(No.184)

コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の集団発生(1) 平成26年8月27日更新

疫学とサーベイランス

 2014年8月26日、コンゴ民主共和国(DRC)保健省は、エクアトゥール州におけるエボラウイルス病(EVD)の集団発生を世界保健機関(WHO)に報告しました。
初発症例はIkanamongo村出身の妊婦で、夫によって狩られて彼女に与えられた野生動物を屠殺しました。彼女はEVDの症状を発症し、Isaka村の個人診療所に報告しました。その後、2014年8月11日に原因不明の出血熱で死亡しました。死に関連した地元の習慣や儀式により、何人かの医療従事者が曝露し、次の週に同様の症状を示しました。
 2014年7月28日から8月18日までの間に、13人の死亡者を含む合計24人の出血熱疑い例が同定されています。ヒト-ヒト感染が確認されており、すべての発症者と死亡者には、衛生士と病棟の男児を加えて、死亡した妊婦の手術の間に曝露した医療従事者(医師1人と看護師2人)が含まれています。他の死亡者は、初発症例に立ち会った親戚、診療所スタッフと接触したもの、葬儀の際に故人の遺体を扱った人々が記録されています。他の11症例は、現在、隔離施設で治療を受けています。
 EVDの確認とウイルス株を同定するために、検体がキンシャサとガボンの研究所に送付されています。初発症例と80人の接触者は、EVDが流行している西アフリカ諸国(ギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネ)への渡航歴や流行地域からの渡航者との接触歴はありません。この時点では、コンゴ民主共和国における集団発生は、西アフリカにおける継続的な流行と無関係であると考えられています。


保健部門の対策

 DRC保健省は、状況を監視して評価するために、発生地域に専門チームを派遣しました。接触者の追跡が開始され、現在、80人の接触者が健康監視されています。患者の治療は続いており、感染予防・制御対策が適切に配備され、発生地域への個人用防護具の提供はWHOによって支援されています。
WHOは、現在、DRC政府と状況を監視し、研究室からのウイルス株の確定を待っています。緊急対策チームが、必要に応じて配備されDRCを支援する態勢を整えています。1976年以降、今回の流行は、旧ザイール/現コンゴ民主共和国における7回目のEVD集団発生です。
WHOは、個人がEVDに感染したことが確定されたか、もしくはその疑いがあるか、またはEVD患者との接触があった場合を除いて、いかなる旅行や貿易に関する規制が適用されることを勧奨しません(接触者には、適切に防護処置を行った医療従事者や研究所の職員は含まれません)。国が取るべき活動についての緊急委員会の暫定的勧告については、次のサイトを参照してください。
西アフリカのエボラ流行に関するIHR緊急委員会
http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2014/ebola-20140808/en/