日更新情報です。
 5月2日、米国・国際保健規則(IHR)連絡窓口は、サウジアラビアのリヤドで就労、生活している60代のアメリカ人男性の、同国では初となるMERS-CoV感染診断確定例を報告しました。

 患者は4月24日にロンドのヒースロー空港経由でリヤドからシカゴに到着し、その後インディアナまでバスを利用して移動していました。彼はリヤドで働いていたとのことですが現時点でMERS-CoV感染確定患者を直接ケアしていたのか、どのような感染予防策をしていたのかははっきりしていません。現在その他の情報も含めてCDCとインディアナ州の保健局と情報を収集しています。

 発症したのは4月14日頃で、当初は微熱のみで呼吸器症状はありませんでした。4月27日には息切れ、咳、発熱の悪化、軽度の鼻汁が出現。翌日には救急受診。胸部X線では右肺底部に浸潤影をみとめ、個室に入院となっています。その2日後(4月29日)に陰圧個室の使用と空気感染予防策が実施されています。30日には標準感染予防策、空気感染予防策が実施され、完全隔離となっています。

 4月29日の胸部CTでは肺の浸潤影は両側性となっています。現在呼吸状態は落ち着いており、気管内挿管はされていません。CDCのDivision of Global Migration and Quarantine (DGMQ)は地域、州、国際的なパートナー、あるいは航空会社、バス会社などとともに、2回の飛行における搭乗者名簿とバス会社の情報を収集し、接触者の同定、所在確認、聞き取りを行うべく、現在も活動を実施しています。

 今回の例はアメリカ合衆国、あるいはアメリカ地域におけるMERS-CoVの最初の例と言うことになります。