エボラ出血熱の流行状況27 平成27年2月18日更新
2015年2月18日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 2月15日末の週に128人の新規確定例が報告されました。ギニアでは前週から減少し52人の新規確定例
が報告され、1月25日以降、初の減少となっています。シエラレオネでは74人の新規確定例のうち45人
が首都のフリータウンからの報告で、流行拡大は依然継続しています。リベリアでは2月12日までの4日
間で、2人の新規確定例が報告されています。
・ 地域社会との効果的な連携が、ギニア、リベリア、シエラレオネの多くの地域で終息のための成功の
鍵となりますが、課題がいくつか残っています。各々3カ国では、前週と比較してエボラに関連する
保安上の出来事の増加が報告されています。2月15日末の週に、ギニアで39例、シエラレオネで45例の
不適切な(安全でない)埋葬が報告されています。治療施設とは別の場所で死亡した症例を検査した
ところ、40例以上の新規確定例が確認されました。これらの症例は、潜在的な救命処置を受けていない
だけでなく、地域社会の他の人々が、死亡した人々が最初の症状を呈した段階で隔離されていた場合と
比較して、EVDの高い暴露リスクに曝されたことになります。接触者追跡調査は影響を受けた地域社会に
依存するため、連携が確保されなければ、感染の連鎖を追跡するという重要な任務はより困難と
なります。ギニア東部のローラ県での地域連携の成功は、対策に従事するヒトが、不適切な埋葬に関連
した患者本人とその接触者を追跡し、急速な局所的流行を管理下に置く事を可能にしました。同様の
解決策(進展)を、現在流行が残る地域で行う必要があります。
・ ギニアでの主な新規確定例は、首都コナクリで13人とギニア西部のフォレカリア県で24人が報告され
ています。セネガルと国境を接するギニア北部のマリ県で新たに2人の新規確定例が報告されました。
・ コートジボアール国境付近のサーベイランス強化は進行中です。さらに、ギニアビサウ、マリ、
セネガルでは国境を越えたサーベイランス強化のため、今月末に追加の準備案が計画されています。
・ リベリアから2人の確定例が報告されています。2人ともモンセラード群の同じ地域からの感染例で
あり、疫学的にリンクします
・ 12月から1月末日まで、シエラレオネでは急激な患者発生率の低下後、現在は安定しています。前週
76人の新規確定例が報告されたのと比較し、2月15日末の週は74人でした。
・ ギニア、リベリア、シエラレオネの3か国における入院症例における致死率は55%から64%の間で高い
状態が続いています。
1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネの3か国において、診断確定例、可能性例、疑い例を合わせて
23,000人以上の患者が発生しており、9,000人以上が死亡しています(表1)。2月15日末の週に、
ギニアでは52人、リベリアでは2人(データ欠損:2月13~15日)、シエラレオネでは74人の新規の
確定例が報告されました。
・ 確定例と可能性例の階層別解析では、男性と女性の症例数は同程度であることが示されています。
人口10万対の症例数を15歳未満の小児と比較すると、15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上
の成人では約4倍となっています(表2)。
・ 流行3か国から医療従事者の感染が833人報告されており、このうち488人が死亡しています(表3)。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在
進行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
※ データの症例数は、確定例と死亡例のみを示しています。シエラレオネのデータの死亡者数は、
確定例、可能性例、疑い例の合計です。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよ
その境界線を表しています。リベリアのデータは、2月13-15日が不足しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生している国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
英国では、2014年12月29日にスコットランド・グラスゴーでEVD診断確定例が確認されました。
患者は、シエラレオネのETC(エボラ出血熱治療センター)でボランティアとして働いていた医療従事者
です。患者は12月29日に隔離され、ロンドンの医療機関で治療を受けています。患者は、2015年1月23日にEVD検査に対する2回目の陰性が確認され、1月24日に退院しました。全ての接触者は21日の健康監視期間を終了しました(表4)。
表4.英国におけるEVD症例数と死亡者数
EVDの曝露を早期に検知し対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険因子であり続ける。しかしな
がら、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込めるこ
とが可能である。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的EVDを効率的確実に検出、調査し報告、そして効果的対応の
実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(PSTs)の
派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 18 February 2015
http://apps.who.int/ebola/en/ebola-situation-report/situation-reports/
ebola-situation-report-18-february-2015
要約
・ 2月15日末の週に128人の新規確定例が報告されました。ギニアでは前週から減少し52人の新規確定例
が報告され、1月25日以降、初の減少となっています。シエラレオネでは74人の新規確定例のうち45人
が首都のフリータウンからの報告で、流行拡大は依然継続しています。リベリアでは2月12日までの4日
間で、2人の新規確定例が報告されています。
・ 地域社会との効果的な連携が、ギニア、リベリア、シエラレオネの多くの地域で終息のための成功の
鍵となりますが、課題がいくつか残っています。各々3カ国では、前週と比較してエボラに関連する
保安上の出来事の増加が報告されています。2月15日末の週に、ギニアで39例、シエラレオネで45例の
不適切な(安全でない)埋葬が報告されています。治療施設とは別の場所で死亡した症例を検査した
ところ、40例以上の新規確定例が確認されました。これらの症例は、潜在的な救命処置を受けていない
だけでなく、地域社会の他の人々が、死亡した人々が最初の症状を呈した段階で隔離されていた場合と
比較して、EVDの高い暴露リスクに曝されたことになります。接触者追跡調査は影響を受けた地域社会に
依存するため、連携が確保されなければ、感染の連鎖を追跡するという重要な任務はより困難と
なります。ギニア東部のローラ県での地域連携の成功は、対策に従事するヒトが、不適切な埋葬に関連
した患者本人とその接触者を追跡し、急速な局所的流行を管理下に置く事を可能にしました。同様の
解決策(進展)を、現在流行が残る地域で行う必要があります。
・ ギニアでの主な新規確定例は、首都コナクリで13人とギニア西部のフォレカリア県で24人が報告され
ています。セネガルと国境を接するギニア北部のマリ県で新たに2人の新規確定例が報告されました。
・ コートジボアール国境付近のサーベイランス強化は進行中です。さらに、ギニアビサウ、マリ、
セネガルでは国境を越えたサーベイランス強化のため、今月末に追加の準備案が計画されています。
・ リベリアから2人の確定例が報告されています。2人ともモンセラード群の同じ地域からの感染例で
あり、疫学的にリンクします
・ 12月から1月末日まで、シエラレオネでは急激な患者発生率の低下後、現在は安定しています。前週
76人の新規確定例が報告されたのと比較し、2月15日末の週は74人でした。
・ ギニア、リベリア、シエラレオネの3か国における入院症例における致死率は55%から64%の間で高い
状態が続いています。
1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネの3か国において、診断確定例、可能性例、疑い例を合わせて
23,000人以上の患者が発生しており、9,000人以上が死亡しています(表1)。2月15日末の週に、
ギニアでは52人、リベリアでは2人(データ欠損:2月13~15日)、シエラレオネでは74人の新規の
確定例が報告されました。
・ 確定例と可能性例の階層別解析では、男性と女性の症例数は同程度であることが示されています。
人口10万対の症例数を15歳未満の小児と比較すると、15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上
の成人では約4倍となっています(表2)。
・ 流行3か国から医療従事者の感染が833人報告されており、このうち488人が死亡しています(表3)。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
2, 727 |
156 |
1,683 |
可能性例 |
374 |
未報告 |
374 |
|
疑い例 |
7 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
3,108 |
156 |
2,057 |
|
リベリア |
確定例 |
3,149 |
11 |
未確定 |
可能性例 |
1,876 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
3,982 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
9,007 |
11 |
3,900 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,212 |
230 |
3,042 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
2,604 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
11,103 |
230 |
3,408 |
|
総数 |
23,218 |
397 |
9,365 |
進行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,481 |
1,586 |
478 |
1,720 |
837 |
(27) |
(29) |
(10) |
(37) |
(54) |
|
リベリア |
2,824 |
2,770 |
951 |
3,008 |
1,157 |
(142) |
(141) |
(55) |
(176) |
(217) |
|
シエラレオネ |
5,127 |
5,445 |
2,225 |
5,840 |
2,327 |
(180) |
(188) |
(92) |
(226) |
(315) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
167 |
88 |
リベリア |
372 |
179 |
シエラレオネ |
294 |
221 |
総数 |
833 |
488 |
確定例、可能性例、疑い例の合計です。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよ
その境界線を表しています。リベリアのデータは、2月13-15日が不足しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生している国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
英国では、2014年12月29日にスコットランド・グラスゴーでEVD診断確定例が確認されました。
患者は、シエラレオネのETC(エボラ出血熱治療センター)でボランティアとして働いていた医療従事者
です。患者は12月29日に隔離され、ロンドンの医療機関で治療を受けています。患者は、2015年1月23日にEVD検査に対する2回目の陰性が確認され、1月24日に退院しました。全ての接触者は21日の健康監視期間を終了しました(表4)。
表4.英国におけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
確定例 |
可能性例 |
疑い例 |
死亡者数 |
医療従事者の割合 |
健康監視中の接触者数 |
21日間の健康監視終了者数 |
最新患者検査陰性確定日* |
*からの経過日数 |
英国 |
1 |
0 |
0 |
0 |
100% |
0 |
55 |
2015/1/23 |
25 |
EVDの曝露を早期に検知し対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険因子であり続ける。しかしな
がら、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込めるこ
とが可能である。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的EVDを効率的確実に検出、調査し報告、そして効果的対応の
実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(PSTs)の
派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 18 February 2015
http://apps.who.int/ebola/en/ebola-situation-report/situation-reports/
ebola-situation-report-18-february-2015