(No.247)

エボラ対応のロードマップに関する状況報告18 平成26年12月17日更新

要約

 12月14日の時点で合計18,603人のエボラウイルス感染症(EVD)の確定例、可能性例、疑い例が感染例の発生している5か国(ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネ、米国)と過去に患者の発生している国(ナイジェリア、セネガル、スペイン)から報告されています。死亡者数は6,915人です。
 報告数はギニアで上下し、リベリアで減少しています。シエラレオネでは報告数の増加率が減り、もうこれ以上増加することは無いかもしれません。これら3か国の総数から見た最終的な致死率は70%、入院患者の死亡率はギニア、シエラレオネではそれぞれ60%で、リベリアは58%となっています。

1.広範囲に及ぶ申告な感染伝播が発生している国
 現在合計18,569人のEVD診断確定例、可能性例、疑い例と死者6,900人が12月14日にギニアとシエラレオネの保健省、12月9日にリベリアの保健省から報告されています。(表1参照)
表1:ギニア、リベリア、シエラレオネでの診断確定例、可能性例、疑い例の数

国名

症例定義

症例数

21日以内の症例数

死亡者数

ギニア

確定例

2,127

249

1,262

可能性例

263

*

263

疑い例

26

*

0

国別総数

2,416

249

1,525

リベリア§

確定例

2,946

185

未報告

可能性例

1,801

*

未報告

疑い例

3,050

*

未報告

国別総数

7,797

185

3,290

シエラレオネ

確定例

6,702

1,261

1,876

可能性例

79#

*

174

疑い例

1,575

*

35

国別総数

8,356

1,261

2,085

総数

18,569

1,695

6,900


※表1のデータは、WHOの各国事務所を通じて、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。 これらの数値は、現在進行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。 *は再分類された疑い症例と可能性の高い症例の割合が高いために報告が見送られています。‡表は保健省の情報に基づき最新のものです。§12月10日から14日までのデータがありません
 影響を受けた国の人口の割合として症例数を考えると、ギニアでは人口10万人当たり、22人の報告例があり、14人が死亡しています。リベリアでは人口10万人当たり、197人の報告例があり、83人が死亡しています。シエラレオネでは人口10万に当たり、145人の報告例があり、36人が死亡しています。
 確定例と可能性例において、蓄積された層別化分析では男女比はほぼ同じです。10万人当たり、65人の発症者が男性、66人の発症者が女性でした。(表2参照)
 全体にわたって、15歳から44歳の人が子供と比較して3倍影響を受けやすいです。(0-14歳:10万人当たり28人、15-44歳:10万人当たり83人)45歳以上は4倍影響を受けやすいです。(10万人当たり106人) これは大きく影響があった3か国全てに当てはまります。

表2ギニア、リベリア、シエラレオネにおける確定例と可能性例の男女数、年齢別数

症例数

性別*

(人口10万人当たり)

年齢別

(人口10万人当たり)

男性

女性

0-14

15-44

45歳以上

ギニア

1,017

(19)

1,090

(20)

329

(7)

1,216

(26)

545

(35)

リベリア

2,538

(128)

2,444

(124)

831

(48)

2,653

(155)

1,015

(190)

シエラレオネ

3,112

(109)

3,291

(113)

1,274

(53)

3,587

(139)

1,449

(196)

総数

6,667

(65)

6,825

(66)

2,434

(28)

7,456

(83)

3,009

(106)


 人口数値は国連経済社会局に基づくものです。*性別のデータがないものは除きます。‡年齢のデータがないものは除きます。

図4:ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラウイルス病の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

※データは各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。リベリアにおける12/10-14のデータは欠損です。ギニア、シエラレオネ、マリからのデータは過去21日間の診断確定症例によるものです。

医療従事者の感染
 12月14日までに、合計649人の医療従事者がエボラウイルス病に感染しました。このうち365人の医療従事者が死亡しています。合計数には、マリでの2人、ナイジェリアで11人、スペインで1人、アメリカ合衆国で3人(うち2人がテキサスで患者を治療している際に感染、1人はギニア)が含まれています。12月14日の週に5人の医療従事者が感染しました。全てギニア国内です。(ヌゼレコーレで3人、ケルワネで2人)

表6:3か国における医療従事者の患者数および死亡者数

国名

症例数

死亡数

ギニア

125

72

リベリア*

365

177

シエラレオネ

142

109

総数

632

358


※データは保健省により報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続して行われている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。*12月10日から14日分のデータが欠損しています。

2. 初期の症例が生じた国、あるいは限局的な伝播が生じている国
 現在までに、マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国の5か国では、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。(表7参照)
 マリでは、現在では8人(診断確定例7人、可能性例1人)の患者が報告され、6人が死亡しています。最近のマリの首都バマコから新たに報告された7人の症例は、10月24日に死亡したカイでの最初の症例とは関係がありません。最後の診断確定例の患者が12月6日に行った2回目の検査で陰性で、12月11日に退院しました。最初の症例とバマコで発生した症例に関係した接触者は全員が現在21日の健康監視期間を終えました。米国では、死亡者1名を含む4例の感染がありました。ニューヨークの医師とテキサスの看護師2人は2回のエボラ検査陰性の結果を得て退院しました。すべての患者が退院し、この国では全ての接触者が21日間の健康監視期間を完了しました。

表7:マリ、米国におけるエボラウイルス病症例の患者および死亡者数

累積患者数

接触者追跡調査

確定例

可能性例

疑い例

死亡例

医療従事者

接触者

21日間の健康監視期間を終了した者

最後に陰性になった日

最後に陰性になった日からの日数

マリ

7

1

0

6

25%

0

433

2014116

11

米国

4*

0

0

1

75%

0

177

2014109

38


 データは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。*米国でのデータはリベリアからのエボラ患者の治療にあたっている間に国内で感染し医療従事者2名とギニアで感染した1名を含んでいます。データは各保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続して行われている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。