エボラ出血熱の流行状況35 平成27年4月15日更新
2015年4月15日WHO(世界保健機関)はエボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 4月12日末の週に37人のEVD新規確定例が報告されました。前週は30人でした。ギニアの報告例は
前週の21人と比較して、12日末の週は28人と増加しています。シエラレオネの確定例は9人で、前週
と同じ人数です。リベリアでは新規確定例の報告がありませんでした。
・ ギニアでは、前週は全部で6県から、12日末の週は全部で5県から、少なくとも1人の新規確定例が報
告されています。西部の地域で感染拡大が続いており、シエラレオネとの国境にあるフォレカリア県で
主に注目されています。ギニアとシエラレオネを合わせて新規確定例が前週は10の県や地域で報告され
ていましたが、12日末の週は8つの県や地域で報告されています。これは2014年の5月末以降で最も少
ない報告数です。流行が始まってからギニア、リベリア、シエラレオネの55の地域で少なくとも1人の
新規確定例が報告されていますが、6週間以上、39の地域から報告されていません。
・ 患者発生数が減少し流行地域が縮小していく状況の中で、リベリアとシエラレオネでの治療への対応
能力は需要を上回っています。そのため、両国の国家規制当局は、WHOからの技術指導の下で余剰施
設を段階的かつ安全に閉鎖していく計画を実行に移してきています。それぞれの国は、直ぐに追加対応
できる予備の施設を開設できるようにしながら、地理的にすべての地域を網羅できるよう戦略的に配置
されている高度なエボラ治療センター中核施設を保持する計画です。
・ シエラレオネでは、西部の3地区、カンビアで4人、ポート・ロコで1人、首都フリータウンを含む西
部市街地で4人が報告されました。
・ シエラレオネでの対策の指標は勇気づけられます。12日末の週にコミュニティにおける死後の検査で
EVDが陽性と判明した人は3人でした。この期間における検査検体からのEVD陽性検出数も1338検体中
9検体(1%未満)で低い割合でした。また、登録された接触者から発生する患者の割合は上昇し67%
でした。これらのことは、過去5週間以上の患者発生数の減少傾向が今後も続くだろうとの確信を裏付
けるものです。
・ 対照的にギニアでの対策の指標はモザイク模様を示しています。12日末の週に、EVDで死亡した8人
が地域での死後の検査で発見されました。さらに登録された接触者から発生した確定患者の割合は44%
で、2週連続で50%を下回ったままです。検査検体数は4週連続で増加して、12日末の週は518検体で
したが、検体のEVD陽性は10%でした。
・ ギニアのフォレカリア県で4月12日から15日に健康診断と住民啓発活動が行われました。最初の3日
間で2万9千の家族が訪れ、23の疑い例が同定され、検査されました。同じようなことがボッファ県、
コナクリ、コヤ県、ドゥブレカ県、キンディア県でも行われる予定です。
・ リベリアでは、直近に確定された患者が3月27日に死亡しました。感染源を特定するための調査が続
けられています。4月11日時点で2人の接触者が健康監視されています。全国全域にわたって頑強な警
戒体制が維持されています。4月11日まで6日間に332検体でエボラ出血熱の検査が行われましたが、
確定患者の発生はありませんでした。最後に確定した症例から42日間経つと5月8日になります。
・ 12日末の週、新たに感染した医療従事者は1人です。流行が始まって以来の感染者総数は864人とな
っています。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネで、EVD患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が
合計25,791人となり、死亡者も10,600人を超えています(多くの症例の転帰は不明)。4月12日まで
の7日間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで28人、リベリアで0人、シエラレオネで9人でした。
・ 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数となっています。10万人
あたりの患者発生数は、15歳未満の小児と比較して15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上の
成人では3倍から5倍になっています。
・ 流行3か国では864人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、503人が亡くなっていま
す。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、現在進行
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。*再分類された疑い患者と
可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
※ シエラレオネ(確定例、可能性例、疑い例を含む死亡者数)を除いて、データは症例数と死亡者数のみ
です。リベリアのデータは4月11日のものです*データは2月17日のものです。
2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が以前に報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVDの発生国が存在する限り、EVD非流行国へのEVD患者の入国の危険性があり続けます。しかし、
適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込めることが
可能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的にかつ安全に検出、調査し、報告する準備
が確実にできることを目指しています。WHOは、これらの支援を、対策チーム(PSTs)の派遣、直
接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 15 April 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-15-april-2015
要約
・ 4月12日末の週に37人のEVD新規確定例が報告されました。前週は30人でした。ギニアの報告例は
前週の21人と比較して、12日末の週は28人と増加しています。シエラレオネの確定例は9人で、前週
と同じ人数です。リベリアでは新規確定例の報告がありませんでした。
・ ギニアでは、前週は全部で6県から、12日末の週は全部で5県から、少なくとも1人の新規確定例が報
告されています。西部の地域で感染拡大が続いており、シエラレオネとの国境にあるフォレカリア県で
主に注目されています。ギニアとシエラレオネを合わせて新規確定例が前週は10の県や地域で報告され
ていましたが、12日末の週は8つの県や地域で報告されています。これは2014年の5月末以降で最も少
ない報告数です。流行が始まってからギニア、リベリア、シエラレオネの55の地域で少なくとも1人の
新規確定例が報告されていますが、6週間以上、39の地域から報告されていません。
・ 患者発生数が減少し流行地域が縮小していく状況の中で、リベリアとシエラレオネでの治療への対応
能力は需要を上回っています。そのため、両国の国家規制当局は、WHOからの技術指導の下で余剰施
設を段階的かつ安全に閉鎖していく計画を実行に移してきています。それぞれの国は、直ぐに追加対応
できる予備の施設を開設できるようにしながら、地理的にすべての地域を網羅できるよう戦略的に配置
されている高度なエボラ治療センター中核施設を保持する計画です。
・ シエラレオネでは、西部の3地区、カンビアで4人、ポート・ロコで1人、首都フリータウンを含む西
部市街地で4人が報告されました。
・ シエラレオネでの対策の指標は勇気づけられます。12日末の週にコミュニティにおける死後の検査で
EVDが陽性と判明した人は3人でした。この期間における検査検体からのEVD陽性検出数も1338検体中
9検体(1%未満)で低い割合でした。また、登録された接触者から発生する患者の割合は上昇し67%
でした。これらのことは、過去5週間以上の患者発生数の減少傾向が今後も続くだろうとの確信を裏付
けるものです。
・ 対照的にギニアでの対策の指標はモザイク模様を示しています。12日末の週に、EVDで死亡した8人
が地域での死後の検査で発見されました。さらに登録された接触者から発生した確定患者の割合は44%
で、2週連続で50%を下回ったままです。検査検体数は4週連続で増加して、12日末の週は518検体で
したが、検体のEVD陽性は10%でした。
・ ギニアのフォレカリア県で4月12日から15日に健康診断と住民啓発活動が行われました。最初の3日
間で2万9千の家族が訪れ、23の疑い例が同定され、検査されました。同じようなことがボッファ県、
コナクリ、コヤ県、ドゥブレカ県、キンディア県でも行われる予定です。
・ リベリアでは、直近に確定された患者が3月27日に死亡しました。感染源を特定するための調査が続
けられています。4月11日時点で2人の接触者が健康監視されています。全国全域にわたって頑強な警
戒体制が維持されています。4月11日まで6日間に332検体でエボラ出血熱の検査が行われましたが、
確定患者の発生はありませんでした。最後に確定した症例から42日間経つと5月8日になります。
・ 12日末の週、新たに感染した医療従事者は1人です。流行が始まって以来の感染者総数は864人とな
っています。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネで、EVD患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が
合計25,791人となり、死亡者も10,600人を超えています(多くの症例の転帰は不明)。4月12日まで
の7日間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで28人、リベリアで0人、シエラレオネで9人でした。
・ 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数となっています。10万人
あたりの患者発生数は、15歳未満の小児と比較して15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上の
成人では3倍から5倍になっています。
・ 流行3か国では864人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、503人が亡くなっていま
す。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,117 |
106 |
1,932 |
可能性例 |
414 |
未報告 |
414 |
|
疑い例 |
17 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
3,548 |
106 |
2,346 |
|
リベリア |
確定例 |
3,151 |
1 |
未確定 |
可能性例 |
1,879 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
5,012 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
10,042 |
0 |
4,486 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,563 |
43 |
3,491 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
3,351 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
12,201 |
43 |
3,857 |
|
総数 |
確定例 |
14,831 |
149 |
未確定 |
可能性例 |
2,580 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
8,380 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
25,791 |
149 |
10,689 |
中の再分類、遡及調査、検査結果の状況により、変更される場合があります。*再分類された疑い患者と
可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における男女別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,673 |
1,818 |
555 |
1,954 |
960 |
(31) |
(33) |
(12) |
(42) |
(61) |
|
リベリア |
2,958 |
2,891 |
993 |
3,170 |
1,208 |
(149) |
(147) |
(58) |
(186) |
(226) |
|
シエラレオネ |
5,433 |
5,768 |
2,330 |
6,231 |
2,427 |
(191) |
(199) |
(96) |
(241) |
(328) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリにおけるEVD患者の分布図

表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
187 |
94 |
リベリア |
374 |
188 |
シエラレオネ |
303 |
221 * |
総数 |
864 |
503 |
です。リベリアのデータは4月11日のものです*データは2月17日のものです。
2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が以前に報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVDの発生国が存在する限り、EVD非流行国へのEVD患者の入国の危険性があり続けます。しかし、
適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込めることが
可能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的にかつ安全に検出、調査し、報告する準備
が確実にできることを目指しています。WHOは、これらの支援を、対策チーム(PSTs)の派遣、直
接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 15 April 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-15-april-2015