エボラ出血熱の流行状況34 平成27年4月8日更新
2015年4月8日、WHO(世界保健機関)はエボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 4月5日末の週に30人のEVD新規確定例が報告されました。これは2014年5月の第3週目以来の低い
数です。ギニアでも報告例が前週の57人と比較して、5日末の週は21人と減少しています。リベリアで
は新規確定例の報告がありませんでした。シエラレオネでは5週連続で減少し、前週は新規確定例が
25人でしたが、5日末の週は9人です。
・ ギニアでは、前週は全部で7県から、5日末の週は全部で6県から、少なくとも1人の新規確定例が報
告されています。首都コナクリを含む西部の県で発生しています。ギニアとシエラレオネを合わせて新
規確定例が、前週は12の県や地域で報告されていましたが、5日末の週は10の県や地域で報告されてい
ます。流行が始まってからギニア、リベリア、シエラレオネの55の地域で、少なくとも1人の新規確定
例が報告されていますが、6週間以上、35の地域から報告されていません。
・ 症例の発生率の低下や伝播する地域が減少する状況の中、リベリアやシエラレオネの需要に対し、供
給(治療)が過剰となってきています。したがってWHOの技術指導により、両国の当局は余剰な施設
を安全に廃止するための措置を段階的に実施し始めています。どちらの国も迅速な対応能力を予備とし
てもち、地理的に適用範囲を完全に確保するために戦略的に位置した高度なエボラ治療センターを残す
予定です。
・ ギニアでの対策の指標はモザイク様を呈しています。5日末の週に、EVDで死亡した19人中7人(
37%)が地域での死後の検査で発見されました。前週は35人中15人(43%)でした。しかし、安全性
を欠いた埋葬数は前週の20件に対して、5日末の週は21件でした。登録された接触者から発生した確定
患者の割合は、3月22日の週の53%に対して3月29日の週には48%に減少しました。これらのデータ
をまとめると、発生状況は改善しているものの、未知の感染連鎖が今後数週間で新たな感染源となりう
ることを示しています。
・ シエラレオネでは新規確定例が西部の4県で報告されています。カンビア県で2人、ポートロコ県で
1人、西部地方地区で1人、首都フリータウンを含めた西部都市地区で5人、新規確定例が報告されてい
ます。
・ シエラレオネでは5日末の週の3日間で報告数が0でした。同時期に安全性を欠いた埋葬は報告されて
おり、EVDで死亡した32人中3人(9%)が地域での死後の検査で低い割合で発見され、同時期に検査
の結果がEVD陽性であった数も1524人中10人(1%)と低い割合であり、発生率の減少傾向が継続し
ていることを裏付けています。しかし、登録された接触者から発生した確定患者の割合は2週連続で減
少し、3月29日の週(最近の週のデータは未報告)で56%であり、課題が残っていることを示していま
す。
・ リベリアでは、最後に確定された患者が3月27日に死亡しました。感染源を特定するための調査が続
けられています。患者と接触のあった332人に健康監視が行われています。全国で頑強な警戒体制が維
持されています。3月29日までの週には、エボラ出血熱に対する310検体の検査が実施されましたが、
確定患者はでませんでした。
・ 5日末の週は、新たな医療従事者の感染はありませんでした。流行が始まって以来、流行3か国で報告
された医療従事者の感染者総数は861人です。ギニア西部で宣言された45日間の緊急対策の強化によ
り、EVDを治療した後、いくつかの民間診療所が閉鎖されています。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者
を含む)が合計25,515人となり(図1、表1)、死亡者も10,000人を超えています(たくさんの未
知の報告があります)。4月5日までの7日間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで21人、リベリ
アで0人、シエラレオネで9人でした。
・ 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数となっています(表2)。
10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約3倍、
45歳以上の成人では3倍から5倍になっています。
・ 流行3か国では861人の医療従事者の感染が報告されています。うち499人が亡くなっています
(表3)。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。*再分類された疑い患者と
可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよ
その境界線を表しています。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
※ シエラレオネ(確定例、可能性例、疑い例を含む死亡者数)を除いて、データは症例数と死亡者数のみ
です。*データは2月17日のものです。
2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険性があり続けます。しかし
適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込めること
が可能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果
的対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(
PSTs)の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 8 April 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-8-april-2015
要約
・ 4月5日末の週に30人のEVD新規確定例が報告されました。これは2014年5月の第3週目以来の低い
数です。ギニアでも報告例が前週の57人と比較して、5日末の週は21人と減少しています。リベリアで
は新規確定例の報告がありませんでした。シエラレオネでは5週連続で減少し、前週は新規確定例が
25人でしたが、5日末の週は9人です。
・ ギニアでは、前週は全部で7県から、5日末の週は全部で6県から、少なくとも1人の新規確定例が報
告されています。首都コナクリを含む西部の県で発生しています。ギニアとシエラレオネを合わせて新
規確定例が、前週は12の県や地域で報告されていましたが、5日末の週は10の県や地域で報告されてい
ます。流行が始まってからギニア、リベリア、シエラレオネの55の地域で、少なくとも1人の新規確定
例が報告されていますが、6週間以上、35の地域から報告されていません。
・ 症例の発生率の低下や伝播する地域が減少する状況の中、リベリアやシエラレオネの需要に対し、供
給(治療)が過剰となってきています。したがってWHOの技術指導により、両国の当局は余剰な施設
を安全に廃止するための措置を段階的に実施し始めています。どちらの国も迅速な対応能力を予備とし
てもち、地理的に適用範囲を完全に確保するために戦略的に位置した高度なエボラ治療センターを残す
予定です。
・ ギニアでの対策の指標はモザイク様を呈しています。5日末の週に、EVDで死亡した19人中7人(
37%)が地域での死後の検査で発見されました。前週は35人中15人(43%)でした。しかし、安全性
を欠いた埋葬数は前週の20件に対して、5日末の週は21件でした。登録された接触者から発生した確定
患者の割合は、3月22日の週の53%に対して3月29日の週には48%に減少しました。これらのデータ
をまとめると、発生状況は改善しているものの、未知の感染連鎖が今後数週間で新たな感染源となりう
ることを示しています。
・ シエラレオネでは新規確定例が西部の4県で報告されています。カンビア県で2人、ポートロコ県で
1人、西部地方地区で1人、首都フリータウンを含めた西部都市地区で5人、新規確定例が報告されてい
ます。
・ シエラレオネでは5日末の週の3日間で報告数が0でした。同時期に安全性を欠いた埋葬は報告されて
おり、EVDで死亡した32人中3人(9%)が地域での死後の検査で低い割合で発見され、同時期に検査
の結果がEVD陽性であった数も1524人中10人(1%)と低い割合であり、発生率の減少傾向が継続し
ていることを裏付けています。しかし、登録された接触者から発生した確定患者の割合は2週連続で減
少し、3月29日の週(最近の週のデータは未報告)で56%であり、課題が残っていることを示していま
す。
・ リベリアでは、最後に確定された患者が3月27日に死亡しました。感染源を特定するための調査が続
けられています。患者と接触のあった332人に健康監視が行われています。全国で頑強な警戒体制が維
持されています。3月29日までの週には、エボラ出血熱に対する310検体の検査が実施されましたが、
確定患者はでませんでした。
・ 5日末の週は、新たな医療従事者の感染はありませんでした。流行が始まって以来、流行3か国で報告
された医療従事者の感染者総数は861人です。ギニア西部で宣言された45日間の緊急対策の強化によ
り、EVDを治療した後、いくつかの民間診療所が閉鎖されています。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者
を含む)が合計25,515人となり(図1、表1)、死亡者も10,000人を超えています(たくさんの未
知の報告があります)。4月5日までの7日間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで21人、リベリ
アで0人、シエラレオネで9人でした。
・ 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数となっています(表2)。
10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約3倍、
45歳以上の成人では3倍から5倍になっています。
・ 流行3か国では861人の医療従事者の感染が報告されています。うち499人が亡くなっています
(表3)。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,089 |
123 |
1,919 |
可能性例 |
414 |
未報告 |
414 |
|
疑い例 |
12 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
3,515 |
123 |
2,333 |
|
リベリア |
確定例 |
3,515 |
1 |
未確定 |
可能性例 |
1,879 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
4,832 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
9,862 |
1 |
4,408 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,554 |
67 |
3,465 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
3,297 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
12,138 |
67 |
3,831 |
|
総数 |
確定例 |
14,794 |
191 |
未確定 |
可能性例 |
2,580 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
8,141 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
25,515 |
191 |
10,572 |
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。*再分類された疑い患者と
可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,666 |
1,804 |
553 |
1,941 |
954 |
(31) |
(33) |
(12) |
(41) |
(61) |
|
リベリア |
2,958 |
2,891 |
993 |
3,170 |
1,208 |
(149) |
(147) |
(58) |
(186) |
(226) |
|
シエラレオネ |
5,433 |
5,768 |
2,330 |
6,231 |
2,427 |
(191) |
(199) |
(96) |
(241) |
(328) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その 国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよ
その境界線を表しています。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
186 |
94 |
リベリア |
372 |
184 |
シエラレオネ |
303 |
221 * |
総数 |
861 |
499 |
です。*データは2月17日のものです。
2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険性があり続けます。しかし
適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込めること
が可能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果
的対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(
PSTs)の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 8 April 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-8-april-2015