エボラ出血熱の流行状況29 平成27年3月4日更新
2015年3月4日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 3月1日末の週に132人の新規確定例が報告され、前週(新規確定例99人)と比べ増加しています。
リベリアでは今週は新規確定例が報告されていません。2014年5月26日末の週以来です。シエラレオ
ネとギニアの両方で新規確定例が増加しています。シエラレオネの流行拡大は依然継続し、3月1日末の
週では8つの地域で新規確定例が報告されています。ギニアではフォレカリア県とコナクリ県で前週と
比べ、増加しております。
・ ギニアでは前週は35人の新規確定例でしたが、3月1日末の週は新規確定例が51人でした。症例は接
触者登録の中から発生した患者は49%しかなく感染源を辿ることができない感染源から多く発生し続け
ています。7つの県から新規発生例が報告され、隣接する西部の3県が最も多く、コナクリ県で17人、
コワイヤ県で5人、フォレカリア県で23人でした。マセンタ県でも2人の新規確定例が報告されました
が同県では4週間、新規確定例は報告されていませんでした。東部の県でコートジボワールとの国境地
域であるローラ県では僅かながら感染が拡がっており、新規発生例は1人でした。
・ シエラレオネでは3月1日末の週に8県から81人の新規確定例が報告されました。以前に報告された首
都フリータウンのアバディーン漁業共同体での集団発生が他の地域まで拡がり、特にボンバリ地区で
22人の新規確定例が報告されました。フリータウンでは26人、ポート・ロコでは16人の新規確定例が報
告されました。
・ リベリアでは今週は新規確定例の報告はありませんでした。モンロビアのセントポール橋地区の感染
源を辿ることができる接触者は現在健康監視下にあります。3月1日末の週に国中で45検体がテストさ
れ、EVD陽性はありませんでした。
・ ギニアとシエラレオネでEVD確定例による死者数は依然として多く、早期の隔離や治療の必要性がま
だ理解不足で、受け入れられていない、実行できていないことを示しています。ギニアでは3月1日末の
週にEVD確定例の死者数のうち半数以上(53%:32人中17人)が地域から発生しており、前週の42%
(21人中9人)に比べ、増加しています。シエラレオネでは同時期にEVD確定例の死者数のうち16%が
地域から発生しており、前週は21%でした。
・ 安全性を欠いた埋葬が引き続き報告されており、ギニアとシエラレオネでは2月22日末の週と3月1日
末の週にそれぞれ16件報告されています。
・ 3月1日末の週にシエラレオネで1531人分の検体、ギニアで270人分の検体がそれぞれ検査され、リ
ベリアで45人分の検体が検査されたことと比較し、現在リベリアでのサーベイランスが最適ではないこ
とを示しています。
・ 国境を超える感染伝播の危険性を留意し、ギニア、マリ、セネガルからの代表団は2月25日から26日
に会議を行い、(検査室での物資の共有を含めた)ケースマネージメントに関し国境を越えた協力、地
域を対象とした監視、リスクコミュニケーションや情報の共有、国境を越えたスクリーニング検査を強
化することを同意しました。
・ 3月1日末の週にギニアで、新たに1人の医療従事者の感染者が報告されています。流行が始まって以
来、最も影響の大きかった3か国で839人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、491人
が亡くなっています。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者
を含む)が23,900人を越え、死亡者数も9,800人(たくさんの未知の報告があります)を越えました。
3月2日までの1週間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで51人、リベリアは0人、シエラレオネ
で81人でした。(表1)
・ 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示していま
す。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約
3倍、45歳以上の成人では約4倍になっています。(表2)
・ 流行3か国では839人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、491人が亡くなっていま
す。(表3)
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3. ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
※ ギニアのデータは、症例数は確定例のみ、死亡者数は確定例と可能性例の合計です。リベリアのデータ
は、症例数も死亡者数も確定例のみです。シエラレオネのデータは、症例数も死亡者数も確定例、可能性
例、疑い例の合計です。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよ
その境界線を表しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深
刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
・ イギリスでは、公衆衛生当局が2014年12月29日にスコットランドのグラスコーでエボラ出血熱患者
の発生を確認しました。この患者はシエラレオネのエボラ治療センターでボランティアとして働き帰国
した医療従事者です。患者は12月29日に隔離された後に、ロンドンの病院で治療を受けました。患者
は1月23日にエボラ出血熱検査に対する2回目の陰性結果を得て、24日に退院しました。全ての接触者
は21日の健康監視期間を完了しました。(表4)
表4.英国におけるEVD症例数と死亡者数
EVDの曝露を早期に検知し対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険因子であり続ける。しかし
ながら、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込め
ることが可能である。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的EVDを効率的確実に検出、調査し報告、そして効果的対応
の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(PSTs)の
派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 4 March 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-4-march-2015
要約
・ 3月1日末の週に132人の新規確定例が報告され、前週(新規確定例99人)と比べ増加しています。
リベリアでは今週は新規確定例が報告されていません。2014年5月26日末の週以来です。シエラレオ
ネとギニアの両方で新規確定例が増加しています。シエラレオネの流行拡大は依然継続し、3月1日末の
週では8つの地域で新規確定例が報告されています。ギニアではフォレカリア県とコナクリ県で前週と
比べ、増加しております。
・ ギニアでは前週は35人の新規確定例でしたが、3月1日末の週は新規確定例が51人でした。症例は接
触者登録の中から発生した患者は49%しかなく感染源を辿ることができない感染源から多く発生し続け
ています。7つの県から新規発生例が報告され、隣接する西部の3県が最も多く、コナクリ県で17人、
コワイヤ県で5人、フォレカリア県で23人でした。マセンタ県でも2人の新規確定例が報告されました
が同県では4週間、新規確定例は報告されていませんでした。東部の県でコートジボワールとの国境地
域であるローラ県では僅かながら感染が拡がっており、新規発生例は1人でした。
・ シエラレオネでは3月1日末の週に8県から81人の新規確定例が報告されました。以前に報告された首
都フリータウンのアバディーン漁業共同体での集団発生が他の地域まで拡がり、特にボンバリ地区で
22人の新規確定例が報告されました。フリータウンでは26人、ポート・ロコでは16人の新規確定例が報
告されました。
・ リベリアでは今週は新規確定例の報告はありませんでした。モンロビアのセントポール橋地区の感染
源を辿ることができる接触者は現在健康監視下にあります。3月1日末の週に国中で45検体がテストさ
れ、EVD陽性はありませんでした。
・ ギニアとシエラレオネでEVD確定例による死者数は依然として多く、早期の隔離や治療の必要性がま
だ理解不足で、受け入れられていない、実行できていないことを示しています。ギニアでは3月1日末の
週にEVD確定例の死者数のうち半数以上(53%:32人中17人)が地域から発生しており、前週の42%
(21人中9人)に比べ、増加しています。シエラレオネでは同時期にEVD確定例の死者数のうち16%が
地域から発生しており、前週は21%でした。
・ 安全性を欠いた埋葬が引き続き報告されており、ギニアとシエラレオネでは2月22日末の週と3月1日
末の週にそれぞれ16件報告されています。
・ 3月1日末の週にシエラレオネで1531人分の検体、ギニアで270人分の検体がそれぞれ検査され、リ
ベリアで45人分の検体が検査されたことと比較し、現在リベリアでのサーベイランスが最適ではないこ
とを示しています。
・ 国境を超える感染伝播の危険性を留意し、ギニア、マリ、セネガルからの代表団は2月25日から26日
に会議を行い、(検査室での物資の共有を含めた)ケースマネージメントに関し国境を越えた協力、地
域を対象とした監視、リスクコミュニケーションや情報の共有、国境を越えたスクリーニング検査を強
化することを同意しました。
・ 3月1日末の週にギニアで、新たに1人の医療従事者の感染者が報告されています。流行が始まって以
来、最も影響の大きかった3か国で839人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、491人
が亡くなっています。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者
を含む)が23,900人を越え、死亡者数も9,800人(たくさんの未知の報告があります)を越えました。
3月2日までの1週間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで51人、リベリアは0人、シエラレオネ
で81人でした。(表1)
・ 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示していま
す。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約
3倍、45歳以上の成人では約4倍になっています。(表2)
・ 流行3か国では839人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、491人が亡くなっていま
す。(表3)
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
2,813 |
138 |
1,737 |
可能性例 |
392 |
未報告 |
392 |
|
疑い例 |
14 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
3,219 |
138 |
2,129 |
|
リベリア |
確定例 |
3,150 |
6 |
未確定 |
可能性例 |
1,877 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
4,222 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
9,249 |
6 |
4,117 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,370 |
240 |
3,180 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
2,809 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
11,466 |
240 |
3,546 |
|
総数 |
23,934 |
384 |
9,792 |
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,532 |
1,637 |
495 |
1,776 |
878 |
(28) |
(30) |
(11) |
(38) |
(56) |
|
リベリア |
2,871 |
2,828 |
964 |
3,077 |
1,180 |
(144) |
(144) |
(56) |
(180) |
(221) |
|
シエラレオネ |
5,289 |
5,614 |
2,262 |
6,069 |
2,369 |
(185) |
(194) |
(93) |
(234) |
(321) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3. ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
172 |
89 |
リベリア |
372 |
180 |
シエラレオネ |
295 |
221 |
総数 |
839 |
491 |
は、症例数も死亡者数も確定例のみです。シエラレオネのデータは、症例数も死亡者数も確定例、可能性
例、疑い例の合計です。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよ
その境界線を表しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深
刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
・ イギリスでは、公衆衛生当局が2014年12月29日にスコットランドのグラスコーでエボラ出血熱患者
の発生を確認しました。この患者はシエラレオネのエボラ治療センターでボランティアとして働き帰国
した医療従事者です。患者は12月29日に隔離された後に、ロンドンの病院で治療を受けました。患者
は1月23日にエボラ出血熱検査に対する2回目の陰性結果を得て、24日に退院しました。全ての接触者
は21日の健康監視期間を完了しました。(表4)
表4.英国におけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
確定例 |
可能性例 |
疑い例 |
死亡者数 |
医療従事者の割合 |
健康監視中の接触者数 |
21日間の健康監視終了者数 |
最新患者検査陰性確定日* |
*からの経過日数 |
英国 |
1 |
0 |
0 |
0 |
100% |
0 |
55 |
2015/1/23 |
39 |
EVDの曝露を早期に検知し対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険因子であり続ける。しかし
ながら、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込め
ることが可能である。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的EVDを効率的確実に検出、調査し報告、そして効果的対応
の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(PSTs)の
派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 4 March 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-4-march-2015