(No.146)

アフリカ中央部におけるポリオ流行状況について 平成26年6月27日更新

 3月17日、世界保健機関(WHO)はアフリカ中央部、特にカメルーンからポリオの国際的に拡がりに関するリスク評価を「非常に高い」レベルに引き上げました。赤道ギニアからの新たな輸出例は、アフリカ中央部の国際的流行のリスク評価が「非常に高い」レベルのままであることを示しています。6月18日、ブラジルは5月にサンパウロのヴィラコッポス国際空港の下水サンプルから野生ポリオウイルス1型(WPV1)が発見されたことを報告しました。このウイルスの遺伝子配列は赤道ギニアで循環しているものと密接に関連しています。

 2014年に赤道ギニアから4例の野生型ポリオⅠ(WPV1)症例が報告されています。1999年に赤道ギニアでの最初の症例が報告されてから、本年最初の症例は1月28日に麻痺症状で発症し、最近の症例は4月3日に発症しています。これら2症例の遺伝子配列はカメルーンで断続的に流行が続いているWPV1と関連しています(カメルーンでの最近の症例は1月31日に報告されています)。赤道ギニアでの流行に対する対応は、4月と5月に2価経口ポリオワクチン(OPV)の全国予防接種日(NIDs)を含めて実施され、さらに7月と8月にNIDsを計画しています。推定では、この国の子どもの40%が完全な免疫を持っています。

 ブラジルでは、誰もウイルスによる麻痺症状は呈しておらず、国民の間で感染したという証拠(報告)もありません。ブラジルにおける輸入例は、世界中でポリオ撲滅が達成されるまで、世界のあらゆる地域が野生ポリオウイルスへの曝露の危険があることを示しています。全ての国、特にポリオの感染報告があった国や地域へ頻回に渡航し、接点のある国においては、迅速に新たなウイルスの輸入を検出し早急な対応を可能とするため、急性弛緩性麻痺(AFP)症例のサーベイランスを強化することが重要です。一律に高い定期予防接種率が、地域レベルでも維持されることで、新たなウイルスの流入の影響が減少します。

 アフリカ中央部全土における免疫水準の分析の結果、ほとんどの国で2014年に大規模な地域的予防接種キャンペーンを実施すべき、重要な免疫格差が発見されました。ガボンでの全国的予防接種キャンペーンは6月に開催(さらに7月にも計画)されました。コンゴ共和国では5月に実施(6月に別の活動計画が予定)されました。ポリオ予防接種キャンペーンは中央アフリカ共和国で5月から6月に実施され、7月には地理的に実施可能な地域(accessible areas)で別の計画が予定されています。

WHOの注釈
 ブラジルでは、本年3月にサンパウロの下水サンプルから検出された赤道ギニア由来のポリオウイルスによる、再感染は確認されていません。現在まで、このウイルスへの曝露による、ウイルス感染は確認されていません。
ブラジルでは、高い定期接種の実施率との定期的なワクチンキャンペーンの実施により、住民の免疫水準は高く、これまでのところWPV1伝播の証拠はなく対策も取られていることから、WHOはブラジル内もしくは同国からこのウイルスが国際的に拡散するリスクは非常に低いと評価しています。

WHOの渡航に関する勧告
 WHOの海外渡航と旅行では、ポリオ流行地域を出入国する全ての旅行者に、所定の回数のポリオの予防接種が推奨されています。