エボラ出血熱の流行状況33 平成27年4月1日更新
2015年4月1日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 3月29日末の週に82人の新規確定例が報告されました(前週の79人からわずかに増加)。ギニアで
は57人の新規確定例が報告されました(前週の45人から増加)。シエラレオネでは25人の新規確定例
が報告されており、4週連続で発生率は低下しています。リベリアでは、同期間の新規確定例の報告は
ありませんでした。
・ ギニアでは発生率の増加に加えて、流行地域の地理的拡大も認めました。過去3週間と比較して、3月
29日末の週にギニアの7県から少なくとも1人の新規確定例が報告されています(前週の3県から
増加)。特に、フリアとシギリの2県では、50日以上ぶりに新規確定例が報告されました。マリとの国
境に近いシギリ県では、30日以上を経て新規確定例がギニア西部以外で初めて報告されました。
・ シエラレオネでは、首都フリータウン周辺の北部と西部の5地区から10人の新規確定例が報告されて
います。ボンバリの近隣地区で1人、カンビアで5人、ポートロコで6人、西部地区で3人が報告されま
した。
・ ギニアにおけるエボラ対策の指標となる数値は複雑に経過しています。3月29日末の週に死亡者は
35人、うち15人(43%)は死後の検死で同定されました(前週は死亡者37人中10人の27%)。この
増加は、フォレカリア県でコミュニティが改善してきたことが起因しているかもしれません。登録され
た接触者からの発症は、3月15日末の週の38%から3月22日末の週の53%に増加しました。3月29日末
の週に、安全性を欠いた埋葬数は20件(前週は26件)が報告されました。
・ ギニアのフォレカリア、コイヤ、ドゥブレカ、ボッファ、キンディアの5県で45日間の「公衆衛生上
の緊急事態」が宣言されました。首都コナクリでは、流行地域での移動の制限、新たにEVD確定患者が
報告された病院や診療所の一時閉鎖や隔離、埋葬への参列を親戚のみに制限するなどの緊急対策も講じ
られています。また、45日間の緊急事態中に、全ての遺体はEVD検査が実施されます。
・ リベリアでの最後の確定患者は3月27日に死亡しました。感染源の調査は進行中です。患者との接触
者185人は1日2回の健康監視が実施されています。全国で強い警戒体制が継続されています。3月29日
末の週までに、278検体に対してEVD検査が実施されましたが、確定例はいませんでした。
・ シエラレオネでは、3月29日末の週にEVD確定例の67%が登録された接触者から発症しました(前週
は84%)。同時期に安全性を欠いた埋葬が1件報告されました。コミュニティ内で同定されたEVDが起
因した死亡の割合は、前週の56人中7人(13%)から 3月29日末の52人中8人(15%)とわずかに増
加しています。3月29日末の週に100人以上の疑い例が報告されています(前週は57人)。疑い例の大
部分(52人)は、3日間の自宅待機中最後の2日間に報告されています。高度な監視は継続しています。
・ 3月29日末の週にギニアから7人とシエラレオネから1人、新たに8人の医療従事者の感染が報告され
ています。これにより流行3か国では495人の死亡者を含む、861人の医療従事者の感染が報告された
ことになります。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者
を含む)が計25,178人、死亡者数も10,000人(たくさんの未知の報告があります)を越えました。
3月29日までの1週間の新規確定患者数は、ギニアで57人、リベリアで0人、シエラレオネで25人でし
た(表1)。
・ 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示していま
す(表2)。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人
では約3倍、45歳以上の成人では3~5倍になっています。
・ 流行3か国では861人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、495人が死亡しています
(表3)。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。*再分類された疑い患者と
可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよ
その境界線を表しています。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
※ シエラレオネ(確定例、可能性例、疑い例を含む死亡者数)を除いて、データは症例数と死亡者数のみ
です。
2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険性があり続けます。しかし、
適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込めることが可
能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果的
対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(PSTs)
の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 1 April 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-1-april-2015-0
要約
・ 3月29日末の週に82人の新規確定例が報告されました(前週の79人からわずかに増加)。ギニアで
は57人の新規確定例が報告されました(前週の45人から増加)。シエラレオネでは25人の新規確定例
が報告されており、4週連続で発生率は低下しています。リベリアでは、同期間の新規確定例の報告は
ありませんでした。
・ ギニアでは発生率の増加に加えて、流行地域の地理的拡大も認めました。過去3週間と比較して、3月
29日末の週にギニアの7県から少なくとも1人の新規確定例が報告されています(前週の3県から
増加)。特に、フリアとシギリの2県では、50日以上ぶりに新規確定例が報告されました。マリとの国
境に近いシギリ県では、30日以上を経て新規確定例がギニア西部以外で初めて報告されました。
・ シエラレオネでは、首都フリータウン周辺の北部と西部の5地区から10人の新規確定例が報告されて
います。ボンバリの近隣地区で1人、カンビアで5人、ポートロコで6人、西部地区で3人が報告されま
した。
・ ギニアにおけるエボラ対策の指標となる数値は複雑に経過しています。3月29日末の週に死亡者は
35人、うち15人(43%)は死後の検死で同定されました(前週は死亡者37人中10人の27%)。この
増加は、フォレカリア県でコミュニティが改善してきたことが起因しているかもしれません。登録され
た接触者からの発症は、3月15日末の週の38%から3月22日末の週の53%に増加しました。3月29日末
の週に、安全性を欠いた埋葬数は20件(前週は26件)が報告されました。
・ ギニアのフォレカリア、コイヤ、ドゥブレカ、ボッファ、キンディアの5県で45日間の「公衆衛生上
の緊急事態」が宣言されました。首都コナクリでは、流行地域での移動の制限、新たにEVD確定患者が
報告された病院や診療所の一時閉鎖や隔離、埋葬への参列を親戚のみに制限するなどの緊急対策も講じ
られています。また、45日間の緊急事態中に、全ての遺体はEVD検査が実施されます。
・ リベリアでの最後の確定患者は3月27日に死亡しました。感染源の調査は進行中です。患者との接触
者185人は1日2回の健康監視が実施されています。全国で強い警戒体制が継続されています。3月29日
末の週までに、278検体に対してEVD検査が実施されましたが、確定例はいませんでした。
・ シエラレオネでは、3月29日末の週にEVD確定例の67%が登録された接触者から発症しました(前週
は84%)。同時期に安全性を欠いた埋葬が1件報告されました。コミュニティ内で同定されたEVDが起
因した死亡の割合は、前週の56人中7人(13%)から 3月29日末の52人中8人(15%)とわずかに増
加しています。3月29日末の週に100人以上の疑い例が報告されています(前週は57人)。疑い例の大
部分(52人)は、3日間の自宅待機中最後の2日間に報告されています。高度な監視は継続しています。
・ 3月29日末の週にギニアから7人とシエラレオネから1人、新たに8人の医療従事者の感染が報告され
ています。これにより流行3か国では495人の死亡者を含む、861人の医療従事者の感染が報告された
ことになります。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者
を含む)が計25,178人、死亡者数も10,000人(たくさんの未知の報告があります)を越えました。
3月29日までの1週間の新規確定患者数は、ギニアで57人、リベリアで0人、シエラレオネで25人でし
た(表1)。
・ 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示していま
す(表2)。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人
では約3倍、45歳以上の成人では3~5倍になっています。
・ 流行3か国では861人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、495人が死亡しています
(表3)。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,068 |
197 |
1,900 |
可能性例 |
414 |
未報告 |
414 |
|
疑い例 |
10 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
3,492 |
197 |
2,314 |
|
リベリア |
確定例 |
3,151 |
1 |
未確定 |
可能性例 |
1,879 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
4,682 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
9,712 |
1 |
4,332 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,545 |
113 |
3,433 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
3,142 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
11,974 |
113 |
3,799 |
|
総数 |
確定例 |
14,764 |
311 |
未確定 |
可能性例 |
2,580 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
7,834 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
25,178 |
311 |
10,445 |
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。*再分類された疑い患者と
可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,653 |
1,795 |
548 |
1,927 |
951 |
(30) |
(33) |
(12) |
(41) |
(61) |
|
リベリア |
2,957 |
2,889 |
992 |
3,167 |
1,209 |
(149) |
(147) |
(58) |
(185) |
(226) |
|
シエラレオネ |
5,433 |
5,768 |
2,330 |
6,231 |
2,427 |
(191) |
(199) |
(96) |
(241) |
(328) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよ
その境界線を表しています。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
186 |
94 |
リベリア |
372 |
180 |
シエラレオネ |
303 |
221 |
総数 |
861 |
495 |
です。
2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険性があり続けます。しかし、
適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込めることが可
能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果的
対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(PSTs)
の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 1 April 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-1-april-2015-0