(No.153)

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例報告(106)  平成26年7月7日更新

 2014年6月22日イランの国際保健規則連絡窓口は世界保健機関(WHO)に対して同国でのMERS-CoVの感染確定例報告をしました。
 2014年6月25日、27日にサウジアラビアの国際保健規則連絡窓口は同国でのMERS-CoV感染例3例を追加報告しました。

●イランの症例の詳細は以下の通りです。
 患者はイランの南東部ケルマーン州に住む同国人、医療機関に勤務する44歳男性で6月6日に軽度のインフルエンザ様症状で発症しました。その後症状悪化し、呼吸困難出現したため同月17日に入院しています。同日採取された検体は翌日の結果ではMERS-CoV陰性でした。その後症状悪化のため6月19日に集中治療室(ICU)へ移動となりました。19日に再採取された検体で翌20日にMERS-CoV陽性となりました。現在陰圧室で隔離されています。患者には、発症する2週間以内の渡航歴、ラクダの生製品の摂取、動物との接触等、いずれの既往歴もありません。患者には基礎疾患があるとのことです。さらにMERS確定患者との接触歴はありませんが、5月26日に勤務している病院で重症急性呼吸器感染症(SARI)と診断された患者と濃厚な接触があったとのことです。現在患者の状態は安定しているとのことです。SARIの患者は5月5日から15日までウムラ(小巡礼)でサウジアラビアに旅行し、5月17日にSARIと診断され、入院となっています。22日に採取した検体はインフルエンザとMERS-CoVの検査をされましたが24日の結果では陰性でした。26日にICUへ移動となり、気管内挿管されています。5月30日にその患者は死亡しています。現在州の保健担当により接触した医療従事者と家族は監視されており、新たな情報が待たれる状況です。

 6月25日に報告のあった、サウジアラビアの2例についての詳細です。

●リヤドの建設現場で就労していた46歳の同市在住の外国人男性は、6月21日に咳と発熱が出現し、24日に病院を受診した際胸部レントゲンにより肺炎と診断されました。同日採取された検体によりMERS-CoV感染と診断されました。基礎疾患を有しているとのことです。動物やMERSと診断された人との接触はないとのことです。また発症前2週間以内にウムラにも行っておらず、医療機関にも行っておらず、ラクダ製品の摂取もないとのことです。現在入院中で状態は安定しているとのことです。

●メッカのジェッダ市に住む57歳の退職した同国人男性は6月13日呼吸器症状と発熱が出現しました。同月21日に病院受診し、胸部レントゲンにて肺炎と診断され同日入院しました。併存疾患を有しているとのことです。MERS診断確定例や動物との接触歴はありません。また発症前2週間以内にウムラには行っておらず医療機関受診や、ラクダ製品の摂取もないとのことです。現在入院中で状態は安定しているとのことです。
6月27日に報告のあった、サウジアラビアの3例目の詳細です。

●患者はビシャ市南部在住の58歳の男性、外国人農夫です。6月15日に発熱と咳症状で発症、同市の病院に6月22日に受診し、市中肺炎の診断で同日入院となっています。その2日後の検体検査でMERS-CoV陽性となっています。併存疾患はありません。MERS診断確定例や動物との接触歴はありません。患者の働いている農場ではラクダを含めて動物はいません。また発症前2週間以内にウムラには行っておらず医療機関受診や、ラクダ製品の摂取もないとのことです。男性は重篤な状態で、6月27日にICUに移動となっていますが、同日中に膜型人工肺使用のためジェッダの施設に搬送されています。接触者の調査が実施されそのフォローアップが現在なされています。現在、新たな詳細な情報待たれる状況です。

 現在までにWHO には824例のMERS-CoV感染例が報告されており、そのうち286例が死亡しています。