エボラ出血熱の流行状況37 平成27年4月29日更新
2015年4月29日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
4月26日までの1週間に新たに33人のエボラウイルス病(EVD)診断確定例がありました。ギニアのフォレカリア、シエラレオネのカンビアで確定例の76%に当たる25例が報告されています。これらの地域では、現存している感染連鎖が追跡され終了できるようコミュニティ活動の改善が必要です。
ギニアでは同じ1週間では前週の診断確定例19例と比較して22例と微増となっています。シエラレオネでは前週が12例で今週の診断確定例は11例でした。リベリアでは診断確定例は5週連続してありませんでした。今回の流行が始まってより、少なくとも1例の診断確定例が発生した3国の55地域の中で、39の地域では6週間以上にわたり新たな診断確定例は発生していません。
4月26日までの1週間でギニアでは5地域で少なくとも1例の診断確定例が発生しています。首都コナクリでは新たな発生報告はありません。診断確定例22例中の77%に当たる17例はフォレカリアの西部県でシエラレオネのカンビア地域との接している地域で発生しています。
シエラレオネでは新たな診断確定例の報告は前週4つのコミュニティであったものが同週には3つのコミュニティでの報告となっています。カンビアで8例の報告があったのに加え、首都フリータウンが属する西部都市地区で1例の報告があり、地方地区では2例の報告がありました。
シエラレオネでは同週にカンビアのコミュニティにおいて死後の検査で診断が確定した例が4例ありました。同様のケースはその前週には3例あり、50%の発病例は感染連鎖が判明しているケースでした。検査データからみると1406検体が4月26日までの1週間で検査されましたがEVD陽性率は1%未満でした。
ギニアでの対策については一進一退です。4月26日までの1週間での診断確定例は8例でいずれもコミュニティでの死亡例の死後検査により判明しています。その前週は同様のケースは6例でした。同週には安全でない埋葬が66例報告されています。また発症者のうち登録された接触者であったのは22人中6人(27%)でしかありませんでした。その前週は53%となっています。しかしながら585検体の検査結果からみるとデータは7週連続で改善しています。
ギニアとシエラレオネでは診断が死後に確定するケースが続いています。また患者の半数近くは接触後追跡調査されていたケースではありません。この事はいくつかの地域では追跡調査と社会におけるその実行に改善の余地があることを示しています。症例の発見とコミュニティへの啓発のためのキャンペーンが4月24日~27日にかけてギニアのコワイヤ県で実施され4日間で57,000家族が参加しました。その4日間で44の警戒情報が記録され前回に比して91%の増加となっています。この警戒情報からは診断確定例はみつかっていませんが検体については10検体が判定保留となっています。ボッファ、コナクリ、ドゥブレカ、キンディアでも同様に開催が計画されています。
リベリアにおける最後の診断確定例は3月27日に死亡し、翌日埋葬されました。厳重な警戒が国中で継続されています。4月23日までの4日間で新たに194検体が検査されましたが,新たに診断されたケースはありませんでした。5月9日で最後の診断確定例が埋葬されてから6週間が経過することになります。
4月26日に至る連続した2週間で新たな医療従事者の感染も報告されていません。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
これまでギニア、シエラレオネ、リベリアの3国で診断確定例、疑い例、可能性例あわせて26,277人の患者が報告されエおり、内10,844人が死亡しています。(はアウトカムについて不明例も多くあります。)4月26日までの1週間での新たな診断確定例はギニアが22人、シベリアが0人、シエラレオネが11人となっています。(表1)
診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです。(表2)14歳以下の小児と比べると15~44歳の人では患者数は3倍となっています。45歳以上の人は小児と比べると3-5倍罹患しています。
医療従事者の感染者数は3国で865人となっており、504人が死亡しています。(表3)
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
※ データは確定例と死亡者数のみですが、シエラレオネの死亡者数のデータの一部には、確定例、可能性
例、疑い例が含まれています。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよそ
の境界線を表しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険性があり続けます。
しかし、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込め
ることが可能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果
的対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(
PSTs)の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 29 April 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-29-april-2015
要約
4月26日までの1週間に新たに33人のエボラウイルス病(EVD)診断確定例がありました。ギニアのフォレカリア、シエラレオネのカンビアで確定例の76%に当たる25例が報告されています。これらの地域では、現存している感染連鎖が追跡され終了できるようコミュニティ活動の改善が必要です。
ギニアでは同じ1週間では前週の診断確定例19例と比較して22例と微増となっています。シエラレオネでは前週が12例で今週の診断確定例は11例でした。リベリアでは診断確定例は5週連続してありませんでした。今回の流行が始まってより、少なくとも1例の診断確定例が発生した3国の55地域の中で、39の地域では6週間以上にわたり新たな診断確定例は発生していません。
4月26日までの1週間でギニアでは5地域で少なくとも1例の診断確定例が発生しています。首都コナクリでは新たな発生報告はありません。診断確定例22例中の77%に当たる17例はフォレカリアの西部県でシエラレオネのカンビア地域との接している地域で発生しています。
シエラレオネでは新たな診断確定例の報告は前週4つのコミュニティであったものが同週には3つのコミュニティでの報告となっています。カンビアで8例の報告があったのに加え、首都フリータウンが属する西部都市地区で1例の報告があり、地方地区では2例の報告がありました。
シエラレオネでは同週にカンビアのコミュニティにおいて死後の検査で診断が確定した例が4例ありました。同様のケースはその前週には3例あり、50%の発病例は感染連鎖が判明しているケースでした。検査データからみると1406検体が4月26日までの1週間で検査されましたがEVD陽性率は1%未満でした。
ギニアでの対策については一進一退です。4月26日までの1週間での診断確定例は8例でいずれもコミュニティでの死亡例の死後検査により判明しています。その前週は同様のケースは6例でした。同週には安全でない埋葬が66例報告されています。また発症者のうち登録された接触者であったのは22人中6人(27%)でしかありませんでした。その前週は53%となっています。しかしながら585検体の検査結果からみるとデータは7週連続で改善しています。
ギニアとシエラレオネでは診断が死後に確定するケースが続いています。また患者の半数近くは接触後追跡調査されていたケースではありません。この事はいくつかの地域では追跡調査と社会におけるその実行に改善の余地があることを示しています。症例の発見とコミュニティへの啓発のためのキャンペーンが4月24日~27日にかけてギニアのコワイヤ県で実施され4日間で57,000家族が参加しました。その4日間で44の警戒情報が記録され前回に比して91%の増加となっています。この警戒情報からは診断確定例はみつかっていませんが検体については10検体が判定保留となっています。ボッファ、コナクリ、ドゥブレカ、キンディアでも同様に開催が計画されています。
リベリアにおける最後の診断確定例は3月27日に死亡し、翌日埋葬されました。厳重な警戒が国中で継続されています。4月23日までの4日間で新たに194検体が検査されましたが,新たに診断されたケースはありませんでした。5月9日で最後の診断確定例が埋葬されてから6週間が経過することになります。
4月26日に至る連続した2週間で新たな医療従事者の感染も報告されていません。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
これまでギニア、シエラレオネ、リベリアの3国で診断確定例、疑い例、可能性例あわせて26,277人の患者が報告されエおり、内10,844人が死亡しています。(はアウトカムについて不明例も多くあります。)4月26日までの1週間での新たな診断確定例はギニアが22人、シベリアが0人、シエラレオネが11人となっています。(表1)
診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです。(表2)14歳以下の小児と比べると15~44歳の人では患者数は3倍となっています。45歳以上の人は小児と比べると3-5倍罹患しています。
医療従事者の感染者数は3国で865人となっており、504人が死亡しています。(表3)
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,158 |
69 |
1,962 |
可能性例 |
415 |
未報告 |
415 |
|
疑い例 |
11 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
3,584 |
69 |
2,377 |
|
リベリア |
確定例 |
3,151 |
0 |
未確定 |
可能性例 |
1,879 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
5,292 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
10,322 |
0 |
4,608 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,586 |
32 |
3,533 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
3,498 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
12,371 |
32 |
3,899 |
|
総数 |
確定例 |
14,895 |
101 |
未確定 |
可能性例 |
2,581 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
8,801 |
未報告 |
未確定 |
|
総数 |
26,277 |
101 |
10,884 |
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,695 |
1,841 |
558 |
1,975 |
980 |
31 |
34 |
12 |
42 |
63 |
|
リベリア |
2,959 |
2,893 |
994 |
3,171 |
1,209 |
149 |
147 |
58 |
186 |
226 |
|
シエラレオネ |
5,510 |
5,849 |
2,370 |
6,299 |
2,484 |
193 |
202 |
98 |
243 |
336 |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
187 |
94 |
リベリア |
375 |
189 |
シエラレオネ |
303 |
221 |
総数 |
865 |
504 |
例、疑い例が含まれています。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよそ
の境界線を表しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険性があり続けます。
しかし、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込め
ることが可能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果
的対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(
PSTs)の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 29 April 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-29-april-2015