(No.23)

アメリカ大陸における麻しんの流行
 2015年02月13日更新

 2015年1月1日から2月8日の間に、ブラジル、カナダ、メキシコ、アメリカ合衆国の国際保健規則連絡窓口(IHR)は、全米保健機構/世界保健機関(PAHO/ WHO)に147人の麻しん症例を報告しました。ほとんどの事例が、米国の大規模な流行に関連しています。

アメリカ合衆国
 2015年1月1日から2月6日までに、合計121人の麻しん患者が報告されています。
 報告されたのは以下の17の州とワシントン特別区です。
  アリゾナ(7)、カリフォルニア(88)、コロラド(1)、コロンビア特別区(1)、
  デラウエア(1)、イリノイ(3)、ミシガン(1)、ミネソタ(1)、ネブラスカ(2)、
  ニュージャージー(1)、ニューヨーク(2)、ネバダ(2)、オレゴン(1)、ペンシルベニア(1)、
  サウスダコタ(2)、テキサス(1)、ユタ(2)、ワシントン(4)
 報告された患者の年齢は、12か月以下から59歳まで(中央値19歳)に及んでいます。これらのほとんどの患者にあたる103人(85%)は、2014年12月17日~20日にカリフォルニア州のとある遊園地を訪れたことと関連しています。海外で感染した旅行者がそのまま遊園地を訪れたことから流行が始まったようですが、感染源は不明です。

カナダ
 2つの異なる麻しん流行が調査されています。
 2015年2月3日に、ケベック州の厚生社会福祉省のラノディエール地域公衆衛生課は、2015年始めから8人の麻しん疑いの患者が報告しました。これらの疑い患者は宗教的理由でワクチンを接種していない同一家族からの発生です。米国での最近の流行と関連しています。
 2015年2月2日にオンタリオ州のトロント公衆衛生局は、2歳未満の子ども2人と大人2人を含む異なる4家族からの麻しん確定診断例を報告しました。これまでのところ、感染源は同定されておらず、これらの患者の疫学的繋がり、接触者は分かってはいません。感染者と接触した接触者追跡が行われています。

メキシコ
 IHRは米国へ渡航歴のある麻しん輸入例2人を報告しました。1例目はハバ・カリフォルニア・スル州在住の生後22ヶ月の女児で、2014年12月16日から18日に米国・カリフォルニアへ渡航し、2014年12月30日に発疹が出現しました。2例目はヌエボ・レオン州在住の37歳女性で、麻しんワクチンは未接種、2014年12月26日から31 日にカリフォルニア州サンフランシスコに渡航したのみで、2015年1月13日に発疹が出現しています。地域および全国の保健当局は、適切な予防・対策手段を講じています。
 現在のところ、メキシコでは新たな届出はありません。

ブラジル
 2013年から2015年に、同国の北部州であるペルナンブコ州とセアラー州で持続的な麻しん感染伝搬が報告されています。麻しんウイルスは、2013年3月19日にペルナンブコ州で初めて検出されました。以来、2014年3月14日までに、死亡例1人を含む合計224の確定例が24の地方自治体から報告されています。ほとんどの感染者(110/224人、44.6%)は1歳未満の子どもでした。遺伝子型はD8でした。
 この流行は、隣接するセアラー州に拡がり、2013年12月25日最初の事例が報告されました。2015年
2月5日までに、合計718人の事例が、31の地方自治体から確認されています。直近の確定患者は2015年1月19日(発疹の出現日)でした。これまでのところ死亡者は報告されていません。感染者の多くは5歳未満で(37.1%)、15歳から29歳の若年者がそれに続きます(33.2%)。12の地方自治体で51人の患者が調査中ですが、直近の疑い患者の報告は2015年2月2日(発疹の出現日)でした。遺伝子型はD8でした。
 セアラー州フォルタレザに渡航歴のある、ロライマ州在住の40歳の男性が追加報告されました。

 【出典】
  WHO, Global Alert and Response (GAR).
  Measles – The Americas, 13 February 2015
  http://www.who.int/csr/don/13-february-2015-measles/en/