(No.26)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染症確定例(134)-サウジアラビア
2015年2月23日更新

 2015年2月8日から19日までの間に、サウジアラビアの国際保健規則(IHR)担当窓口は、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例43人(死亡者14人)をWHO(世界保健機関)に追加で報告しました。症例は、報告日ごとに掲載され、直近の症例が最初に掲載されています。

 患者の詳細は以下の通りです。
 1.Khober市在住の84歳の男性は、1月25日から別の病気で入院していた間の2月16日に発症しました。
  患者は、MERS-CoV感染確定例3人(症例24、25、41、下記参照)を担当していた医療従事者から同じ
  病室で看護を受けていました。発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。ICUに入
  院しており、危篤状態です。

 2.Riyadh市在住の85歳の男性は、2月15日に発症して17日に入院しました。患者は合併症があります
  が、発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。陰圧管理された隔離病棟に入院して
  おり、安定した状態です。

 3.Khober市在住の58歳の男性は、12月27日から別の病気で入院していた間の2月16日に発症しまし
  た。患者は、MERS-CoV感染確定例3人(症例24、25、41、下記参照)を担当していた医療従事者から
  同じ病室で看護を受けていました。発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。
  ICUに入院しており、危篤状態です。

 4.Jubail市在住の41歳の男性は、2月14日に発症して15日に入院しました。患者には合併症はありませ
  んが、発症14日以内にラクダとの接触歴や生乳の喫食歴があります。発症14日以内に他の既知の危険
  因子への曝露歴はありません。陰圧管理された隔離病棟に入院しており、安定した状態です。

 5.Riyadh市在住の37歳の男性は、2月10日に発症して15日に入院しました。患者は喫煙者ですが、合
  併症や発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。陰圧管理された隔離病棟に入院し
  ており、安定した状態です。

 6.Buridah市在住の75歳の男性は、1月19日から別の病気で入院していた間の2月11日に発症しました。
  患者は、MERS-CoV感染確定例(症例21、下記参照)が治療を受けていた同じ病室で治療を受けていま
  した。発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。2月15日に死亡しました。

 7.Taima市在住の65歳の男性は、2月11日に発症して14日に入院しました。患者には合併症があり、発
  症14日以内にラクダとの接触歴や生乳の喫食歴があります。発症14日以内に他の既知の危険因子への
  曝露歴はありません。2月18日に死亡しました。

 8.Riyadh市在住の60歳の外国籍男性は、2月9日に発症して11日に入院しました。患者には合併症がな
  く、発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴もありません。2月18日に死亡しました。

 9.Dammam市在住の医療従事者の38歳の外国籍男性は、2月14日に発症しました。患者には合併症は
  ありませんが、MERS-CoV感染確定例3人(症例24、25、26、下記参照)の医療接触者です。発症14日
  以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。安定した状態で、自宅に隔離されています。

 10.Riyadh市在住の34歳の外国籍女性は、2月1日に発症して12日に入院しました。患者には合併症は
  ありせん。発症14日以内にJeddah市への旅行歴がありますが、旅行中に他の既知の危険因子への曝露
  歴はありません。発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。ICUに入院しており、
  危篤状態です。

 11.Riyadh市在住の83歳の男性は、2月13日に発症して14日に入院しました。患者は合併症があります
  が、発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。2月19日に死亡しました。

 12.Jeddah市在住の43歳の外国籍女性は、2月12日に発症して13日に入院しました。患者には合併症は
  ありませんが、MERS-CoV感染確定例(症例35、下記参照)の接触者です。陰圧管理された隔離病棟に
  入院しており、安定した状態です。

 13.Aljouf市在住の58歳の女性は、2月13日に発症して同日に入院しました。患者は合併症があります
  が、発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。陰圧管理された隔離病棟に入院して
  おり、安定した状態です。

 14.Riyadh市在住の54歳の女性は、1月28日に発症して2月11日に入院しました。患者は合併症があり、
  既報患者(2月12日更新129の症例6)の接触者です。発症14日以内にラクダとの接触歴や生乳の喫食歴
  がありますが、他の既知の危険因子への曝露歴はありません。陰圧管理された隔離病棟に入院しており、
  安定した状態です。

 15.Buridah市在住の35歳の男性は、1月28日から別の病気で入院していた間の2月10日に発症しました。
  患者は、MERS-CoV感染確定例(症例21、下記参照)が治療を受けていた同じ病室で治療を受けていま
  したが、同じ医療従事者が担当ではありませんでした。発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴
  はありません。2月19日に死亡しました。

 16.Buridah市在住の23歳の男性は、1月13日から別の病気で入院していた間の2月7日に発症しました。
  患者は、MERS-CoV感染確定例(症例21、下記参照)が治療を受けた同じ病室で治療を受けていました
  が、同じ医療従事者が担当ではありませんでした。発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はあ
  りません。2月19日に死亡しました。

 17.Najran市在住の47歳の外国籍男性は、2月1日に発症して12日に入院しました。患者は合併症があり
  ますが、発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。ICUに入院しており、危篤状態
  です。

 18.Najran市在住の31歳の男性は、2月8日に発症して12日に入院しました。患者には合併症はありませ
  んが、既報患者(2月17日更新133の症例3)を訪問するためにDammam市へ旅行しました。いずれの都
  市においても、発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。陰圧管理された隔離病棟
  に入院しており、安定した状態です。

 19.Alrass市在住の81歳の男性は、2月8日に発症して11日に入院しました。患者は合併症がありますが、
  発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。陰圧管理された隔離病棟に入院してお
  り、安定した状態です。

 20.Buridah市在住の42歳の男性は、2月6日に発症して12日に入院しました。患者には合併症はなく、
  ラクダとの接触歴もありませんが、羊との接触歴があります。発症14日以内にHafer Albatinへの旅行
  歴はありますが、いずれの都市においても、他の既知の危険因子への曝露歴はありません。陰圧管理さ
  れた隔離病棟に入院しており、安定した状態です。

 21.Buridah市在住の41歳の外国籍男性は、1月21日から別の病気で入院していた間の2月1日に発症し
  ました。患者はMERS-CoV感染確定例との接触歴がなく、病院はMERS-CoVに感染していない患者と
  して扱っていました。2月9日に家族が訪問していますが、いずれも呼吸器症状はありませんでした。発
  症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。2月13日に死亡しました。

 22.Dammam市在住の医療従事者の31歳の外国籍女性は、2月12日に発症しました。患者には合併症は
  ありませんが、既報患者(2月17日更新133の症例3)と新規患者(症例41、下記参照)との接触歴があり
  ます。発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。安定した状態で、自宅に隔離され
  ています。

 23.Albadaee市在住の54歳の男性は、1月31日から別の病気で入院していた間の2月9日に発症しました。
  発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。2月18日に死亡しました。

 24.Khober市在住の70歳の女性は、10月1日から別の病気で入院していた間の2月11日に発症しました。
  患者は、既報患者(2月17日更新133の症例3)と同じ病棟で同じ医療従事者の治療を受けていました。発
  症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。2月19日に死亡しました。

 25.Khober市在住の77歳の男性は、2月2日から別の病気で入院していた間の2月11日に発症しました。
  患者は、既報患者(2月17日更新133の症例3)と同じ病棟に入院していました。発症14日以内に他の既
  知の危険因子への曝露歴はありません。2月17日に死亡しました。

 26.Khober市在住の83歳の女性は、2012年2月20日から別の病気で入院していた間の2015年2月7日に
  発症しました。患者は、既報患者(2月17日更新133の症例3)と同じ病棟に入院していました。発症
  14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。2月19日に死亡しました。

 27.Riyadh市在住の49歳の女性は、2月7日に発症して11日に入院しました。患者は合併症があります
  が、発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。陰圧管理された隔離病棟に入院して
  おり、安定した状態です。

 28.Buridah市在住の医療従事者の46歳の男性は、2月9日に発症して11日に入院しました。患者は合併
  症があります。Jeddah市への旅行歴がありますが、いずれの都市においても、発症14日以内に他の既
  知の危険因子への曝露歴はありません。陰圧管理された隔離病棟に入院しており、安定した状態です。

 29.Riyadh市在住の24歳の男性は、1月24日から別の病気で入院していた間の2月7日に発症しました。
  患者は、既報患者(2月17日更新133の症例2)が治療を受けていた同じ病棟に入院しましたが、同じ医療
  従事者が担当ではありませんでした。発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。陰
  圧管理された隔離病棟に入院しており、安定した状態です。

 30.Riyadh市在住の79歳の女性は、2月8日に発症して11日に入院しました。患者は合併症があります
  が、発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。2月11日に死亡しました。

 31.Dahran市在住の52歳の男性は、1月30日に発症して2月4日に入院しました。患者は合併症がありま
  すが、発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。ICUに入院しており、安定した状
  態です。

 32.Dahran市在住の53歳の男性は、2月1日に発症して2月6日に入院しました。患者は合併症があり、
  Najran市のラクダ農場の訪問歴とラクダとの接触歴がありますが、発症14日以内に他の既知の危険因
  子への曝露歴はありません。ICUに入院しており、安定した状態です。

 33.Riyadh市在住の29歳の男性は、2月9日に発症して11日に入院しました。患者は合併症があります
  が、発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。陰圧管理された隔離病棟に入院して
  おり、安定した状態です。

 34.Madinah市在住の70歳の男性は、2月8日に発症して9日に入院しました。患者は合併症があります。
  ラクダとの接触歴はありませんが、頻繁にラクダの生乳を消費していました。Wadi Aldwaser市への旅
  行歴がありますが、いずれの都市においても、発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありま
  せん。2月14日に死亡しました。

 35.Jeddah市在住の46歳の外国籍男性は、2月1日に発症して10日に入院しました。患者は合併症があ
  りますが、発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。ICUに入院しており、危篤状
  態です。

 36.Riyadh市在住の75歳の外国籍男性は、1月24日から別の病気で入院していた間の2月10日に発症し
  ました。患者は、既報患者(2月17日更新133の症例2)が治療を受けていた同じ病室に入院しました。発
  症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。ICUに入院しており、危篤状態です。

 37.Riyadh市在住の58歳の男性は、2月1日に発症して2月10日に入院しました。患者は合併症がありま
  す。ラクダ農場を所有しており、ラクダとの頻繁な接触歴に加えて、頻繁にラクダの生乳を消費歴があ
  りました。発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。ICUに入院しており、危篤状
  態です。

 38.Riyadh市在住の41歳の男性は、1月27日から別の病気で入院していた間の2月7日に発症して、別の
  病院から転院しました。患者は、どちらの病院でもMERS-CoV感染確定例との接触歴はなく、入院時に
  MERS-CoV感染確定例はいませんでした。発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありませ
  ん。ICUに入院しており、危篤状態です。

 39.Onizah市在住の27歳の女性は、2月1日に発症して7日に入院しました。患者は妊娠していますが、
  合併症はありません。発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。ICUに入院してお
  り、安定した状態です。

 40.Jeddah市在住の73歳の外国籍女性は、2月2日に発症して5日に入院しました。患者は合併症があり
  ます。Riyadh市への旅行歴がありますが、旅行中にMERS-CoV感染確定例や医療従事者との接触歴は
  ありませんでした。発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。2月8日に死亡しま
  した。

 41.Dammam市在住の医療従事者の31歳の外国籍女性は、2月6日に発症して9日に入院しました。患者
  には合併症はありませんが、既報患者(2月17日更新133の症例3)との直接的な接触歴があります。発症
  14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありません。陰圧管理された隔離病棟に入院しており、安
  定した状態です。

 42.Buridah市在住の医療従事者の48歳の男性は、2月7日に発症して9日に入院しました。患者はタバコ
  やシーシャタバコを吸い、合併症があります。発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありま
  せん。ICUに入院しており、危篤状態です。

 43.Dammam市在住の56歳の男性は、1月30日に発症して2月1日に入院しました。患者には合併症は
  なく、発症14日以内に他の既知の危険因子への曝露歴もありません。陰圧管理された隔離病棟に入院し
  ており、安定した状態です。

 サウジアラビアのIHR担当窓口は、16日に報告された既報患者2人(2月17日更新133の症例1と症例3)の死亡を報告しました。

 今回の症例について、家族や医療従事者における接触者の追跡調査が進行中です。
 
 全世界で、少なくとも376人の関連死を含む、1,026人のMERS-CoV感染確定例がWHOに報告されています。

 【出典】
  WHO, Global Alert and Response (GAR).
  Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Saudi Arabia,
  23 February 2015
  http://www.who.int/csr/don/23-february-2015-mers-saudi-arabia/en/