エボラ出血熱の流行状況26 平成27年2月11日更新
2015年2月11日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 2月8日末の週に144人の新規確定例が報告され、週間総患者発生率が2週連続で増加しています。
ギニアでは65人の新規確定例が報告され、前週の39人と比較して急激な発生数の増加を認めています。
シエラレオネでの流行拡大は依然継続し、2週間連続でポート·ロコの西部地区で患者が発生しており、
76人の新規確定例が報告されています。リベリアでは患者発生数は減少が続いています。
・ 患者発見、患者治療(管理)、安全な埋葬、および地域社会の参加等の改善にも関わらず、患者発生
率の低下が緩徐です。ギニアでの患者急増やシエラレオネでの持続的流行拡大は、EVDの終息が厳しい
状況にある事が強調しています。流行終息させるには、基盤(インフラ)整備、システム構築、人材確
保が必要であり、対策はすぐに実行しなければなりません。
・ ギニアでの主な新規確定例は、首都コナクリで21人と西部県のフォレカリアで26人からの報告です。
コナクリやフォレカリア、その他ギニア広範囲で地域社会の参加が課題となっています。2月8日末の週に
少なくとも1つの保安上の案件(セキュリティ・インシデント)が、国内の3分の1のEVD流行県から報告
されています。地域社会の協力を基に実施されている接触者調査も課題(困難な事案)であることが判明
しつつあります。2月1日までの週には、42症例中7例しか接触者の登録が実施されていません。
21例の陽性確定例の死亡例が報告され、34例の(感染防護が)不適切な埋葬が報告されています。
・ ギニア東部のローラ県で7人の新規確定例が報告されています。現在、チームはローラ西部国境で調
査のためにコートジボアールに配置されています。
・ マリとセネガルで今月後半、追加の準備案が計画され、国境を越えたサーベイランス強化のための、
ギニア、マリ、セネガルの3か国間での会議が開催されます。
・ リベリアのモンセラード郡から3人の確定例が報告されています。同郡の同じ地域からの感染例であ
り、疫学的にリンクします
・ 12月から1月末日まで、シエラレオネでは急激な患者発生率の低下後、現在は安定しています。
2月8日末の週に76人の新規確定例が報告され、2月1日末の週の80人と比較し減少していますが、
1月25日末の週の65人より増加しています。依然として感染は拡大しており、7地域から新規確定例が
報告されています。2月8日末の週に41例の不適切な(安全でない)埋葬が報告されています。
・ 入院症例における致死率は53%から60%の間で高い状態が続いています。
1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
ギニア、リベリア、シエラレオネの3か国において、診断確定例、可能性例、疑い例を合わせて約23,000人の患者が発生しており、約9,000人が死亡しています(表1)。2月8日末の週に、ギニアでは65人、リベリアでは3人、シエラレオネでは76人の新規の確定例が報告されました。
確定例と可能性例の階層別解析では、男性と女性の症例数は同程度であることが示されています。
人口10万対の症例数を15歳未満の小児と比較すると、15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上の
成人では約4倍となっています(表2)。
流行3か国から医療従事者の感染が830人報告されており、このうち488人が死亡しています(表3)。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3. ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
※ ギニアのデータは、症例数は確定例のみ、死亡者数は確定例と可能性例の合計です。リベリアのデー
タは、症例数も死亡者数も確定例のみです。シエラレオネのデータは、症例数も死亡者数も確定例、可
能性例、疑い例の合計です。
図1. ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名
称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境
や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破
線は、その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるため
におおよその境界線を表しています。
2. 初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生している国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
英国では、2014年12月29日にスコットランドのグラスゴーでEVD診断確定例が確認されました。患者は、シエラレオネのETC(エボラ出血熱治療センター)でボランティアとして働いていた医療従事者です。患者は12月29日に隔離され、ロンドンの医療機関で治療を受けています。患者は、2015年1月23日にEVD検査に対する2回目の陰性が確認され、1月24日に退院しました。全ての接触者は21日の健康監視期間を終了しました(表4)。
表4. マリ、英国におけるEVD症例数と死亡者数
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 11 February 2015
http://apps.who.int/ebola/en/ebola-situation-report/situation-reports/
ebola-situation-report-11-february-2015
要約
・ 2月8日末の週に144人の新規確定例が報告され、週間総患者発生率が2週連続で増加しています。
ギニアでは65人の新規確定例が報告され、前週の39人と比較して急激な発生数の増加を認めています。
シエラレオネでの流行拡大は依然継続し、2週間連続でポート·ロコの西部地区で患者が発生しており、
76人の新規確定例が報告されています。リベリアでは患者発生数は減少が続いています。
・ 患者発見、患者治療(管理)、安全な埋葬、および地域社会の参加等の改善にも関わらず、患者発生
率の低下が緩徐です。ギニアでの患者急増やシエラレオネでの持続的流行拡大は、EVDの終息が厳しい
状況にある事が強調しています。流行終息させるには、基盤(インフラ)整備、システム構築、人材確
保が必要であり、対策はすぐに実行しなければなりません。
・ ギニアでの主な新規確定例は、首都コナクリで21人と西部県のフォレカリアで26人からの報告です。
コナクリやフォレカリア、その他ギニア広範囲で地域社会の参加が課題となっています。2月8日末の週に
少なくとも1つの保安上の案件(セキュリティ・インシデント)が、国内の3分の1のEVD流行県から報告
されています。地域社会の協力を基に実施されている接触者調査も課題(困難な事案)であることが判明
しつつあります。2月1日までの週には、42症例中7例しか接触者の登録が実施されていません。
21例の陽性確定例の死亡例が報告され、34例の(感染防護が)不適切な埋葬が報告されています。
・ ギニア東部のローラ県で7人の新規確定例が報告されています。現在、チームはローラ西部国境で調
査のためにコートジボアールに配置されています。
・ マリとセネガルで今月後半、追加の準備案が計画され、国境を越えたサーベイランス強化のための、
ギニア、マリ、セネガルの3か国間での会議が開催されます。
・ リベリアのモンセラード郡から3人の確定例が報告されています。同郡の同じ地域からの感染例であ
り、疫学的にリンクします
・ 12月から1月末日まで、シエラレオネでは急激な患者発生率の低下後、現在は安定しています。
2月8日末の週に76人の新規確定例が報告され、2月1日末の週の80人と比較し減少していますが、
1月25日末の週の65人より増加しています。依然として感染は拡大しており、7地域から新規確定例が
報告されています。2月8日末の週に41例の不適切な(安全でない)埋葬が報告されています。
・ 入院症例における致死率は53%から60%の間で高い状態が続いています。
1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
ギニア、リベリア、シエラレオネの3か国において、診断確定例、可能性例、疑い例を合わせて約23,000人の患者が発生しており、約9,000人が死亡しています(表1)。2月8日末の週に、ギニアでは65人、リベリアでは3人、シエラレオネでは76人の新規の確定例が報告されました。
確定例と可能性例の階層別解析では、男性と女性の症例数は同程度であることが示されています。
人口10万対の症例数を15歳未満の小児と比較すると、15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上の
成人では約4倍となっています(表2)。
流行3か国から医療従事者の感染が830人報告されており、このうち488人が死亡しています(表3)。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
2,674 |
134 |
1,643 |
可能性例 |
352 |
未報告 |
352 |
|
疑い例 |
18 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
3,044 |
134 |
1,995 |
|
リベリア |
確定例 |
3,146 |
12 |
3,826 |
可能性例 |
1,873 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
3,862 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
8,881 |
12 |
3,826 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,135 |
221 |
2,975 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
2,512 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
10,934 |
221 |
3,341 |
|
総数 |
22,859 |
367 |
9,162 |
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,413 |
1,508 |
460 |
1,648 |
791 |
(26) |
(28) |
(10) |
(35) |
(51) |
|
リベリア |
2,801 |
2,746 |
943 |
2,981 |
1,145 |
(141) |
(140) |
(55) |
(175) |
(214) |
|
シエラレオネ |
5,037 |
5,400 |
2,201 |
5,751 |
2,298 |
(177) |
(186) |
(91) |
(222) |
(311) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3. ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
166 |
88 |
リベリア |
371 |
179 |
シエラレオネ |
293 |
221 |
総数 |
830 |
488 |
タは、症例数も死亡者数も確定例のみです。シエラレオネのデータは、症例数も死亡者数も確定例、可
能性例、疑い例の合計です。
図1. ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名
称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境
や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破
線は、その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるため
におおよその境界線を表しています。
2. 初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生している国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
英国では、2014年12月29日にスコットランドのグラスゴーでEVD診断確定例が確認されました。患者は、シエラレオネのETC(エボラ出血熱治療センター)でボランティアとして働いていた医療従事者です。患者は12月29日に隔離され、ロンドンの医療機関で治療を受けています。患者は、2015年1月23日にEVD検査に対する2回目の陰性が確認され、1月24日に退院しました。全ての接触者は21日の健康監視期間を終了しました(表4)。
表4. マリ、英国におけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
確定例 |
可能性例 |
疑い例 |
死亡者数 |
医療従事者の割合 |
健康監視中の接触者数 |
21日間の健康監視終了者数 |
最新患者検査陰性確定日* |
*からの経過日数 |
英国 |
1 |
0 |
0 |
0 |
100% |
0 |
55 |
2015/1/23 |
18 |
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 11 February 2015
http://apps.who.int/ebola/en/ebola-situation-report/situation-reports/
ebola-situation-report-11-february-2015