(No.185)

西アフリカにおけるエボラ出血熱の集団発生(46)  平成26年8月28日更新

疫学とサーベイランス

・エボラウイルス病(EVD)流行国であるギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネの保健省によると、可能性例および確定例の累計患者数は3,069人、死亡者1,552人です。
・流行は加速し続け、40%以上の症例が過去21日間に報告されています。しかし、ほとんどの症例は発生地域が限定しています。
・全体的な致死率は52%で、範囲はシエラレオネの42%からギニアの66%までです。
・西アフリカの流行に関連しない別個のEVD流行が、コンゴ共和国(DRC)保健省により8月26日に確定されました。8月27日更新分で個別に詳細が示されています。


保健部門の対策

 対策を改善に導くための流行を完全に把握するためには、正確に地域レベルでの発生場所と時間経過を詳細に分析することが要求される。分析は現在進行中です。予備的調査は、流行開始から全症例の62%が、ギニアのゲケドゥ、症例数が増加し続けるリベリアのロファ、シエラレオネのケネマやカイラフンに集中していることを示します。特に、首都では、人口密度の多さと、旅行や貿易に関する反動が懸念されています。
WHOとそのパートナーは、流行現場でエボラ治療センターを設立し、実験室での検査、接触者追跡調査、社会的動員、安全な埋葬やエボラ患者以外へのヘルスケアを強化しています。
 WHOは世界中の噂や疑い例の報告を受け監視を継続し、疑い例に対する体系的検証を継続しています。各国は、活発な監視と準備活動に従事し続けることを求められています。コンゴ民主共和国(DRC)から新症例が報告されていますが、DRCの事例は西アフリカにおける集団発生との関連はありません。西アフリカ4か国(ギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネ)とDRC以外に、新症例は認められません。
 EVDと確定診断された個人または患者と接触したケースを除いて、いかなる渡航や貿易を制限することをWHOは推奨していません。(適切に感染防護を実施した医療関係者、検査室職員は接触者には含まれません。)各国での処置に関する、緊急委員会からの一時的な方針は、IHR Emergency Committee on Ebola outbreak in west Africaで閲覧できます。


患者数情報の更新
 
 2014年8月26日時点で、西アフリカ4か国におけるEVDに起因した患者累計数は、死亡者1,552人を含む3,069人です。患者の分布と分類は以下のと おりです。ギニア:患者674人(確定例482人、可能性例141人、疑い例25人)うち死亡者430人、リベリア:1,378人(確定例322人、可能性例674人、疑い例382人)うち死亡者694人、ナイジェリア:17人(確定例13人、可能性例1人、疑い例3人)うち死亡者6人、シエラレオネ:1,026人(確定例935人、可能性例37人、疑い例54人)うち死亡者422人です。
2014年8月26日時点のギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネにおけるEVDの診断確定例、可能性例、疑い例、死亡例

 

確定

可能性

疑い

ギニア

症例

482

141

25

648

死亡

287

141

2

430

リベリ

322

674

382

1,378

死亡

225

301

168

694

ナイジェリア

症例

13

1

3

17

死亡例

5

1

0

6

シエラレオ

935

37

54

1,026

死亡

380

34

8

422

1,752

853

464

3,069

死亡

897

477

 178

1,552


注:症例の分類は以下の通りです。
診断確定例:可能性例や疑い例が実験室で検査陽性を確認された症例。
可能性例:臨床医によって疑いがあると診断された場合や診断確定例と疫学的関係のある疑い例が実験室で     検体採取でずに死亡した例。
疑い例:EVD患者(可能性例や疑い例を含む)や感染動物との接触歴があり、突然の高熱を発症(死亡例も    含む)した場合、または突然の高熱に頭痛・嘔吐・食欲不振・下痢・嗜眠・腹痛・筋肉痛や関節痛    ・嚥下痛・呼吸困難・しゃっくりのうち少なくとも3つの症状を認めた例、原因不明の出血や原因    不明の突然死をした症例。

症例数の総数は、分類変更、後ろ向き調査、症例と検査結果の統合、そして強化されたサーベイランスにより変化します。記載されているデータは、保健省から報告された最も有用性の高い情報に基づいています。