(No.156)

西アフリカにおけるエボラ出血熱の集団発生(28)  平成26年7月14日更新

疫学とサーベイランス
世界保健機関(WHO)はギニア、リベリア、シエラレオネにおけるエボラ出血熱(EVD)のモニターを継続しています。現在の疫学状況は以下の様に改善悪化が混在しています。
7月3日以後の新たな患者発生はリベリアが16人、シエラレオネが34人となっています。これらの数値から見ると現在も集団のなかでウイルス伝播が起こっているということになります。ギニアではこの1週間に新たな患者の発生は無く、患者数は減少しています。WHOは3国に対してアウトブレイク抑制策の促進、サポートを継続しています。

医療部門対策
11ヶ国からの保健大臣と技術スタッフ、WHOの代表部、および主要な国際的関連機構は、7月2、3日、ガーナのアクラでの緊急大臣会議に参加し、西アフリカで現在起きているエボラ出血熱のアウトブレイクについて検討を行いました。技術的な最新情報の聴取と国および地域での体験が共有された後、西アフリカ諸国における深刻な脅威への対処として優先順位の高い活動を念頭に置いた、可及的で実施可能な対策についての戦略に関する同意がなされました。優先順位と活動についての同意に関して、多くの格差と課題が残っていることが確認されました。これに取り組むためにWHOは、主なパートナーにより西アフリカ諸国への技術的サポートを調整統合し、資源の動員を支援するため、ギニアに調整の場としての地区本部を設置する予定です。会議に出席した代表等は、EVDや他の出血熱に対しての国際的な調査を推進するための国際的努力を、WHOが主導的に取り組む事が重要であると強調していした。
現時点における最優先事項
・地域住民、宗教的、政治的指導者に対する、EVDへ認識と理解を改善に向けての啓発
・サーベイランス、患者発見、接触者の追跡調査の強化
・対策上重要箇所への適切な有資格者を有する人的資源の配置
・さらなる国家予算の捻出と委託
・最新の情報交換を容易にするための国境を越えた協議会の設立
・過去に南南協力(南米諸国とアフリカ諸国の開発途上国間の協力機構)の情熱の元EVDに旨く対処した国々と、連携し経験を共有すること

さらに、キーとなる国の省庁、国内専門委員会、その他の関係者が横断的に連携した会議において、地域における対策を即座に実施するための計画を立てる予定です。さらにEVDアウトブレイクと関連した項目については、今度の西アフリカ諸国経済共同体サミットで対処することが勧められています。
WHOは今回のアウトブレイクに対してギニア、リベリア、シエラレオネへのいかなる渡航や、交易の制限を推奨していません。

患者数更新情報
ギニア、リベリア、シエラレオネの西アフリカ3国の保健省はEVDの新規患者発生と死亡例が出ていることを報告しています。2014年7月3-6日の間でこの3国で新たに50人の患者発生と25人の死亡を確認しています。ギニア新規発生0人、死亡2人。リベリア新規発生16人、死亡9人。シエラレオネ新規発生34人、死亡14人となっています。(数値には診断確定例、可能性例、疑い例を含んでいます)7月6日現在の累積数はこの3国で患者844人、死亡518人となっています。(下表)


新症例 確定例 可能性例 疑い例 総数
ギニア 症例数 0 294 96 18 408
死亡例 2 195 96 16 307
リベリア 症例 16 63 30 38 131
死亡 9 41 28 15 84
シエラレオネ 症例 34 269 34 2 305
死亡例 14 114 11 2 127
総数 症例 50 626 160 58 844
死亡数 25 350 135 33 518

発生数の総数は、分類変更、後ろ向き調査、患者や検査データの統合、そして強化サーベイランスにより変化しえます。ここに記載されるデータは、保健省発表の最も有用性の高い情報に基づいています。