エボラ出血熱の流行状況32 平成27年3月25日更新
2015年3月25日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 3月22日末の週に79人の新規確定例(前週150人)が報告され、2015年に入って報告数が最も少な
い週となりました。ギニアでは、45人の新規確定例が報告されています。リベリアでは、3週続いて新
規確定例の報告はありませんでしたが、20日に新規確定例1例が報告されました。シエラレオネでは
33人の新規確定例が報告されています。
・ リベリアを除き、流行は北のコナクリ(ギニアの首都)周辺地域と南のフリータウン(シエラレオネ
の首都)周辺地域に限定されています。3月22日末の週に、ギニア、リベリア、シエラレオネの10地域
から報告があり、さらにギニアのボッファ、ドゥプレカ、キンディアとシエラレオネのコイナダグの
4地域からは、過去21日間の確定例が報告されています。流行発生地であるギニアのゲケドゥ、リベリ
アのローファ、シエラレオネのカイラフン周辺の3か国国境地域では90日以上確定例の報告がありませ
ん。
・ ギニアにおけるエボラ対策の指標となる数値はここ数週間で改善しています。過去21日間で患者発生
の報告のあった県全てで、症例発生率は前週に比べて減少しています。3月22日末の週に、死亡者37人
中、7人が死後の検死で同定されています(前週は確定例の死亡者49人中28人が死後に行った検死で同
定)。同様に、3月15日末の週は、確定患者の38%が、接触者と判明しているものからの発症です(前
週は28%)。しかし、3月22日末の週に安全性を欠いた埋葬は26例(前週は22例)が報告されていま
す。改善しているとはいえ、接触者と判明している者からの発症は半数未満であり、安全性を欠いた埋
葬数が増加している事実は、ギニアにおける流行が原因不明の連鎖を引き起こしている可能性がありま
す。
・ リベリアでは新たな症例報告については起源調査を行っています。警戒強化は、国中で継続されてい
ます。3月22日末の週に238検体のEVD検査がなされています。
・ シエラレオネにおける対策の指標となる数値は改善しています。3月15日末の週では、EVD確定例の
84%が、接触者と判明しているものから発症しています(前週は67%)。3月22日末の週に安全性を
欠いた埋葬の報告はありませんでしたが、同時期にEVD確定例死亡56人中7人が死後の検査で同定され
ています。
・ WHOはサーベイランスの枠組み向上を実施するべくリベリア保健省を支援しています。国境を越え
ての監視は、既に国境近くのニンバとグランドケープマウント郡で強化されています。
・ リベリアとシエラレオネ両国における症例数減少と流行地域の後退により、今や治療能力が需要を超
えています。それとともに、WHOからの技術指導もあり、両国保健当局は、余剰施設を安全に段階的
に廃止する計画の実施を開始しています。両国は、戦略的に全土をカバーできるよう、迅速な対応能力
を保持したまま高度エボラ治療センターを維持していきます。
・ 3月22日末の週にギニアのコナクリから新たに1人の医療従事者の感染が報告されています。これに
より流行3か国では494人の死亡者を含む、853人の医療従事者の感染が報告されたことになります。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者
を含む)が25,000人を越え、死亡者数も10,000人(たくさんの未知の報告があります)を越えました。
3月22日までの1週間の新規確定患者数は、ギニアで45人、リベリアで1人、シエラレオネで33人でし
た(表1)。
・ 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示していま
す(表2)。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人
では約3倍、45歳以上の成人では3~5倍になっています。
・ 流行3か国では853人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、494人が死亡しています
(表3)。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。*再分類された疑い患者と
可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよ
その境界線を表しています。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
※ シエラレオネ(確定例、可能性例、疑い例を含む死亡者数)を除いて、データは症例数と死亡者数のみ
です。
2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険性があり続けます。しかし、
適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込めることが可
能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果的
対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(PSTs)
の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 25 March 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-25-march-2015
要約
・ 3月22日末の週に79人の新規確定例(前週150人)が報告され、2015年に入って報告数が最も少な
い週となりました。ギニアでは、45人の新規確定例が報告されています。リベリアでは、3週続いて新
規確定例の報告はありませんでしたが、20日に新規確定例1例が報告されました。シエラレオネでは
33人の新規確定例が報告されています。
・ リベリアを除き、流行は北のコナクリ(ギニアの首都)周辺地域と南のフリータウン(シエラレオネ
の首都)周辺地域に限定されています。3月22日末の週に、ギニア、リベリア、シエラレオネの10地域
から報告があり、さらにギニアのボッファ、ドゥプレカ、キンディアとシエラレオネのコイナダグの
4地域からは、過去21日間の確定例が報告されています。流行発生地であるギニアのゲケドゥ、リベリ
アのローファ、シエラレオネのカイラフン周辺の3か国国境地域では90日以上確定例の報告がありませ
ん。
・ ギニアにおけるエボラ対策の指標となる数値はここ数週間で改善しています。過去21日間で患者発生
の報告のあった県全てで、症例発生率は前週に比べて減少しています。3月22日末の週に、死亡者37人
中、7人が死後の検死で同定されています(前週は確定例の死亡者49人中28人が死後に行った検死で同
定)。同様に、3月15日末の週は、確定患者の38%が、接触者と判明しているものからの発症です(前
週は28%)。しかし、3月22日末の週に安全性を欠いた埋葬は26例(前週は22例)が報告されていま
す。改善しているとはいえ、接触者と判明している者からの発症は半数未満であり、安全性を欠いた埋
葬数が増加している事実は、ギニアにおける流行が原因不明の連鎖を引き起こしている可能性がありま
す。
・ リベリアでは新たな症例報告については起源調査を行っています。警戒強化は、国中で継続されてい
ます。3月22日末の週に238検体のEVD検査がなされています。
・ シエラレオネにおける対策の指標となる数値は改善しています。3月15日末の週では、EVD確定例の
84%が、接触者と判明しているものから発症しています(前週は67%)。3月22日末の週に安全性を
欠いた埋葬の報告はありませんでしたが、同時期にEVD確定例死亡56人中7人が死後の検査で同定され
ています。
・ WHOはサーベイランスの枠組み向上を実施するべくリベリア保健省を支援しています。国境を越え
ての監視は、既に国境近くのニンバとグランドケープマウント郡で強化されています。
・ リベリアとシエラレオネ両国における症例数減少と流行地域の後退により、今や治療能力が需要を超
えています。それとともに、WHOからの技術指導もあり、両国保健当局は、余剰施設を安全に段階的
に廃止する計画の実施を開始しています。両国は、戦略的に全土をカバーできるよう、迅速な対応能力
を保持したまま高度エボラ治療センターを維持していきます。
・ 3月22日末の週にギニアのコナクリから新たに1人の医療従事者の感染が報告されています。これに
より流行3か国では494人の死亡者を含む、853人の医療従事者の感染が報告されたことになります。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者
を含む)が25,000人を越え、死亡者数も10,000人(たくさんの未知の報告があります)を越えました。
3月22日までの1週間の新規確定患者数は、ギニアで45人、リベリアで1人、シエラレオネで33人でし
た(表1)。
・ 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示していま
す(表2)。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人
では約3倍、45歳以上の成人では3~5倍になっています。
・ 流行3か国では853人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、494人が死亡しています
(表3)。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,011 |
198 |
1,865 |
可能性例 |
398 |
未報告 |
398 |
|
疑い例 |
20 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
3,429 |
198 |
2,263 |
|
リベリア |
確定例 |
3,151 |
1 |
未確定 |
可能性例 |
1,879 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
4,572 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
9,602 |
1 |
4,301 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,520 |
144 |
3,381 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
3,034 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
11,841 |
144 |
3,747 |
|
総数 |
24,872 |
343 |
10,311 |
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。*再分類された疑い患者と
可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,627 |
1,746 |
538 |
1,890 |
925 |
(30) |
(32) |
(12) |
(41) |
(59) |
|
リベリア |
2,897 |
2,845 |
970 |
3,113 |
1,181 |
(146) |
(145) |
(57) |
(182) |
(221) |
|
シエラレオネ |
5,396 |
5,736 |
2,312 |
6,194 |
2,419 |
(189) |
(198) |
(95) |
(239) |
(327) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよ
その境界線を表しています。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
179 |
93 |
リベリア |
372 |
180 |
シエラレオネ |
302 |
221 |
総数 |
853 |
494 |
です。
2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険性があり続けます。しかし、
適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込めることが可
能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果的
対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(PSTs)
の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 25 March 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-25-march-2015