エボラ出血熱の流行状況36 平成27年4月22日更新
2015年4月22日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ EVD確定例数の減少が、3週間以上維持されています。症例数0に向かって減少を加速させるために
は、地域でのさらなる取り組みの強化、接触者の追跡およびより早い患者発見に向けた改善が必要にな
ります。4月19日末の週に、合計33人の確定例が報告されました。前週は37人、前々週は30人でした。
・ 4月19日末の週に、ギニアでは、21人の確定例が報告されました(前週28人)。シエラレオネでは、
12人の確定例が報告されました(前週9人)。リベリアでは、確定例は報告されませんでした。
・ ギニアでは、合計4県から、少なくとも1人の確定例が報告されました(前週5県)。感染伝播は国の西
部に閉じ込められたままであり、シエラレオネと国境を接するフォレカレア県に集中しています。この
県では国内で発生した確定例の86%が報告されています。
・ シエラレオネでは、首都フリータウンを含む西部市街地で6人の確定例が報告されました。これは国
内で発生した症例の半数で、前週の4人からわずかに増加しています。ギニアと北部で国境を接するコ
イナダグは、感染源不明の新たな確定例1人を報告しました。新たな確定例を報告している他の地域は、
西部のカンビア(4人)とポート・ロコ(1人)でした。4県が少なくとも1人の確定例を報告しました(前
週3県)。
・ シエラレオネでの対策の指標は、モザイク模様を示しています。4月19日末の週に、地域において死
後の検査でEVD陽性が同定された死亡者は3人(カンビア1人、西部市街地1人、コイナダグ1人)でした。
4月12日末の週に、登録された接触者から発生した新たな患者の割合は、50%未満の44%でした。多
数の検体(1,467検体)が収集されましたが、EVD陽性は1%以下(1,467検体中12検体)であり、警戒態
勢の高まりを反映しています。
・ ギニアでの対策の指標も、モザイク模様を示しています。4月19日末の週に、EVDで死亡した6人が
地域での死後の検査で同定されました(前週8人)。登録された接触者から発生した確定例の割合は、3週
連続で50%未満にとどまり、4月12日末の週(データが利用可能な最新の週)では46%でしたが、前週の
29%からは上昇しています。4月19日末の週に検査された検体数は565検体で5週連続で増加していま
すが、陽性検体の検出率は6%に低下しています(前週10%)。
・ ギニアとシエラレオネにおける地域での取り組みは、着実に改善しているように見えますが、全ての
感染伝播の鎖を同定するためには、さらなる行動が必要です。フォレカリア県では、4月12日から15日
までの間に、患者の捜索と地域での意識向上キャンペーンが行われ、12人の新たな確定例が発見されて
います。このうち7人は死後の検査で同定され、同期間にフォレカリア県で報告された確定例の52%に
相当しています。同様の活動がコワイヤ(開始日4月24日)で計画され、その後、ドゥブレカ、コナクリ、
キンディア、ボッファで計画されています。
・ リベリアにおける最後の確定例は3月27日に死亡して、3月28日に埋葬されました。全国で高い警戒
体制が維持されています。4月19日までの5日間に、新たに212検体でEVD検査が行われましたが、確
定例は同定されませんでした。最後の確定例が埋葬されてから42日が経過するのは5月9日になります。
・ 4月19日末の週に、医療従事者の新たな感染者は報告されませんでした。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、診断確定例、可能性例、疑い例を合わせて26,044人のEVD患者が発生しており、10,808人が死亡しています(表1)。4月19日末の週に、ギニアでは21人、リベリアでは0人、シエラレオネでは12人の新たな確定例が報告されました。
確定例と可能性例の階層別解析では、男性と女性の症例数は同程度となっています。人口10万対の症例数を15歳未満の小児と比較すると、15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上の成人では3倍から5倍となっています(表2)。
流行3か国において、医療従事者の感染者865人が報告されており、このうち504人の死亡が報告されています(表3)。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
※ データは確定例と死亡者数のみですが、シエラレオネの死亡者数のデータの一部には、確定例、可能性
例、疑い例が含まれています。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよそ
の境界線を表しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険性があり続けます。
しかし、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込め
ることが可能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果
的対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(
PSTs)の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 22 April 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-22-april-2015-0
要約
・ EVD確定例数の減少が、3週間以上維持されています。症例数0に向かって減少を加速させるために
は、地域でのさらなる取り組みの強化、接触者の追跡およびより早い患者発見に向けた改善が必要にな
ります。4月19日末の週に、合計33人の確定例が報告されました。前週は37人、前々週は30人でした。
・ 4月19日末の週に、ギニアでは、21人の確定例が報告されました(前週28人)。シエラレオネでは、
12人の確定例が報告されました(前週9人)。リベリアでは、確定例は報告されませんでした。
・ ギニアでは、合計4県から、少なくとも1人の確定例が報告されました(前週5県)。感染伝播は国の西
部に閉じ込められたままであり、シエラレオネと国境を接するフォレカレア県に集中しています。この
県では国内で発生した確定例の86%が報告されています。
・ シエラレオネでは、首都フリータウンを含む西部市街地で6人の確定例が報告されました。これは国
内で発生した症例の半数で、前週の4人からわずかに増加しています。ギニアと北部で国境を接するコ
イナダグは、感染源不明の新たな確定例1人を報告しました。新たな確定例を報告している他の地域は、
西部のカンビア(4人)とポート・ロコ(1人)でした。4県が少なくとも1人の確定例を報告しました(前
週3県)。
・ シエラレオネでの対策の指標は、モザイク模様を示しています。4月19日末の週に、地域において死
後の検査でEVD陽性が同定された死亡者は3人(カンビア1人、西部市街地1人、コイナダグ1人)でした。
4月12日末の週に、登録された接触者から発生した新たな患者の割合は、50%未満の44%でした。多
数の検体(1,467検体)が収集されましたが、EVD陽性は1%以下(1,467検体中12検体)であり、警戒態
勢の高まりを反映しています。
・ ギニアでの対策の指標も、モザイク模様を示しています。4月19日末の週に、EVDで死亡した6人が
地域での死後の検査で同定されました(前週8人)。登録された接触者から発生した確定例の割合は、3週
連続で50%未満にとどまり、4月12日末の週(データが利用可能な最新の週)では46%でしたが、前週の
29%からは上昇しています。4月19日末の週に検査された検体数は565検体で5週連続で増加していま
すが、陽性検体の検出率は6%に低下しています(前週10%)。
・ ギニアとシエラレオネにおける地域での取り組みは、着実に改善しているように見えますが、全ての
感染伝播の鎖を同定するためには、さらなる行動が必要です。フォレカリア県では、4月12日から15日
までの間に、患者の捜索と地域での意識向上キャンペーンが行われ、12人の新たな確定例が発見されて
います。このうち7人は死後の検査で同定され、同期間にフォレカリア県で報告された確定例の52%に
相当しています。同様の活動がコワイヤ(開始日4月24日)で計画され、その後、ドゥブレカ、コナクリ、
キンディア、ボッファで計画されています。
・ リベリアにおける最後の確定例は3月27日に死亡して、3月28日に埋葬されました。全国で高い警戒
体制が維持されています。4月19日までの5日間に、新たに212検体でEVD検査が行われましたが、確
定例は同定されませんでした。最後の確定例が埋葬されてから42日が経過するのは5月9日になります。
・ 4月19日末の週に、医療従事者の新たな感染者は報告されませんでした。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、診断確定例、可能性例、疑い例を合わせて26,044人のEVD患者が発生しており、10,808人が死亡しています(表1)。4月19日末の週に、ギニアでは21人、リベリアでは0人、シエラレオネでは12人の新たな確定例が報告されました。
確定例と可能性例の階層別解析では、男性と女性の症例数は同程度となっています。人口10万対の症例数を15歳未満の小児と比較すると、15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上の成人では3倍から5倍となっています(表2)。
流行3か国において、医療従事者の感染者865人が報告されており、このうち504人の死亡が報告されています(表3)。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,136 |
70 |
1,943 |
可能性例 |
415 |
未報告 |
415 |
|
疑い例 |
14 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
3,565 |
70 |
2,358 |
|
リベリア |
確定例 |
3,151 |
0 |
未確定 |
可能性例 |
1,879 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
5,182 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
10,212 |
0 |
4,573 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,575 |
30 |
3,511 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
3,405 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
12,267 |
30 |
3,877 |
|
総数 |
確定例 |
14,862 |
100 |
未確定 |
可能性例 |
2,581 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
8,601 |
未報告 |
未確定 |
|
総数 |
26,044 |
100 |
10,808 |
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,685 |
1,831 |
556 |
1,966 |
972 |
(31) |
(34) |
(12) |
(42) |
(62) |
|
リベリア |
2,958 |
2,891 |
993 |
3,170 |
1,208 |
(149) |
(147) |
(58) |
(186) |
(226) |
|
シエラレオネ |
5,433 |
5,768 |
2,330 |
6,231 |
2,427 |
(191) |
(199) |
(96) |
(241) |
(328) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
187 |
94 |
リベリア |
375 |
189 |
シエラレオネ |
303 |
221 |
総数 |
865 |
504 |
例、疑い例が含まれています。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよそ
の境界線を表しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険性があり続けます。
しかし、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込め
ることが可能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果
的対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(
PSTs)の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 22 April 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-22-april-2015-0