エボラ出血熱の流行状況30 平成27年3月11日更新
2015年3月11日、WHO(世界保健機構)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
3月8日末の週に116人の新規確定例が報告され、前週の新規確定例132人と比較し減少しています。リベリアでは2週続いて新規確定例は報告されていません。
ギニアとシエラレオネでの新規確定例は、それぞれの首都であるコナクリ、フリータウンと地理的に隣接する沿岸部の合計11地区で発生しました。1月下旬から全体的な発生率の低下はみられなかったのですが、症例発生における地理的分布が最近縮小傾であり、より狭い地域で対策を実施する事が可能となっています。
・ ギニアでは前週の51人と比べて、3月8日末の週では新規確定例は58人でした。首都のコナクリ
(13人)を含む周辺地域に集中しています。首都から近いボッファ県で2人、コワイヤ県で8人、ドゥブ
レカ県で5人、フォレカリア県で28人、唯一首都から離れた県であるキンディア県は2人でした。
・ シエラレオネでは3月8日末の週に58人の新規確定例が報告されました。2014年6月以来、毎週の発
生率がギニアを上回らなかった初めての週となりました。症例は首都フリータウン周辺の北部と西部の
5つの地域に集中し、新規確定例は27人でした。周辺地域ではボンバリで6人、カンビアで7人、ポート
ロコで12人、西部地域地方地区でも6人の症例が報告されています。
・ リベリアでは3月5日までの4日間に90人の疑い例が報告され、EVD陽性例は0であり、警戒が維持さ
れていることを示しています。合計102人の接触者が経過観察中です。
・ ギニアで過去3週間に報告されたEVD死亡者数は増加しており、接触者追跡調査と地域社会のかかわ
りにおいて、まだ重要な課題が残っていることを示唆しています。3月8日末の週でEVD陽性死亡例が
40人報告され、うち24人は地域社会で発生しました。対照的に、同時期にシエラレオネで報告された
EVD陽性死亡例は83人で、うち11人が地域社会で発生しました。同時期に安全性を欠いた埋葬がギニ
アで合計13件、シエラレオネで2件報告されています。
・ 3月1日末の週にギニアではEVD診断確定例51人中7人(14%)が、以前の患者との接触者の中から
発症しました。これは未だに相当な数の既知の感染連鎖で追跡されていない接触者がおり、未知の感染
連鎖が続いていることを示しています。対照的にシエラレオネでは同時期にEVD診断確定例81人中
52人(64%)が登録された接触者の中から発生していました。3月8日までの1週間に追跡された接触
者の日別平均人数は、ギニアでは1,433人で、これに対してシエラレオネでは7,934人でした。
・ ギニアでの登録された接触者間で発生する患者の割合が低いこと、地域で発生するEVD陽性死亡者の
割合が相対的に高いこと、安全性に欠ける埋葬が行われ続けていることは、感染が流行している地域と
共同で効果的に取り組むことの困難さが続いていることを示しています。3月8日末の週で、ギニアの
7つの県で少なくとも1件、安全性に関わる事例が報告されています。
・ 3月1日末の週に、情報交換、最善な実験結果の共有、戦略を揃えるため、カンビアとフォレカリアで
行われた合同会議を含め、5つの国境対策会議が開かれました。
・ 3月8日末の週に、ギニアでは医療従事者の感染が1人報告されました。流行が始まって以来の医療従
事者の感染者は840人となり、うち491人が亡くなっています。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者
を含む)が24,000人を越え、死亡者数も10,000人(たくさんの未知の報告があります)を越えました。
3月8日までの1週間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで58人、リベリアは0人、シエラレオネ
で58人でした。(表1)
・ 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示していま
す。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約
3倍、45歳以上の成人では約4倍になっています。(表2)
・ 流行3か国では840人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、491人が亡くなっていま
す。(表3)
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3. ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
※ ギニアのデータは、症例数は確定例のみ、死亡者数は確定例と可能性例の合計です。リベリアのデータ
は、症例数も死亡者数も確定例のみです。シエラレオネのデータは、症例数も死亡者数も確定例、可能性
例、疑い例の合計です。
図1. ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよ
その境界線を表しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深
刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険因子であり続けます。しか
し、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込めるこ
とが可能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果
的対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム
(PSTs)の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 11 March 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-11-march-2015
要約
3月8日末の週に116人の新規確定例が報告され、前週の新規確定例132人と比較し減少しています。リベリアでは2週続いて新規確定例は報告されていません。
ギニアとシエラレオネでの新規確定例は、それぞれの首都であるコナクリ、フリータウンと地理的に隣接する沿岸部の合計11地区で発生しました。1月下旬から全体的な発生率の低下はみられなかったのですが、症例発生における地理的分布が最近縮小傾であり、より狭い地域で対策を実施する事が可能となっています。
・ ギニアでは前週の51人と比べて、3月8日末の週では新規確定例は58人でした。首都のコナクリ
(13人)を含む周辺地域に集中しています。首都から近いボッファ県で2人、コワイヤ県で8人、ドゥブ
レカ県で5人、フォレカリア県で28人、唯一首都から離れた県であるキンディア県は2人でした。
・ シエラレオネでは3月8日末の週に58人の新規確定例が報告されました。2014年6月以来、毎週の発
生率がギニアを上回らなかった初めての週となりました。症例は首都フリータウン周辺の北部と西部の
5つの地域に集中し、新規確定例は27人でした。周辺地域ではボンバリで6人、カンビアで7人、ポート
ロコで12人、西部地域地方地区でも6人の症例が報告されています。
・ リベリアでは3月5日までの4日間に90人の疑い例が報告され、EVD陽性例は0であり、警戒が維持さ
れていることを示しています。合計102人の接触者が経過観察中です。
・ ギニアで過去3週間に報告されたEVD死亡者数は増加しており、接触者追跡調査と地域社会のかかわ
りにおいて、まだ重要な課題が残っていることを示唆しています。3月8日末の週でEVD陽性死亡例が
40人報告され、うち24人は地域社会で発生しました。対照的に、同時期にシエラレオネで報告された
EVD陽性死亡例は83人で、うち11人が地域社会で発生しました。同時期に安全性を欠いた埋葬がギニ
アで合計13件、シエラレオネで2件報告されています。
・ 3月1日末の週にギニアではEVD診断確定例51人中7人(14%)が、以前の患者との接触者の中から
発症しました。これは未だに相当な数の既知の感染連鎖で追跡されていない接触者がおり、未知の感染
連鎖が続いていることを示しています。対照的にシエラレオネでは同時期にEVD診断確定例81人中
52人(64%)が登録された接触者の中から発生していました。3月8日までの1週間に追跡された接触
者の日別平均人数は、ギニアでは1,433人で、これに対してシエラレオネでは7,934人でした。
・ ギニアでの登録された接触者間で発生する患者の割合が低いこと、地域で発生するEVD陽性死亡者の
割合が相対的に高いこと、安全性に欠ける埋葬が行われ続けていることは、感染が流行している地域と
共同で効果的に取り組むことの困難さが続いていることを示しています。3月8日末の週で、ギニアの
7つの県で少なくとも1件、安全性に関わる事例が報告されています。
・ 3月1日末の週に、情報交換、最善な実験結果の共有、戦略を揃えるため、カンビアとフォレカリアで
行われた合同会議を含め、5つの国境対策会議が開かれました。
・ 3月8日末の週に、ギニアでは医療従事者の感染が1人報告されました。流行が始まって以来の医療従
事者の感染者は840人となり、うち491人が亡くなっています。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者
を含む)が24,000人を越え、死亡者数も10,000人(たくさんの未知の報告があります)を越えました。
3月8日までの1週間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで58人、リベリアは0人、シエラレオネ
で58人でした。(表1)
・ 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示していま
す。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約
3倍、45歳以上の成人では約4倍になっています。(表2)
・ 流行3か国では840人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、491人が亡くなっていま
す。(表3)
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
2,871 |
144 |
1,778 |
可能性例 |
392 |
未報告 |
392 |
|
疑い例 |
22 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
3,285 |
144 |
2,170 |
|
リベリア |
確定例 |
3,150 |
6 |
未確定 |
可能性例 |
1,879 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
4,314 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
9,343 |
4 |
4,162 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,428 |
202 |
3,263 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
2,904 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
11,619 |
202 |
3,629 |
|
総数 |
24,247 |
350 |
9,961 |
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,535 |
1,647 |
496 |
1,782 |
885 |
(28) |
(30) |
(11) |
(38) |
(57) |
|
リベリア |
2,897 |
2,845 |
970 |
3,113 |
1,181 |
(146) |
(145) |
(57) |
(182) |
(221) |
|
シエラレオネ |
5,325 |
5,664 |
2,272 |
6,112 |
2,397 |
(187) |
(195) |
(94) |
(236) |
(324) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3. ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
173 |
90 |
リベリア |
372 |
180 |
シエラレオネ |
295 |
221 |
総数 |
840 |
491 |
は、症例数も死亡者数も確定例のみです。シエラレオネのデータは、症例数も死亡者数も確定例、可能性
例、疑い例の合計です。
図1. ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよ
その境界線を表しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深
刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険因子であり続けます。しか
し、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込めるこ
とが可能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果
的対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム
(PSTs)の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 11 March 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-11-march-2015