(No.128)

南スーダンにおけるコレラの流行 平成26年6月3日更新

 5月15日、南スーダンの保健省はジュバにおけるコレラ流行を宣言しました。最初の症例は遡及的に4月23日に発症したと同定されました。ケニアのナイロビにあるアフリカ医学研究財団の研究室検査で4例が確定診断されています。

 5月25日現在、22例(13例は病院、9例は自宅で死亡)の死亡例を含む、累計586例のコレラ症例が報告されています。死亡例のほとんどは、病院到着後すぐに死亡しています。ジュバのパヤム15地区のうち8地区から報告され、報告の25%を占める症例がムニキからの報告です。

 保健省は、コレラ流行対策計画のために、健康と水・衛生プロジェクト (WASH)の活動の両方を調整する目的でコレラ対策本部を設立しました。ジュバにおけるコレラ指揮統制センター(C4)設置計画は最終段階にあります。C4は流行対策連携を強化し、10州全における緊急対策専門調査団を支援します。

 WHOと協力機関はコレラ流行対策活動として迅速な評価、警告および流行調査及び確認の調整、コレラ治療センター、感染防御と管理の確立のために保健省を支援し、積極的監視や遺体の安全な埋葬の監督も実施しています。また対策本部は、すべてのレベルで定期的な会議の開催、公衆衛生教育、啓発活動を調整し、報告書や流行に関する文書を作成しています。WASHは手洗いや固体・液体廃棄物、家庭用水の塩素化の適正処理を推進しています。

 世界保健機関(WHO)、ユニセフ、国境なき医師団(MSF)およびMedairの支援の元、同国保健省は、2014年2月、トンピンとジュバIII収容所で33,000人以上の国内避難民を対象に経口コレラワクチン接種キャンペーンを実施し、コレラ流行防止のためのコレラワクチン接種率が80%以上を達成しました。

 WHOの対応
 WHOはコレラ流行対策支援として疫学者、物流専門家、公衆衛生担当者などを含む専門家、医療物資、その他の物資を展開しています。また、リスク評価やWASHへの技術支援のために専門家も配置しています。
 現在も続いている国内の紛争や危機的状況、ひどい衛生環境、雨季の始まり、国内のコレラ流行の歴史を考え、WHOは南スーダンの保健省と協力して、ジュバとその周辺諸国の更なる流行について監視を継続します。
 WHOは、この事例に関する現在の情報からは、南スーダンへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。