(No.207)

エボラ対応に関するロードマップ3 平成26年10月10日更新

 2014年10月10日、WHO(世界保健機関)は、エボラ対応に関するロードマップを更新しました。
 2014年10月8日の時点で、合計8,399人のエボラウイルス疾患(EVD)の確定例、可能性例、疑い例が、感染を受けた7か国(ギニア、リベリア、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国)から報告されています。死亡者は4,033人です。ロードマップの体系に沿って、国別の報告は2つのカテゴリーに分類されます。1つは、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)、もう1つは、初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生している国(ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国)です。今回の更新より、スペインが追加となりました。また、西アフリカにおけるEVDの流行とは関連のない、別のEVDの流行が発生しているコンゴ民主共和国の状況についても示されています(別掲参照)。

1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
 現在、EVD患者8,376人(確定例、可能性例、疑い例)と死亡者4,024人が、2014年10月7日の終わりにギニア保健省とリベリア保健省から、10月8日の終わりにシエラレオネ保健省から報告されています(表1参照)。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数

国名

症例定義

症例数

死亡者数

ギニア

確定

1,097

598

可能性

180

180

疑い

73

0

国別総数

1,350

778

リベリ

確定

943

1,072

可能性

1,874

725

疑い

1,259

519

国別総数

4,076

2,316

シエラレオネ

確定

2,593

753

可能性

37

142

疑い

320

35

国別総数

2,950

930

8,376

4,024

※リベリアでは、確定例が報告される前に確定例の死亡者129人が報告されました。加えて、リベリアの確定例の数は、検査室の許容量の問題により、ギニアやシエラレオネと比較して小さな割合となっています。シエラレオネでは、可能性例が報告される前に可能性例の死亡者105人が報告されました。これらの数値は、現在進行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
 図1は、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国における症例の位置を示しています。リベリアでは、バルポル郡の農村地域で2人のEVD確定症例が初めて報告されました。
図1:広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国におけるEVD症例の分布

※図1のデータは、2014年10月7日の時点でのギニア保健省とリベリア保健省からの報告、10月8日の時点でのシエラレオネ保健省からの報告による公式情報に基づいています。この地図に示された境界線や名前、使用された記号については、いかなる意味においてもWHOの見解を示すものではありません。これはすべての国、領域、都市、地域 の法的立場、またそれぞれの当局の法的立場を考慮してのことです。地図上の点線や破線は、現在完全な合意が得られていない可能性がある部分のおよその境界を示しています。
 医療従事者におけるEVDへの暴露は、今回の流行の警戒すべき特徴として続いています。2014年10月8日の時点で、416人の医療従事者(ギニア74人、リベリア201人、ナイジェリア11人、シエラレオネ129人)がEVDを発症したことが確認されており、233名の医療従事者(ギニア38人、リベリア95人、ナイジェリア5人、シエラレオネ95人)がEVD感染で死亡しました。


2. 初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生している国
 ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国の4か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国から入国してきた症例が報告されています。ナイジェリアでは、20症例が発生して8症例が死亡しました。セネガルでは、1症例が発生しましたが、死亡例やエボラに起因するとされる新たな疑い例は発生していません(表2)。
表2.ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国におけるEVD症例数と死亡者数

国名

症例定義

症例数

死亡者数

ナイジェリア

確定

19

7

可能性

1

1

疑い

0

0

国別総数

20

8

セネガル

確定

1

0

可能性

0

0

疑い

0

0

国別総数

1

0

スペイン

確定

1

0

可能性

未報告

未報告

疑い

未報告

未報告

国別総数

1

0

アメリカ合衆国

確定

1

1

可能性

未報告

未報告

疑い

未報告

未報告

国別総数

1

1

23

9

※ 表2のデータは、各国の保健省からの報告による公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
2014年9月30日、WHO傘下のPAHO(汎米保健機関)は、アメリカ合衆国における最初のEVD輸入例を報告しました。この患者は10月8日に死亡しました。10月6日、WHOはスペインにおけるEVDヒト-ヒト感染の最初の確定例を報告しました。この患者は医療従事者(看護師)で、西アフリカから送還された患者を担当した後に、EVDの陽性反応が確認されました。この症例は、アフリカ以外で最初のヒト-ヒト感染事例となります。
 ナイジェリアでは、すべての接触者891人(ラゴス362人、ポート・ハーコート529人)が21日間の健康監視を終えました。最後の確定例に実施された2度目のEVD検査も、9月8日に陰性であることが確認されました。セネガルでは、すべての接触者が現時点で21日間の経過観察を終え、さらなるEVD症例は報告されていません。最後の確定例に実施された2度目のEVD検査も、9月5日に陰性であることが確認されました。アメリカ合衆国では、48人の接触者が、EVD曝露の可能性がある日から21日間の健康監視を受けています。スペインでは、健康監視を要する濃厚接触者の特定が進行中です。

別掲. コンゴ民主共和国におけるエボラ流行
 2014年10月7日現在、コンゴ民主共和国において、71人のEVD症例(確定例31人、可能性例26人、疑い例14人)が報告されており、このうち8人が医療従事者で発生しています。また、合計43人の死亡者が報告されており、このうち8人が医療従事者でした。
 現在、830人の接触者が21日間の健康監視を終えました。291人の接触者が監視中で、全員が10月7日(この日がデータ報告があった最終日)に監視を受けました。この流行は、ギニア、リベリア、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国に影響を与えている流行とは関連がありません。