エボラ出血熱の流行状況31 平成27年3月18日更新
2015年3月18日、WHO(世界保健機構)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 3月15日末の週に150人の新規確定例が報告され、前週(新規確定例116人)と比べて増加していま
す。ギニアでは、95人の新規確定例が報告されており、同国では2015年に入って最も報告数が多い週
でした。シエラレオネでは、55人の新規確定例が報告されており、同国では2014年6月以来、最も報
告数が少ない週でした。リベリアでは、3週間連続で新規確定例が報告されておらず、同国で最後に出
た患者の2度目のEVD陰性結果から3月15日までの間に12日が経過しています。(流行の終息を考慮す
るには42日間の経過が必要です)
・ 3月15日末の週にギニアとシエラレオネにおける12の地域で確定例が報告されており、ギニアではコ
ナクリから北部の、シエラレオネではフリータウンから南部の地理的に円弧状に隣接した地域で全て発
生しています。さらに、シエラレオネ中部のコノや東部のトンコリリ、ギニア東部のローラやマセンタ
などの4つの地域で21日以内に確定例が発生しています。
・ 現在、流行は地理的に比較的に狭い回廊地帯に限定されていますが、人口は周辺地域や周辺国を通じ
て大きな動きがあり、変動が激しいです。患者や接触者の行動制限が課題ですが、新たな流行の播種を
防ぐには必要不可欠です。
・ ギニアにおける対応の指標として、感染伝播が制御下に置かれる前に克服するべき重大な課題が残っ
ていることを示唆しています。3月15日末の週に計41人のEVD死亡例が報告されています。半分以上(
23人)が死後に行った検死で同定されています。3月8日末の週に、登録された接触者から確定例が低
い割合(28%)で発生しており、安全でない埋葬が18例も報告されています。まとめると、ギニアで
起こっている流行が未知の伝播経路から発生していることを示唆しています。
・ リベリアでは、3月15日末の週に125人の疑い例が報告されておりますが、EVD陽性例はありません。
最後に発症した人と関連する全ての接触者において、現在、21日間の経過観察期間が終了しています。
・ シエラレオネにおける対応の指標は、ギニアとは対照的に、より有望的な見通しです。3月8日末の週
にEVD確定例の3分の2(67%)が登録された接触者から発生しています。一方、3月15日末の週に
EVD確定例の死亡者62人中6人が、死後に行った検死で同定されています。同時期に安全でない埋葬が
1例報告されています。しかし、新たな発生例のほとんどが未知の伝播経路から発生しています。フリ
ータウン北部の地域にあるカンビアとギニアのフォレカリア県との間の国境地域で、3月8日末の週に新
たに7人が報告されており、このうち5人は検死で同定され、以前の患者の接触者かどうかはわかりませ
ん。
・ エボラ治療センターとコミュニティケアセンターをいつ、どこで安全に撤去するかのガイドラインを
完成させるために、フリータウンで3月14日、15日に会議が開催されました。
・ 3月15日末の週に新たに11人の医療従事者の感染例が報告されました。ギニアでは4人(コナクリ
3人、フォレカリア1人)、シエラレオネでは7人(ボンバリ4人、ポート・ロコ3人)です。流行が始ま
って以来の医療従事者の感染者は852人となり、このうち492人が死亡しています。さらに、EVD陽性
の医療従事者2人と濃厚接触者1人が、3月15日末の週にデンマーク、英国、米国にそれぞれ搬送されま
した。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者
を含む)が25,000人を越え、死亡者数も10,000人(たくさんの未知の報告があります)を越えました。
3月15日までの1週間に報告された新規確定患者数は、ギニアで95人、リベリアは0人、シエラレオネ
で55人でした。(表1)
・ 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示していま
す。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約
3倍、45歳以上の成人では約4倍になっています。(表2)
・ 流行3か国では852人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、492人が亡くなっていま
す。(表3)
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。*再分類された疑い患者と
可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
※ シエラレオネのデータは、症例数も死亡者数も確定例、可能性例、疑い例の合計です。シエラレオネの
死亡者数は2月17日のデータです。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な
感染の伝播が生じている国からの輸入例が報告されています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 18 March 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-18-march-2015
要約
・ 3月15日末の週に150人の新規確定例が報告され、前週(新規確定例116人)と比べて増加していま
す。ギニアでは、95人の新規確定例が報告されており、同国では2015年に入って最も報告数が多い週
でした。シエラレオネでは、55人の新規確定例が報告されており、同国では2014年6月以来、最も報
告数が少ない週でした。リベリアでは、3週間連続で新規確定例が報告されておらず、同国で最後に出
た患者の2度目のEVD陰性結果から3月15日までの間に12日が経過しています。(流行の終息を考慮す
るには42日間の経過が必要です)
・ 3月15日末の週にギニアとシエラレオネにおける12の地域で確定例が報告されており、ギニアではコ
ナクリから北部の、シエラレオネではフリータウンから南部の地理的に円弧状に隣接した地域で全て発
生しています。さらに、シエラレオネ中部のコノや東部のトンコリリ、ギニア東部のローラやマセンタ
などの4つの地域で21日以内に確定例が発生しています。
・ 現在、流行は地理的に比較的に狭い回廊地帯に限定されていますが、人口は周辺地域や周辺国を通じ
て大きな動きがあり、変動が激しいです。患者や接触者の行動制限が課題ですが、新たな流行の播種を
防ぐには必要不可欠です。
・ ギニアにおける対応の指標として、感染伝播が制御下に置かれる前に克服するべき重大な課題が残っ
ていることを示唆しています。3月15日末の週に計41人のEVD死亡例が報告されています。半分以上(
23人)が死後に行った検死で同定されています。3月8日末の週に、登録された接触者から確定例が低
い割合(28%)で発生しており、安全でない埋葬が18例も報告されています。まとめると、ギニアで
起こっている流行が未知の伝播経路から発生していることを示唆しています。
・ リベリアでは、3月15日末の週に125人の疑い例が報告されておりますが、EVD陽性例はありません。
最後に発症した人と関連する全ての接触者において、現在、21日間の経過観察期間が終了しています。
・ シエラレオネにおける対応の指標は、ギニアとは対照的に、より有望的な見通しです。3月8日末の週
にEVD確定例の3分の2(67%)が登録された接触者から発生しています。一方、3月15日末の週に
EVD確定例の死亡者62人中6人が、死後に行った検死で同定されています。同時期に安全でない埋葬が
1例報告されています。しかし、新たな発生例のほとんどが未知の伝播経路から発生しています。フリ
ータウン北部の地域にあるカンビアとギニアのフォレカリア県との間の国境地域で、3月8日末の週に新
たに7人が報告されており、このうち5人は検死で同定され、以前の患者の接触者かどうかはわかりませ
ん。
・ エボラ治療センターとコミュニティケアセンターをいつ、どこで安全に撤去するかのガイドラインを
完成させるために、フリータウンで3月14日、15日に会議が開催されました。
・ 3月15日末の週に新たに11人の医療従事者の感染例が報告されました。ギニアでは4人(コナクリ
3人、フォレカリア1人)、シエラレオネでは7人(ボンバリ4人、ポート・ロコ3人)です。流行が始ま
って以来の医療従事者の感染者は852人となり、このうち492人が死亡しています。さらに、EVD陽性
の医療従事者2人と濃厚接触者1人が、3月15日末の週にデンマーク、英国、米国にそれぞれ搬送されま
した。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者
を含む)が25,000人を越え、死亡者数も10,000人(たくさんの未知の報告があります)を越えました。
3月15日までの1週間に報告された新規確定患者数は、ギニアで95人、リベリアは0人、シエラレオネ
で55人でした。(表1)
・ 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示していま
す。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約
3倍、45歳以上の成人では約4倍になっています。(表2)
・ 流行3か国では852人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、492人が亡くなっていま
す。(表3)
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
2,966 |
204 |
1,829 |
可能性例 |
395 |
未報告 |
395 |
|
疑い例 |
28 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
3,389 |
204 |
2,224 |
|
リベリア |
確定例 |
3,150 |
0 |
未確定 |
可能性例 |
1,879 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
4,497 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
9,526 |
0 |
4,264 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,487 |
194 |
3,325 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
2,977 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
11,751 |
194 |
3,691 |
|
総数 |
24,666 |
398 |
10,179 |
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。*再分類された疑い患者と
可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,604 |
1,720 |
521 |
1,868 |
915 |
(29) |
(32) |
(11) |
(40) |
(59) |
|
リベリア |
2,897 |
2,845 |
970 |
3,113 |
1,181 |
(146) |
(145) |
(57) |
(182) |
(221) |
|
シエラレオネ |
5,396 |
5,736 |
2,312 |
6,194 |
2,419 |
(189) |
(198) |
(95) |
(239) |
(327) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
178 |
91 |
リベリア |
372 |
180 |
シエラレオネ |
302 |
221 |
総数 |
852 |
492 |
死亡者数は2月17日のデータです。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な
感染の伝播が生じている国からの輸入例が報告されています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 18 March 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-18-march-2015