(No.43)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染症確定例(141)-サウジアラビア
2015年3月26日更新

 2015年3月11日から22 日までの間に、サウジアラビアの国際保健規則(IHR)担当窓口は、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例15人(死亡例3人を含む)をWHO(世界保健機関)に追加で報告しました。症例は、報告日ごとに掲載され、直近の症例が最初に掲載されています。

 症例の詳細は以下の通りです。
 1.ナジュラーン在住の非サウジアラビア国籍の50歳の男性は3月11日に発症し、20日に入院しました。
  患者には合併症はありません。発症前14日間の危険因子への曝露歴は調査中です。現在患者の状態は安
  定しており、陰圧室に隔離されています。
 2.リヤド在住の非サウジアラビア国籍の54歳男子は3月19日に発症し、翌日入院しました。患者は糖尿
  病を合併しています。MERS-CoV感染確定患者(本記事の11例目の患者)との接触がありますが発症
  前14日間の危険因子への曝露歴はありません。現在患者の状態は安定しており、陰圧室に隔離されてい
  ます。
 3.ジェッダ在住の非サウジアラビア国籍の60歳の男性は3月15日に発症し、19日に入院しました。患
  者には合併症があり、また発症前14日以内にメディーナ(Madinah)への旅行歴があります。危険因
  子への曝露歴は調査中です。現在患者はICUに収容されてしており、状態は安定しています。
 4.リヤド在住の73歳の男性は3月13日に発症しました。患者は2015年1月9日から他疾患のために入院
  中でした。同病院にはMERS-CoV診断確定患者と入院していました。そのため疫学的にこれらの患者と
  の関連や、共通の医療従事者を介しての感染について調査中です。14日以内におけるその他の危険因子
  への曝露歴はありません。現在患者はICUに収容されてしており、重篤な状態です。
 5.リヤド在住の27歳の男性は3月8日に発症し、14日に入院しました。患者は他疾患のために頻繁に病
  院受診をしていました。しかし同病院で加療中のMERS-CoV診断確定患者との接触はありませんでし
  た。現在患者の状態は安定しており、陰圧室に隔離されています。
 6.リヤド在住の56歳の男性は3月12日に発症し、14日に入院しています。患者には合併症があります。
  発症前14日間の危険因子への曝露歴は調査中です。現在患者の状態は安定しており、陰圧室に隔離され
  ています。
 7.カフジ在住の44歳の非サウジアラビア国籍の男性は3月4日に発症し、14日に入院しました。患者に
  は合併症がありません。またラクダと頻回に接触しており、ラクダ生乳の喫食歴もあります。発症前
  14日間の危険因子への曝露歴は調査中です。現在患者の状態は安定しており、陰圧室に隔離されていま
  す。
 8.タイマ在住の60歳の男子は3月7日に発症し、11日に入院しました。患者には合併症があり、ラクダ
  と頻回に接触しており、ラクダ生乳の喫食歴もあります。発症前14日間の危険因子への曝露歴はありま
  せん。現在患者の状態は安定しており、陰圧室に隔離されています。
 9.ファドリア在住の47歳の男性は3月2日に発症し、12日に入院しました。患者には合併症があります。
  発症前14日間の危険因子への曝露歴は調査中です。現在患者の状態は安定しており、陰圧室に隔離され
  ています。
 10.リヤド在住の非サウジアラビア国籍の21歳男性は3月8日に発症し、12日に入院しました。患者には
  合併症があります。14日以内における危険因子への曝露歴は調査中です。現在患者はICUに収容されて
  しており、重篤な状態です。
 11.リヤド在住の非サウジアラビア国籍の31歳男性は3月1日に発症し、10日に入院しました。患者は喫
  煙をし、また合併症を有しています。14日以内における危険因子への曝露歴は調査中です。患者は3月
  12日に死亡しました。
 12.リヤド出身で非サウジアラビア国籍の医療従事者45歳女性は3月8日に発症し,10日に入院しました。
  患者は診断確定されたMERS-CoV 患者(本記事3月11日記載の14番目のケース)と接触歴があります。
  現在患者の状態は安定しており、陰圧室に隔離されています。
 13.リヤド在住の62歳の女性は2014年11月23日から他疾患で入院中ですが3月3日に発症しました。同
  病院には診断確定されたMERS-CoV 患者が入院しています。そのため疫学的にこれらの患者との関連
  や、共通の医療従事者を介しての感染について調査中です。14日以内におけるその他の危険因子への曝
  露歴はありません。患者は3月15日に死亡しました。
 14.リヤド在住の59歳の男性は3月7日に発症し、翌日入院しました。患者に合併症はありません。患者
  は診断確定されたMERS-CoV患者(本記事2月23日記載の2番目のケース)と接触歴があります。14日
  以内におけるその他の危険因子への曝露歴はありません。患者は3月14日に死亡しました。
 15.ジェッダ在住の非サウジアラビア国籍の55歳男子は3月5日に発症し、3月8日に入院しました。患者
  には合併症はなく、ラクダとの接触歴もありませんが頻回に羊との接触、及び羊の生製品の喫食歴があ
  ります。発症前14日間の危険因子への曝露歴はありません。現在患者の状態は安定しており、陰圧室に
  隔離されています。

 サウジアラビアの国際保健規則(IHR)担当窓口はWHOに過去に報告した5例(3月20日の本記事症例5,12.3月11日の本記事症例2,10.及び3月6日の本記事例6,)が死亡したことを報告しました。これらの患者の家族、医療従事者の接触者の調査が継続中です。

 これまでWHOには1,090例のMERS-CoV診断確定患者が報告されており、うち、412例がそれに関連した死亡となっています。

 【出典】
  WHO, Global Alert and Response (GAR).
  Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Saudi Arabia,
  26 March 2015
  http://www.who.int/csr/don/26-march-2015-mers-saudi-arabia/en/