エボラ対応のロードマップに関する状況報告 平成26年9月12日更新
2014年9月12日、WHO(世界保健機関)は、エボラ対応のロードマップに関する状況報告を更新しました。今回の報告は、疫学的状況の見直し、および利用可能なロードマップ指標に対して考慮された評価が含まれています。データが統合されるように追加の指標が報告される予定です。
今回の報告に含まれているデータは、利用可能な最新の情報に基づいています。疫学的状況と対策の実現の両方について、情報の可用性と正確性を向上されるために、かなりの努力が続けられています。
ロードマップの体系に沿って、国別の報告は3つのカテゴリーに分類されています。広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)、初期の症例が発生した国あるいは局所的な感染伝播が発生している国(ナイジェリア、セネガル)、活発な感染伝播が発生している国の隣接国(ベナン、ブルキナファソ、コートジボアール、ギニアビサウ、マリ)です。
概要
1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
2014年9月7日現在、西アフリカ諸国において流行中のエボラウイルス疾患(EVD)における確定例、可能性例、疑い例の総数は、4,366人で、このうち2,218人が死亡しています。感染を受けている国は、ギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリア、セネガルです。最初に患者が報告された2013年12月30日(疫学的第1週目)から2014年9月7日(疫学的第36週目)までの間に報告されている国別の患者数などは以下(表1)のとおりです。
表1. 2014年9月7日時点のギニア、リベリア、シエラレオネにおける確定例、可能性例、疑い例
広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している3か国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)において流行が減少する傾向はみられず、特に、リベリアでは、新規症例の急増が懸念されています。リベリアの首都モンロビアで報告される患者数の急激な増加に伴い、都市部での感染伝播が続いています。
表は、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している各国で時間をかけて再確認した確定例と可能性例の新たな数が示されています。リベリアでは、疑い例の死亡割合が47%と高いことは、実際に多くは確定例であることを示唆しており、注目に値します。
・ギニア
過去2週間において、9月7日の終わりまでの7日間で新たに100人の患者が報告されており、新たな確定例の数が多い状況が続いています。新規患者のほとんどはマセンタから報告されています。マセンタに隣接した地域であるゲケドゥが発生の起源であり、現在も感染伝播が続いています。また、首都コナクリの周辺地域でも感染伝播が続いています。リベリアやシエラレオネとは対照的に、いくつかの地域では、疫学的第36週目に全く患者が報告されていない、もしくは新たな患者が報告されていません。
・リベリア
リベリアは、流行している国々の中で、最も多い患者数と死亡者数を報告しています。そして、疫学的第36週目の間に患者数の顕著な増加を報告しました。先週、約400人の確定例と可能性例が確認され、以前に報告された最新の数の約2倍を示しています。顕著な増加は、主に首都モンロビアにおける患者数の急増によるものです。患者数と死亡者数の大幅な過小報告の証拠もあるため、この報告については調査が行われています。ギニアのマセンタとゲケドゥに国境を接しているロファ郡において、新規患者数の増加が続いています。また、新規患者数の増加は、ボン、ボミ、グランド・バッサ、マルギビ、ニンバを含む国内全ての地域で報告されています。
・シエラレオネ
シエラレオネにおけるEVDの発生率は、先週に約200人の新規患者が報告されており、非常に高い状態が続いています。首都フリータウンは高い状態にあり、カイラフンとケネマも安定して高い状態です。ボー、ボンバリ、ポート・ロコで報告された新規患者数が増加しています。
・地理的分布
以前に患者が確認されていた8地域(ギニア4地域、シエラレオネ3地域、リベリア1地域)において、9月7日までの21日間に新たな患者が報告されていません。以前は非感染地域であった2地域について、9月7日までの7日間に最初の患者が報告されました。リベリアでは、リバージー郡で疑い例6人と可能性例3人が報告されました。ギニアでは、コヤ県で確定例5人と疑い例1人が報告されました。
・ギニア・リベリア・シエラレオネの対策
ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、エボラ治療センター(ETC)のベッドや紹介場所に対する需要の増加は、許容範囲を超え続けています。ギニアでは、マセンタ(N’Zerekoré県)とフォルセリア(Kindia県)で追加の支援が必要とされています。リベリアでは、首都モンロビア、ニンバ、マルギビで新たな治療・紹介センターが必要とされています。シエラレオネでは、首都フリータウンとポート・ロコで追加の支援が必要な状態が続いています。WHOは、これらの必要性に対応して、パートナーの動員を続けています。
表2. 2014年9月7日時点のギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者の確定例、可能性例、疑い例
医療従事者間の感染は、今回の流行の憂慮であり続けています(表2参照)。9月7日時点で301人の医療従事者が発症して、ほぼ半数が死亡しています。感染予防・制御(IPC)のための国際的な指導員が、ETCで鍵となるIPCスタッフとして、ギニア、リベリア、シエラレオネで配備されています。感染を受けた国々や近隣諸国におけるIPCの全国的な訓練計画を開始するための調整が進行中です。
2. 初期の症例が発生した国あるいは局所的な感染伝播が発生している国
ナイジェリアとセネガルでは、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています(表3参照)。
表3. 2014年9月7日時点のナイジェリア、セネガルにおける確定例、可能性例、疑い例
・ナイジェリア
ナイジェリアでは、全ての患者の感染伝播は、7月20日にリベリアからラゴスに渡航した1人の患者に関連しています。この患者の接触者のうち、1人はポート・ハーコートに渡航し、その地域における感染源になりました。この感染伝播は現時点で4人の患者に限定されています。ラゴスとポート・ハーコートにおいて、最高責任者の支援により、接触者の健康監視が最優先で実施されています。ラゴスでは、324人の接触者が21日間の健康監視を完了し、29人の接触者がまだ監視されています。ポート・ハーコートでは、5人の接触者が21日間の健康監視を完了し、446人の接触者がまだ監視されています。調査中にあるポート・ハートコートの医療従事者において、新たな感染疑い例の初期報告があります。
・セネガル
セネガルでは、8月20日にギニアからダカールへ陸路で移動した1人から、8月27日にエボラウイルス陽性が確認されました。67人の接触者が健康監視されていますが、これまでに陽性反応は確認されていません。
今回の報告に含まれているデータは、利用可能な最新の情報に基づいています。疫学的状況と対策の実現の両方について、情報の可用性と正確性を向上されるために、かなりの努力が続けられています。
ロードマップの体系に沿って、国別の報告は3つのカテゴリーに分類されています。広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)、初期の症例が発生した国あるいは局所的な感染伝播が発生している国(ナイジェリア、セネガル)、活発な感染伝播が発生している国の隣接国(ベナン、ブルキナファソ、コートジボアール、ギニアビサウ、マリ)です。
概要
1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
2014年9月7日現在、西アフリカ諸国において流行中のエボラウイルス疾患(EVD)における確定例、可能性例、疑い例の総数は、4,366人で、このうち2,218人が死亡しています。感染を受けている国は、ギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリア、セネガルです。最初に患者が報告された2013年12月30日(疫学的第1週目)から2014年9月7日(疫学的第36週目)までの間に報告されている国別の患者数などは以下(表1)のとおりです。
表1. 2014年9月7日時点のギニア、リベリア、シエラレオネにおける確定例、可能性例、疑い例
国名 |
症例定義 |
患者数 |
死亡者数 |
|||
総数 |
21日以内の発生数 |
21日以内の発生数の割合(%) |
総数 |
患者数における死亡者の割合(%) |
||
ギニア |
確定例 |
678 |
285 |
42 |
403 |
59 |
可能性例 |
151 |
12 |
8 |
150 |
99 |
|
疑い例 |
32 |
27 |
84 |
4 |
12 |
|
総数 |
861 |
324 |
38 |
557 |
65 |
|
リベリア |
確定例 |
654 |
394 |
60 |
498 |
76 |
可能性例 |
974 |
506 |
52 |
428 |
44 |
|
疑い例 |
453 |
286 |
63 |
211 |
47 |
|
総数 |
2,081 |
1,186 |
57 |
1,137 |
55 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
1,287 |
518 |
40 |
478 |
37 |
可能性例 |
37 |
3 |
8 |
34 |
92 |
|
疑い例 |
100 |
65 |
65 |
12 |
12 |
|
総数 |
1,424 |
586 |
41 |
524 |
37 |
|
総数 |
4,366 |
2,096 |
48 |
2,218 |
51 |
広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している3か国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)において流行が減少する傾向はみられず、特に、リベリアでは、新規症例の急増が懸念されています。リベリアの首都モンロビアで報告される患者数の急激な増加に伴い、都市部での感染伝播が続いています。
表は、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している各国で時間をかけて再確認した確定例と可能性例の新たな数が示されています。リベリアでは、疑い例の死亡割合が47%と高いことは、実際に多くは確定例であることを示唆しており、注目に値します。
・ギニア
過去2週間において、9月7日の終わりまでの7日間で新たに100人の患者が報告されており、新たな確定例の数が多い状況が続いています。新規患者のほとんどはマセンタから報告されています。マセンタに隣接した地域であるゲケドゥが発生の起源であり、現在も感染伝播が続いています。また、首都コナクリの周辺地域でも感染伝播が続いています。リベリアやシエラレオネとは対照的に、いくつかの地域では、疫学的第36週目に全く患者が報告されていない、もしくは新たな患者が報告されていません。
・リベリア
リベリアは、流行している国々の中で、最も多い患者数と死亡者数を報告しています。そして、疫学的第36週目の間に患者数の顕著な増加を報告しました。先週、約400人の確定例と可能性例が確認され、以前に報告された最新の数の約2倍を示しています。顕著な増加は、主に首都モンロビアにおける患者数の急増によるものです。患者数と死亡者数の大幅な過小報告の証拠もあるため、この報告については調査が行われています。ギニアのマセンタとゲケドゥに国境を接しているロファ郡において、新規患者数の増加が続いています。また、新規患者数の増加は、ボン、ボミ、グランド・バッサ、マルギビ、ニンバを含む国内全ての地域で報告されています。
・シエラレオネ
シエラレオネにおけるEVDの発生率は、先週に約200人の新規患者が報告されており、非常に高い状態が続いています。首都フリータウンは高い状態にあり、カイラフンとケネマも安定して高い状態です。ボー、ボンバリ、ポート・ロコで報告された新規患者数が増加しています。
・地理的分布
以前に患者が確認されていた8地域(ギニア4地域、シエラレオネ3地域、リベリア1地域)において、9月7日までの21日間に新たな患者が報告されていません。以前は非感染地域であった2地域について、9月7日までの7日間に最初の患者が報告されました。リベリアでは、リバージー郡で疑い例6人と可能性例3人が報告されました。ギニアでは、コヤ県で確定例5人と疑い例1人が報告されました。
・ギニア・リベリア・シエラレオネの対策
ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、エボラ治療センター(ETC)のベッドや紹介場所に対する需要の増加は、許容範囲を超え続けています。ギニアでは、マセンタ(N’Zerekoré県)とフォルセリア(Kindia県)で追加の支援が必要とされています。リベリアでは、首都モンロビア、ニンバ、マルギビで新たな治療・紹介センターが必要とされています。シエラレオネでは、首都フリータウンとポート・ロコで追加の支援が必要な状態が続いています。WHOは、これらの必要性に対応して、パートナーの動員を続けています。
表2. 2014年9月7日時点のギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者の確定例、可能性例、疑い例
国名 |
症例定義 |
患者数 |
死亡者数 |
|||
総数 |
21日以内の発生数 |
21日以内の発生数の割合(%) |
総数 |
患者数における死亡者の割合(%) |
||
ギニア |
確定例 |
45 |
12 |
27 |
19 |
42 |
可能性例 |
8 |
0 |
0 |
8 |
100 |
|
疑い例 |
1 |
1 |
100 |
0 |
0 |
|
総数 |
54 |
13 |
24 |
27 |
50 |
|
リベリア |
確定例 |
63 |
3 |
5 |
54 |
86 |
可能性例 |
80 |
42 |
52 |
25 |
31 |
|
疑い例 |
19 |
1 |
5 |
2 |
10 |
|
総数 |
162 |
46 |
28 |
81 |
50 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
71 |
3 |
4 |
30 |
42 |
可能性例 |
1 |
0 |
0 |
1 |
100 |
|
疑い例 |
2 |
2 |
100 |
0 |
0 |
|
総数 |
74 |
5 |
7 |
31 |
42 |
|
総数 |
301 |
66 |
22 |
144 |
48 |
2. 初期の症例が発生した国あるいは局所的な感染伝播が発生している国
ナイジェリアとセネガルでは、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています(表3参照)。
表3. 2014年9月7日時点のナイジェリア、セネガルにおける確定例、可能性例、疑い例
国名 |
症例定義 |
患者数 |
死亡者数 |
|||
総数 |
21日以内の発生数 |
21日以内の発生数の割合(%) |
総数 |
患者数における死亡者の割合(%) |
||
ナイジェリア |
確定例 |
19 |
7 |
36.8 |
7 |
37 |
可能性例 |
1 |
1 |
100 |
1 |
100 |
|
疑い例 |
1 |
1 |
100 |
0 |
0 |
|
総数 |
21 |
9 |
42.9 |
8 |
38 |
|
セネガル |
確定例 |
1 |
1 |
100 |
0 |
0 |
可能性例 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
|
疑い例 |
2 |
2 |
100 |
0 |
0 |
|
総数 |
3 |
3 |
100 |
0 |
0 |
|
総数 |
24 |
12 |
50 |
8 |
33 |
・ナイジェリア
ナイジェリアでは、全ての患者の感染伝播は、7月20日にリベリアからラゴスに渡航した1人の患者に関連しています。この患者の接触者のうち、1人はポート・ハーコートに渡航し、その地域における感染源になりました。この感染伝播は現時点で4人の患者に限定されています。ラゴスとポート・ハーコートにおいて、最高責任者の支援により、接触者の健康監視が最優先で実施されています。ラゴスでは、324人の接触者が21日間の健康監視を完了し、29人の接触者がまだ監視されています。ポート・ハーコートでは、5人の接触者が21日間の健康監視を完了し、446人の接触者がまだ監視されています。調査中にあるポート・ハートコートの医療従事者において、新たな感染疑い例の初期報告があります。
・セネガル
セネガルでは、8月20日にギニアからダカールへ陸路で移動した1人から、8月27日にエボラウイルス陽性が確認されました。67人の接触者が健康監視されていますが、これまでに陽性反応は確認されていません。