エボラ出血熱の流行状況25 平成27年2月4日更新
2015年2月4日WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 流行が深刻な3か国から毎週報告されている新規の発生数が、今年に入り、初めて増加しました。
2月1日までの週に流行3か国から報告された患者数は、ギニアで39人、リベリアで5人、シエラレオネ
で80人の、合計124人でした。
・ ギニアでの地域社会での抵抗や地理的な拡がり、シエラレオネでの広範囲な伝播、そして発生数の増
加はEVDに対する反応がまだ重要な課題に直面していることを示しています。
・ 雨季が近づくにつれ、特にアクセスがより困難になる遠隔地で、できるだけ広い領域において流行を
早急に終了させる必要性があります。
・ ギニアでは前週は30人でしたが、今週は39人の新たな確定例が報告されました。コートジボワール
との国境にあるギニア東部のローラ県では1月初旬に危険な埋葬が行われ、これまでに11人の確定例が
発生しました。マリとの国境にあるギニア北部のシギリ県の確定例もローラ県が起源です。
・ マリとの国境地域であるギニア北部のトゥーゲ県では確定例が初めて2人報告されました。両症例と
もギニア西部のドゥブレカ県が起源です。
・ ギニア北部での最近の症例の増加に踏まえ、監視を強化するための会議がギニアとマリとセネガルの
国境地域で計画されています。またリスクを評価し、監視を強化するため迅速対応チームがローラ県と
ギニアとコートジボワールの国境地域に到着しました。
・ シエラレオネでは前週の65人と比較し、2月1日までの週に新たに80人の確定例が報告されました。
西部のポートロコと首都フリータウンは最も影響のあった被災地です。14地区のうち、9地区で少なく
とも確定例が1人以上報告され、7地区で前週に比べ増加しています。
・ すべての伝播の連鎖が追跡され、終息できるように、新たな発症例はすべて登録された接触者の中か
ら発症することが目標です。ギニアでは1月25日の週に新たな確定例または可能性例26人中14人(
54%)が登録された接触者から、リベリアでは1月31日までの9日間で新たな確定例7人中7人(100%
)が登録された接触者から、シエラレオネでは1月18日までの1週で新たな確定例121人中26人(21%
)が登録された接触者から発症しています。
・ 入院患者での致死率(信頼のある記録に基づく全入院患者から計算された結果)は、流行3か国におい
て、50%から61%の間です。
・ 流行3か国において医療従事者の感染確定例は822人、うち死亡例が488人報告されています。
・ ギニアでは、2月1日末までの週に、34県下のうち10県において、保安上の事件または協力を拒否す
るその他の事例が、少なくとも1件報告されています。1月27日までの週に、リベリアでは0件、シエラ
レオネでは3県から、同様の事例が少なくとも1件報告されています。
広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネの3か国において、診断確定例、可能性例、疑い例を合わせて
22,500人の患者が発生しており、9,000人が死亡しています(表1)。2月1日までの週に、ギニアでは
39人、リベリアでは5人、シエラレオネでは80人の新たな確定例が報告されました。
・ 確定例と可能性例の階層別解析では、男性と女性の症例数は同程度であることが示されています。人
口10万対の症例数を15歳未満の小児と比較すると、15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上の
成人では約4倍となっています(表2)。
・ 流行3か国から医療従事者の感染が822人報告されており、このうち488人が死亡しています(表3)。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進
行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。*性別データがないものは除きます
。♯年齢データがないものは除きます。
表3. ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
※ シエラレオネのデータは、症例数も死亡者数も確定例、可能性例、疑い例の合計です。
図1. ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名
称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境
や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破
線は、その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるため
におおよその境界線を表しています。
初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生している国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ
深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
・ 英国では、2014年12月29日にスコットランドのグラスゴーでEVD診断確定例が確認されました。患
者は、シエラレオネのETC(エボラ出血熱治療センター)でボランティアとして働いていた医療従事者で
す。患者は12月29日に隔離され、ロンドンの医療機関で治療を受けています。患者は、2015年1月
23日にEVD検査に対する2回目の陰性が確認され、1月24日に退院しました。全ての接触者は21日の健
康監視期間を終了しました(表4)。
表4. 英国におけるEVD症例数と死亡者数
注釈:データは保健省により報告された公式情報に基づいています。これらの数値は再分類 再集計、検
査結果の利用状況によって変わることがあります。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 4 February 2015
http://apps.who.int/ebola/en/ebola-situation-report/situation-reports/
ebola-situation-report-4-february-2015
要約
・ 流行が深刻な3か国から毎週報告されている新規の発生数が、今年に入り、初めて増加しました。
2月1日までの週に流行3か国から報告された患者数は、ギニアで39人、リベリアで5人、シエラレオネ
で80人の、合計124人でした。
・ ギニアでの地域社会での抵抗や地理的な拡がり、シエラレオネでの広範囲な伝播、そして発生数の増
加はEVDに対する反応がまだ重要な課題に直面していることを示しています。
・ 雨季が近づくにつれ、特にアクセスがより困難になる遠隔地で、できるだけ広い領域において流行を
早急に終了させる必要性があります。
・ ギニアでは前週は30人でしたが、今週は39人の新たな確定例が報告されました。コートジボワール
との国境にあるギニア東部のローラ県では1月初旬に危険な埋葬が行われ、これまでに11人の確定例が
発生しました。マリとの国境にあるギニア北部のシギリ県の確定例もローラ県が起源です。
・ マリとの国境地域であるギニア北部のトゥーゲ県では確定例が初めて2人報告されました。両症例と
もギニア西部のドゥブレカ県が起源です。
・ ギニア北部での最近の症例の増加に踏まえ、監視を強化するための会議がギニアとマリとセネガルの
国境地域で計画されています。またリスクを評価し、監視を強化するため迅速対応チームがローラ県と
ギニアとコートジボワールの国境地域に到着しました。
・ シエラレオネでは前週の65人と比較し、2月1日までの週に新たに80人の確定例が報告されました。
西部のポートロコと首都フリータウンは最も影響のあった被災地です。14地区のうち、9地区で少なく
とも確定例が1人以上報告され、7地区で前週に比べ増加しています。
・ すべての伝播の連鎖が追跡され、終息できるように、新たな発症例はすべて登録された接触者の中か
ら発症することが目標です。ギニアでは1月25日の週に新たな確定例または可能性例26人中14人(
54%)が登録された接触者から、リベリアでは1月31日までの9日間で新たな確定例7人中7人(100%
)が登録された接触者から、シエラレオネでは1月18日までの1週で新たな確定例121人中26人(21%
)が登録された接触者から発症しています。
・ 入院患者での致死率(信頼のある記録に基づく全入院患者から計算された結果)は、流行3か国におい
て、50%から61%の間です。
・ 流行3か国において医療従事者の感染確定例は822人、うち死亡例が488人報告されています。
・ ギニアでは、2月1日末までの週に、34県下のうち10県において、保安上の事件または協力を拒否す
るその他の事例が、少なくとも1件報告されています。1月27日までの週に、リベリアでは0件、シエラ
レオネでは3県から、同様の事例が少なくとも1件報告されています。
広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネの3か国において、診断確定例、可能性例、疑い例を合わせて
22,500人の患者が発生しており、9,000人が死亡しています(表1)。2月1日までの週に、ギニアでは
39人、リベリアでは5人、シエラレオネでは80人の新たな確定例が報告されました。
・ 確定例と可能性例の階層別解析では、男性と女性の症例数は同程度であることが示されています。人
口10万対の症例数を15歳未満の小児と比較すると、15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上の
成人では約4倍となっています(表2)。
・ 流行3か国から医療従事者の感染が822人報告されており、このうち488人が死亡しています(表3)。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
2608 |
89 |
1597 |
可能性例 |
347 |
未報告 |
347 |
|
疑い例 |
20 |
未報告 |
未確定 |
|
計 |
2975 |
89 |
1944 |
|
リベリア |
確定例 |
3143 |
17 |
未確定 |
可能性例 |
1870 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
3732 |
未報告 |
未確定 |
|
計 |
8745 |
17 |
3746 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8059 |
262 |
2910 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
2394 |
未報告 |
158 |
|
計 |
10 740 |
262 |
3276 |
|
総数 |
|
22 460 |
368 |
8966 |
行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* |
年齢別‡ |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1413 |
1508 |
460 |
1648 |
791 |
リベリア |
2550 |
2447 |
829 |
2671 |
1019 |
シエラレオネ |
5187 |
5503 |
2329 |
5776 |
2416 |
。♯年齢データがないものは除きます。
表3. ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
164 |
88 |
リベリア |
371 |
179 |
シエラレオネ |
287 |
221 |
総数 |
822 |
488 |
図1. ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名
称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境
や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破
線は、その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるため
におおよその境界線を表しています。
初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生している国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ
深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
・ 英国では、2014年12月29日にスコットランドのグラスゴーでEVD診断確定例が確認されました。患
者は、シエラレオネのETC(エボラ出血熱治療センター)でボランティアとして働いていた医療従事者で
す。患者は12月29日に隔離され、ロンドンの医療機関で治療を受けています。患者は、2015年1月
23日にEVD検査に対する2回目の陰性が確認され、1月24日に退院しました。全ての接触者は21日の健
康監視期間を終了しました(表4)。
表4. 英国におけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
確定例 |
可能性例 |
疑い例 |
死亡者 数 |
医療 従事者 |
健康監視中の 接触者数 |
21日間の 健康監視 終了者数 |
最新患者 検査陰性 確定日* |
*からの経過日数 |
英国 |
1 |
0 |
0 |
0 |
100% |
0 |
55 |
2015年 1月23日 |
11 |
査結果の利用状況によって変わることがあります。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 4 February 2015
http://apps.who.int/ebola/en/ebola-situation-report/situation-reports/
ebola-situation-report-4-february-2015