(No.48)

中国における鳥インフルエンザA(H7N9)について(110)
2015年4月15日更新

 2015年4月10日、中国の国家衛生家族計画委員会(NHFPC)は、鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染新規確定例20人、うち4人が死亡したことを世界保健機関(WHO)に報告しました。

 発症は2月14日から3月21日までの間で起こっており、年齢の範囲は32歳から80歳で、平均年齢は55歳です。これら20人のうち、15人(75%)が男性です。大多数(18人、90%)が生きた家禽との接触歴が報告されています。1人は医療従事者で、家禽との接触歴もあります。集団感染例は報告されていません。症例は以下の5つの省から報告されています。安徽省3人、福建省2人、広東省4人、山東省1人、浙江省10人です。

 中国政府は、以下のようなサーベイランスと対策を実施しています。
 * サーベイランス及び状況分析の強化
 * 患者管理と治療の再強化
 * 市民への情報提供やリスクコミュニケーションを行う

 WHOは、疫学的状況の監視と、さらなる最新の情報に基づくリスク評価を管理しています。全体的に、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの公衆衛生上のリスクは変更されていません。直近の2ヶ月前と比較して、感染者数は減少し、新たな省での発生例は報告されていません。 鳥インフルエンザA(H7N9)の散発感染例は、流行した近隣の地域でさらに起こりうると考えられます。流行地域から海外へ渡航する場合、渡航中もしくは到着後に感染が検出されるかもしれません。もし以上のことが起こったとしても、ウイルスがヒト-ヒト間で容易に伝播する能力を有していないと見られるため、コミュニティ・レベルでの拡がりは起こりそうにないと考えられます。

 WHOは鳥インフルエンザが発生している地域への渡航者に対しては家禽農場への訪問や、生きた家禽市場での曝露、屠畜場に足を踏み入れること、鳥や他の動物の排泄物で汚染された所を触ることなどを避けるように忠告しています。

 WHOは入国の時点でこれに関連して特にスクリーニングを実施したり、渡航、交易を制限したりすることを勧めてはいません。発生地域を旅行中あるいは帰国後すぐに急性の重篤な呼吸器症状を呈した場合には、鳥インフルエンザへの罹患を考慮すべきであるとしています。


 【出典】
  WHO, Global Alert and Response (GAR).
  Human infection with avian influenza A(H7N9) virus – China, 15 April 2015
  http://www.who.int/csr/don/14-April-2015-avian-influenza-china/en/