エボラ出血熱の流行状況28 平成27年2月25日更新
2015年2月25日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 2月22日末の週に99人の新規確定例が報告されました。ギニアでは35人の新規確定例が報告され、
未知の感染の連鎖が発生し続けています。シエラレオネでは63人の新規確定例が報告され、流行拡大は
依然継続しています。ボンバリ地区での20人の新規確定例が最も多く、以前報告された首都フリータウン
のアバディーンの漁師での感染例と繋がりがあります。フリータウンでは同時期に14人の新規確定例が
報告されており、同地区や他の地区でも未知の感染の連鎖が発生し続けています。リベリアでは感染例が
少なく、22日末の1週間で新規確定例が1人報告されました。首都モンロビアで登録された接触者が判明
している感染の連鎖と関連しています。
・ 地域社会との有効な繋がりはいくつかの地域で達成されていません。ギニアで地方の1/3の県で安全
保安上の事例が少なくとも1件報告されました。対策に対する噂や間違った情報が結果としてEVDの拡げ
ることに繋がっています。ギニアとシエラレオネで地域社会の中で亡くなった遺体を検死した結果、16人
の新規確定例が同定され、これは大多数の人がまだ治療をうけることができない、または治療をうけるこ
とに反対していたことを示しています。これら個人が感染の連鎖と繋がっている接触者として同定され、
最初の症状が出たらすぐに診断、隔離され、治療されることが理想です。ギニアとシエラレオネでそれぞ
れ19件と15件の埋葬で安全性に欠けていることが報告されました。
・ ギニアの最近の症例は互いに隣接する西の3県から報告されています。新規確定例はコナクリ県で6人、
コヤ県で8人、フォレカリア県で16人でした。しかし東の県のローラ県やコートジボアールとの国境地域
では1人でした。この県では発生数は変動しています。マリの北の県、セネガルとの国境地域では1人報告
されています。
・ シエラレオネでは、12月から1月末までの患者発生数の急激な減少はストップしています。新たな確定
患者が報告されている8地方では流行が広く残っています。症例のかなりの割合で未知の感染の連鎖から
発生し続けています。
・ 関連する保健省へ結果を報告する検査場で、検体の84%から98%が2月22日までの22日間をみてみる
と、収集後1日以内に検査されました。現在どれくらい早く検査結果が患者に通知されるのかというデー
タがありません。
・ 22日末の週で3人の医療従事者による感染例が報告されており(2人はギニア、1人はシエラレオネ)流
行の始めから837人の医療従事者が感染し、490人が死亡と報告されています。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を
含む)が23,500人を越え、死亡者数も9,500人(たくさんの未知の報告があります)を越えました。
(表1)2月22日までの1週間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで35人、リベリアで1人、シエ
ラレオネで63人でした。
・ 確定患者と可能性例からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示しています。
(表2)10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約
3倍、45歳以上の成人では約4倍になっています。
・ 流行3か国では837人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、490人が亡くなっています。
(表3)
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在
進行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
※ データの症例数は、確定例と死亡例のみを示しています。シエラレオネのデータの死亡者数は、
確定例、可能性例、疑い例の合計です。
図1.ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の新規および累積の診断確定および
可能性の高い患者数の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよ
その境界線を表しています。リベリアのデータは、2月13-15日が不足しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生している国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深
刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
・ 英国では、2014年12月29日にスコットランドのグラスゴーでEVD診断確定例が確認されました。
患者は、シエラレオネのETC(エボラ出血熱治療センター)でボランティアとして働いていた医療従事者で
す。患者は12月29日に隔離され、ロンドンの医療機関で治療を受け、2015年1月23日にEVD検査に対す
る2回目の陰性が確認され、1月24日に退院しました。全ての接触者は21日の健康監視期間を終了しまし
た(表4)。
表4.英国におけるEVD症例数と死亡者数
EVDの曝露を早期に検知し対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険因子であり続ける。しかしな
がら、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込めるこ
とが可能である。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的EVDを効率的確実に検出、調査し報告、そして効果的対応の
実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(PSTs)の
派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 25 February 2015
http://apps.who.int/ebola/en/ebola-situation-report/situation-reports/
ebola-situation-report-25-february-2015
要約
・ 2月22日末の週に99人の新規確定例が報告されました。ギニアでは35人の新規確定例が報告され、
未知の感染の連鎖が発生し続けています。シエラレオネでは63人の新規確定例が報告され、流行拡大は
依然継続しています。ボンバリ地区での20人の新規確定例が最も多く、以前報告された首都フリータウン
のアバディーンの漁師での感染例と繋がりがあります。フリータウンでは同時期に14人の新規確定例が
報告されており、同地区や他の地区でも未知の感染の連鎖が発生し続けています。リベリアでは感染例が
少なく、22日末の1週間で新規確定例が1人報告されました。首都モンロビアで登録された接触者が判明
している感染の連鎖と関連しています。
・ 地域社会との有効な繋がりはいくつかの地域で達成されていません。ギニアで地方の1/3の県で安全
保安上の事例が少なくとも1件報告されました。対策に対する噂や間違った情報が結果としてEVDの拡げ
ることに繋がっています。ギニアとシエラレオネで地域社会の中で亡くなった遺体を検死した結果、16人
の新規確定例が同定され、これは大多数の人がまだ治療をうけることができない、または治療をうけるこ
とに反対していたことを示しています。これら個人が感染の連鎖と繋がっている接触者として同定され、
最初の症状が出たらすぐに診断、隔離され、治療されることが理想です。ギニアとシエラレオネでそれぞ
れ19件と15件の埋葬で安全性に欠けていることが報告されました。
・ ギニアの最近の症例は互いに隣接する西の3県から報告されています。新規確定例はコナクリ県で6人、
コヤ県で8人、フォレカリア県で16人でした。しかし東の県のローラ県やコートジボアールとの国境地域
では1人でした。この県では発生数は変動しています。マリの北の県、セネガルとの国境地域では1人報告
されています。
・ シエラレオネでは、12月から1月末までの患者発生数の急激な減少はストップしています。新たな確定
患者が報告されている8地方では流行が広く残っています。症例のかなりの割合で未知の感染の連鎖から
発生し続けています。
・ 関連する保健省へ結果を報告する検査場で、検体の84%から98%が2月22日までの22日間をみてみる
と、収集後1日以内に検査されました。現在どれくらい早く検査結果が患者に通知されるのかというデー
タがありません。
・ 22日末の週で3人の医療従事者による感染例が報告されており(2人はギニア、1人はシエラレオネ)流
行の始めから837人の医療従事者が感染し、490人が死亡と報告されています。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を
含む)が23,500人を越え、死亡者数も9,500人(たくさんの未知の報告があります)を越えました。
(表1)2月22日までの1週間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで35人、リベリアで1人、シエ
ラレオネで63人でした。
・ 確定患者と可能性例からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示しています。
(表2)10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約
3倍、45歳以上の成人では約4倍になっています。
・ 流行3か国では837人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、490人が亡くなっています。
(表3)
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
2,762 |
152 |
1,704 |
可能性例 |
387 |
未報告 |
387 |
|
疑い例 |
6 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
3,155 |
152 |
2,091 |
|
リベリア |
確定例 |
3,153 |
10 |
未確定 |
可能性例 |
1,888 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
4,197 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
9,238 |
10 |
4,037 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,289 |
235 |
3,095 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
2,725 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
11,301 |
235 |
3,461 |
|
総数 |
23,694 |
397 |
9,589 |
進行中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,481 |
1,586 |
487 |
1,720 |
837 |
(27) |
(29) |
(10) |
(37) |
(54) |
|
リベリア |
2,854 |
2,809 |
962 |
3,054 |
1,169 |
(143) |
(143) |
(56) |
(179) |
(219) |
|
シエラレオネ |
5,197 |
5,540 |
2,242 |
5,659 |
2,350 |
(182) |
(191) |
(92) |
(230) |
(318) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
170 |
89 |
リベリア |
372 |
180 |
シエラレオネ |
295 |
221 |
総数 |
837 |
490 |
確定例、可能性例、疑い例の合計です。
図1.ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の新規および累積の診断確定および
可能性の高い患者数の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよ
その境界線を表しています。リベリアのデータは、2月13-15日が不足しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生している国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深
刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
・ 英国では、2014年12月29日にスコットランドのグラスゴーでEVD診断確定例が確認されました。
患者は、シエラレオネのETC(エボラ出血熱治療センター)でボランティアとして働いていた医療従事者で
す。患者は12月29日に隔離され、ロンドンの医療機関で治療を受け、2015年1月23日にEVD検査に対す
る2回目の陰性が確認され、1月24日に退院しました。全ての接触者は21日の健康監視期間を終了しまし
た(表4)。
表4.英国におけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
確定例 |
可能性例 |
疑い例 |
死亡者数 |
医療従事者の割合 |
健康監視中の接触者数 |
21日間の健康監視終了者数 |
最新患者検査陰性確定日* |
*からの経過日数 |
英国 |
1 |
0 |
0 |
0 |
100% |
0 |
55 |
2015/1/23 |
32 |
EVDの曝露を早期に検知し対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険因子であり続ける。しかしな
がら、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込めるこ
とが可能である。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的EVDを効率的確実に検出、調査し報告、そして効果的対応の
実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(PSTs)の
派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 25 February 2015
http://apps.who.int/ebola/en/ebola-situation-report/situation-reports/
ebola-situation-report-25-february-2015