エボラ出血熱の流行状況38 平成27年5月6日更新
2015年5月6日WHO(世界保健機関)はエボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 5月3日末の週に合計18人の新規確定例(ギニア9人、シエラレオネ9人)が報告されました。これは今
年に入って最も低い週毎での症例数で、発生率が1週につき30~37%の間を推移した後のことです。そ
の両国各々は発生数が10人未満であったことが励みになると報告しました、しかし、油断しないことが
重要です。
リベリアは今年1月の始まりから1週につき10人足らずの症例を報告し、新しい症例が5月9日まで報
告されなければ、終息宣言となります。それは最後の確定症例の埋葬(3月28日)以後42日目になります。
・ ギニアではフォレカリア県から合計9人が報告され、シエラレオネのカンビア(ギニアのフォレカリ
アと国境をまたぐ)と首都(フリータウン)を含む西部都市地区の2地区から9人が報告されました。こ
れは2014年5月から最も影響を受けた3か国での確定症例を報告する地区において最も低い総数です。
ギニア、リベリアで発生が始まった時から、1人以上の確定症例を報告したシエラレオネの55地区の
うち、41地区では6週間報告されませんでした。
・ 前週まで少なくとも一人を報告した5県と比較して、フォレカリアは、5月3日までの週で確定症例を
報告するギニアの唯一の県でした。フォレカリアは大きな県であり、9人は6つの別々の郡で広く分散し
ました。9人中5人は、コミュニティでの死亡の調査の後に検死された症例で、その5人中一人は登録さ
れていた前症例との接触者で、合計で9人中4人は、登録されていた前症例との接触者でした。5月3日
までの週で7県から報告された36の安全でない埋葬もありました。これは7県で合計368例の報告され
た死亡例の10%にあたります。合計374検体は5月3日までの週で検査されました。データは1つの研究
所からなくなっています。
4%は、EVD(繰り返し検査を含みます)の陽性反応を示しました。合わせて考えると、これらの指
標は感染の連鎖の追跡がまだ困難であることを示唆し、今後数週間は発生率や地理的拡散の増加の可能
性はあります。
・ シエラレオネから報告された9人は、2つの異なった地理的集団に分けられました。
5人はカンビア(前週は8人)から報告されました。症例はマグメバ地区のチーフドムス(4人)とグビ
ンレドキシング地区(1人)に集中しました。グビンレドキシングはギニアのフォレカリアと国境をま
たぎます。残りの4人は、フリータウンの東 にあるMoa埠頭地域から報告されました。9人のうち、
コミュニティ・セッティングで生じた死後調査により、3人(Moa埠頭1人、Magbema2人)は確定され
ました。9人中2人は、以前に登録された確定例との接触者でした。しかし更なる調査により、9人中
5人が感染伝播の既知の連鎖と疫学的なつながりがあるとわかりました。5月3日までの週で新たに検査
された1,654検体により、研究所の指標は強化された警戒体制が継続されていることを示します。陽性
反応は1%未満でした。
・ リベリアでの最後の確定例は、3月27日に死亡し、3月28日に埋葬されました。強化された警戒体制
が続いています。5月3日までの週で新しい319検体がEVDのため検査され確定例は報告されませんでし
た。
・ 3週連続、新たな医療従事者の感染者は5月3日までの週で報告されませんでした。流行が始まって以
来の3か国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)で報告された医療従事者の感染者総数は868人で死亡者
は507人です。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定例、可能性の高い患者、疑い患者を
含む)が合計26,593人、死亡者は11,005人となりました。5月3日までの1週間の新規確定患者はギニ
ア9人、リベリア0人、シエラレオネ9人でした。(表1)
・ 診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです。14歳以下の小児と比べると15~44歳の成人では患者
数は3倍となっています。45歳以上の成人は小児と比べると3-5倍になっています。(表2)
・ 医療従事者の感染者数は3か国で868人となっており、507人が死亡しています。過去の症例の再分
類に至った調査の後に、新たな3人の医療従事者の感染者が今週リベリアのために累計に加えられまし
た。(表3)
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
※ データは確定例と死亡者数のみですが、シエラレオネの死亡者数のデータの一部には、確定例、可能性
例、疑い例が含まれています。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよそ
の境界線を表しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険性があり続けます。
しかし、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込め
ることが可能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果
的対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(
PSTs)の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 6 May 2015
http://apps.who.int/ebola/en/current-situation/ebola-situation-report-6-may-2015
要約
・ 5月3日末の週に合計18人の新規確定例(ギニア9人、シエラレオネ9人)が報告されました。これは今
年に入って最も低い週毎での症例数で、発生率が1週につき30~37%の間を推移した後のことです。そ
の両国各々は発生数が10人未満であったことが励みになると報告しました、しかし、油断しないことが
重要です。
リベリアは今年1月の始まりから1週につき10人足らずの症例を報告し、新しい症例が5月9日まで報
告されなければ、終息宣言となります。それは最後の確定症例の埋葬(3月28日)以後42日目になります。
・ ギニアではフォレカリア県から合計9人が報告され、シエラレオネのカンビア(ギニアのフォレカリ
アと国境をまたぐ)と首都(フリータウン)を含む西部都市地区の2地区から9人が報告されました。こ
れは2014年5月から最も影響を受けた3か国での確定症例を報告する地区において最も低い総数です。
ギニア、リベリアで発生が始まった時から、1人以上の確定症例を報告したシエラレオネの55地区の
うち、41地区では6週間報告されませんでした。
・ 前週まで少なくとも一人を報告した5県と比較して、フォレカリアは、5月3日までの週で確定症例を
報告するギニアの唯一の県でした。フォレカリアは大きな県であり、9人は6つの別々の郡で広く分散し
ました。9人中5人は、コミュニティでの死亡の調査の後に検死された症例で、その5人中一人は登録さ
れていた前症例との接触者で、合計で9人中4人は、登録されていた前症例との接触者でした。5月3日
までの週で7県から報告された36の安全でない埋葬もありました。これは7県で合計368例の報告され
た死亡例の10%にあたります。合計374検体は5月3日までの週で検査されました。データは1つの研究
所からなくなっています。
4%は、EVD(繰り返し検査を含みます)の陽性反応を示しました。合わせて考えると、これらの指
標は感染の連鎖の追跡がまだ困難であることを示唆し、今後数週間は発生率や地理的拡散の増加の可能
性はあります。
・ シエラレオネから報告された9人は、2つの異なった地理的集団に分けられました。
5人はカンビア(前週は8人)から報告されました。症例はマグメバ地区のチーフドムス(4人)とグビ
ンレドキシング地区(1人)に集中しました。グビンレドキシングはギニアのフォレカリアと国境をま
たぎます。残りの4人は、フリータウンの東 にあるMoa埠頭地域から報告されました。9人のうち、
コミュニティ・セッティングで生じた死後調査により、3人(Moa埠頭1人、Magbema2人)は確定され
ました。9人中2人は、以前に登録された確定例との接触者でした。しかし更なる調査により、9人中
5人が感染伝播の既知の連鎖と疫学的なつながりがあるとわかりました。5月3日までの週で新たに検査
された1,654検体により、研究所の指標は強化された警戒体制が継続されていることを示します。陽性
反応は1%未満でした。
・ リベリアでの最後の確定例は、3月27日に死亡し、3月28日に埋葬されました。強化された警戒体制
が続いています。5月3日までの週で新しい319検体がEVDのため検査され確定例は報告されませんでし
た。
・ 3週連続、新たな医療従事者の感染者は5月3日までの週で報告されませんでした。流行が始まって以
来の3か国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)で報告された医療従事者の感染者総数は868人で死亡者
は507人です。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定例、可能性の高い患者、疑い患者を
含む)が合計26,593人、死亡者は11,005人となりました。5月3日までの1週間の新規確定患者はギニ
ア9人、リベリア0人、シエラレオネ9人でした。(表1)
・ 診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです。14歳以下の小児と比べると15~44歳の成人では患者
数は3倍となっています。45歳以上の成人は小児と比べると3-5倍になっています。(表2)
・ 医療従事者の感染者数は3か国で868人となっており、507人が死亡しています。過去の症例の再分
類に至った調査の後に、新たな3人の医療従事者の感染者が今週リベリアのために累計に加えられまし
た。(表3)
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,167 |
50 |
1,971 |
可能性例 |
415 |
未報告 |
415 |
|
疑い例 |
7 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
3,589 |
50 |
2,386 |
|
リベリア |
確定例 |
3,151 |
0 |
未確定 |
可能性例 |
1,879 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
5,534 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
10,564 |
0 |
4,716 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,595 |
32 |
3,537 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
3,558 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
12,440 |
32 |
3,903 |
|
総数 |
確定例 |
14,913 |
83 |
未確定 |
可能性例 |
2,581 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
9,099 |
未報告 |
未確定 |
|
総数 |
26,593 |
82 |
11,005 |
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,711 |
1,862 |
560 |
1,983 |
982 |
31 |
34 |
12 |
43 |
63 |
|
リベリア |
2,959 |
2,893 |
994 |
3,171 |
1,209 |
149 |
147 |
58 |
186 |
226 |
|
シエラレオネ |
5,532 |
5,885 |
2,376 |
6,331 |
2,498 |
194 |
203 |
98 |
245 |
338 |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
187 |
94 |
リベリア |
378 |
192 |
シエラレオネ |
303 |
221 |
総数 |
868 |
507 |
例、疑い例が含まれています。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよそ
の境界線を表しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険性があり続けます。
しかし、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込め
ることが可能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果
的対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(
PSTs)の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 6 May 2015
http://apps.who.int/ebola/en/current-situation/ebola-situation-report-6-may-2015