(No.202)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染確定例報告(112) 2014年10月2日更新情報

 9月30日オーストリアの国際保健規則担当窓口はヨーロッパの早期警告・対応システム( EWRS)を通じて、世界保健機関(WHO)に中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例がオーストリアのウイーンで発生した事を報告しました。本例は同国における初めての報告となります。
症例の詳細は以下の通りです。
 患者は29歳のサウジアラビア(SAU)女性で、カタールのドーハから2014年9月22日からオーストリアのウイーンを旅行していました。オーストリア到着前に、上気道炎症状と発熱を呈していました。9月24日に医療機関治療を受診し、同26日には私立病院に転院となっていました。その2日後にウイーンの高度感染症対応病院に転院となっています。患者は現在安定した状態です。入院前に、ラクダ、その製品への曝露歴、MERS-CoV感染患者やその他の病人との接触はありません。MERS-CoV感染の確定診断は9月29日にウイルス核酸の2ヶ所の領域をターゲットとしたPCR検査で確定され、さらに翌日別の領域の増幅でも確認されました。

公衆衛生対策
 オーストリアにおける同定された全ての接触者には疾病に関する情報が提供され、保健省によってフォローアップされています。現在までに濃厚接触者のうち2人が上気道症状を呈しており、入院しています。接触者の検査結果は30日時点で未確定です。オーストリアの保健省は、ドーハ出発前あるいは国際間移動中から感染性になったと考えています。航空機同乗者は現在フォローアップされています。乗員のデータはカタールに提供されています。

 WHOは、情報交換とサウジアラビアにおける接触者の発見とフォローアップを可能とするため、サウジアラビア・オーストリア両国の国際保健規則担当者間の接触(連絡)を促しています。接触者の追跡調査には乗員リスト活用が必要です。

 WHOに公的に報告された所では現在までに世界中で853人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、うちすくなくとも301人が同疾患関連死をしています。