エボラ出血熱の流行状況39 平成27年5月13日更新
2015年5月13日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 5月10日末の週に、9人の確定例が報告されました。ギニア7人、シエラレオネ2人で今年に入って最
も報告数の少ない週となりました。この週には、シエラレオネでは流行が始まって以来初めて2日以上
連続して患者報告がなく、5月12日まで8日連続報告がありません。EVDの最後の確定例が埋葬されて
から42日が経過した5月9日、リベリアではEVD流行の終息宣言が出されました。現在、同国は3ヶ月間
の高警戒期間に入りました。WHOは、ギニアとシエラレオネの国境地域を中心に2015年末までに同国
に継続して留まります。
・ ギニア、リベリア、シエラレオネの55地区では流行開始からEVD確定例が1人以上報告され、43地区
では6週間以上症例報告はありません。
・ ギニアでの確定例7人中6人は流行の中心となっているフォレカリア県から報告されました。6人のう
ち4人はシエラレオネ国境のカンビア県の中央ムサカ自治区から報告されています。カリアとシコロー、
西、東北ムサヤ自治区は、それぞれ1例ずつ報告しています。残り1例はデュブレカ県から報告されまし
た。この症例はコミュニティでの死後の検査でEVD陽性が同定されました。以前の確定例との関連は明
らかではありません。
・ 5月10日末の週にギニアから報告された7人中4人は死後の検査でEVD陽性が同定されました。7人中
1人は登録された接触者です。5月10日末の週に、初検査および再検査を併せた529件の検査を実施し
ています。安全性を欠いた埋葬の報告数はコミュニティで死亡した368件中23件と3週連続で減少して
います。しかしこの指標は、流行を追跡するのに不十分で、今後数週間の症例数や地理的拡大により増
加する可能性があります。 デュブレカの症例と既知の流行伝播連鎖間で疫学的関連が成立しないこと
が懸念されます。追加で3症例を報告しています。
・ シエラレオネの2人は首都フリータウンの東一帯のモアワーフエリアから報告されました。症例は母
親と10歳の娘で、ともにモアワーフエリアでの症例発生時に登録された接触者で、発見時は検疫下にあ
りました。ヘイスティングスエボラ治療センターでの治療後、母親は2度目の陰性が確認されました。
娘はまだEVD陽性で治療中です。
・ 4週連続で、5月10日末の週に医療従事者の感染は報告されませんでした。流行開始から現在までに、
ギニア、リベリア、シエラレオネから医療従事者の感染者数は868人、死亡者数は507人が報告されて
います。一方で、5月12日にイタリアからEVD感染確定例が報告されました。症例は5月7日にシエラレ
オネからイタリアに戻ったボランティアの医療従事者です。5月10日に発症し、翌11日にサルデーニャ
島のサッサリ病院の感染症病棟に搬送されました。12日にEVD陽性と診断され、ローマの感染症研究
所に転院しました。到着後72時間での発症のため、同乗者の追跡調査の必要はないとしています。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、診断確定例、可能性例、疑い例を合わせて26,724人の
EVD患者が発生しており、11,065人が死亡しています(表1)。5月10日までの7日間、ギニアでは
7人、シエラレオネでは2人の新たな確定例が報告されました。リベリアでの流行は5月9日に終息しま
した。
・ 診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです。14歳以下の小児と比べると15~44歳の成人の患者数
は3~4倍となっています。45歳以上の成人は小児と比べると4~5倍になっています。(表2)
・ 医療従事者の感染者数は3か国で868人となっており、507人が死亡しています。(表3)
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
※ データは確定例と死亡者数のみですが、シエラレオネの死亡者数のデータの一部には、確定例、可能性
例、疑い例が含まれています。
* 2月17日のデータ
♯ 年齢データがないものは除きます。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよそ
の境界線を表しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ
深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
・ 5月9日、リベリアにおけるEVD流行は終息が宣言されました。過去に広範囲に及ぶ深刻な感染伝播
が発生した国は新規発生例を認めず、最後の感染患者を埋葬して42日が経過しました。現在、3か月間
の高警戒期間に入っています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険性があり続けます。
しかし、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込め
ることが可能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果
的対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(
PSTs)の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 13 May 2015
http://apps.who.int/ebola/en/current-situation/ebola-situation-report-13-may-2015
要約
・ 5月10日末の週に、9人の確定例が報告されました。ギニア7人、シエラレオネ2人で今年に入って最
も報告数の少ない週となりました。この週には、シエラレオネでは流行が始まって以来初めて2日以上
連続して患者報告がなく、5月12日まで8日連続報告がありません。EVDの最後の確定例が埋葬されて
から42日が経過した5月9日、リベリアではEVD流行の終息宣言が出されました。現在、同国は3ヶ月間
の高警戒期間に入りました。WHOは、ギニアとシエラレオネの国境地域を中心に2015年末までに同国
に継続して留まります。
・ ギニア、リベリア、シエラレオネの55地区では流行開始からEVD確定例が1人以上報告され、43地区
では6週間以上症例報告はありません。
・ ギニアでの確定例7人中6人は流行の中心となっているフォレカリア県から報告されました。6人のう
ち4人はシエラレオネ国境のカンビア県の中央ムサカ自治区から報告されています。カリアとシコロー、
西、東北ムサヤ自治区は、それぞれ1例ずつ報告しています。残り1例はデュブレカ県から報告されまし
た。この症例はコミュニティでの死後の検査でEVD陽性が同定されました。以前の確定例との関連は明
らかではありません。
・ 5月10日末の週にギニアから報告された7人中4人は死後の検査でEVD陽性が同定されました。7人中
1人は登録された接触者です。5月10日末の週に、初検査および再検査を併せた529件の検査を実施し
ています。安全性を欠いた埋葬の報告数はコミュニティで死亡した368件中23件と3週連続で減少して
います。しかしこの指標は、流行を追跡するのに不十分で、今後数週間の症例数や地理的拡大により増
加する可能性があります。 デュブレカの症例と既知の流行伝播連鎖間で疫学的関連が成立しないこと
が懸念されます。追加で3症例を報告しています。
・ シエラレオネの2人は首都フリータウンの東一帯のモアワーフエリアから報告されました。症例は母
親と10歳の娘で、ともにモアワーフエリアでの症例発生時に登録された接触者で、発見時は検疫下にあ
りました。ヘイスティングスエボラ治療センターでの治療後、母親は2度目の陰性が確認されました。
娘はまだEVD陽性で治療中です。
・ 4週連続で、5月10日末の週に医療従事者の感染は報告されませんでした。流行開始から現在までに、
ギニア、リベリア、シエラレオネから医療従事者の感染者数は868人、死亡者数は507人が報告されて
います。一方で、5月12日にイタリアからEVD感染確定例が報告されました。症例は5月7日にシエラレ
オネからイタリアに戻ったボランティアの医療従事者です。5月10日に発症し、翌11日にサルデーニャ
島のサッサリ病院の感染症病棟に搬送されました。12日にEVD陽性と診断され、ローマの感染症研究
所に転院しました。到着後72時間での発症のため、同乗者の追跡調査の必要はないとしています。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、診断確定例、可能性例、疑い例を合わせて26,724人の
EVD患者が発生しており、11,065人が死亡しています(表1)。5月10日までの7日間、ギニアでは
7人、シエラレオネでは2人の新たな確定例が報告されました。リベリアでの流行は5月9日に終息しま
した。
・ 診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです。14歳以下の小児と比べると15~44歳の成人の患者数
は3~4倍となっています。45歳以上の成人は小児と比べると4~5倍になっています。(表2)
・ 医療従事者の感染者数は3か国で868人となっており、507人が死亡しています。(表3)
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,174 |
38 |
1,977 |
可能性例 |
415 |
未報告 |
415 |
|
疑い例 |
8 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
3,597 |
38 |
2,392 |
|
リベリア |
確定例 |
3,151 |
0 |
未確定 |
可能性例 |
1,879 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
5,574 |
未報告 |
未確定 |
|
国別総数 |
10,604 |
0 |
4,769 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,597 |
22 |
3,538 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
3,639 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
12,523 |
22 |
3,904 |
|
総数 |
確定例 |
14,922 |
60 |
未確定 |
可能性例 |
2,581 |
未報告 |
未確定 |
|
疑い例 |
9,221 |
未報告 |
未確定 |
|
総数 |
26,724 |
60 |
11,065 |
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,527 |
1,635 |
493 |
1,809 |
817 |
(28) |
(30) |
(11) |
(39) |
(52) |
|
リベリア |
1,911 |
1,835 |
561 |
2,056 |
704 |
(96) |
(93) |
(33) |
(120) |
(132) |
|
シエラレオネ |
4,654 |
4,953 |
1,911 |
5,454 |
2,065 |
(163) |
(171) |
(79) |
(211) |
(279) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
表3.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者のEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
187 |
94 |
リベリア |
378 |
192 |
シエラレオネ |
303 |
221* |
総数 |
868 |
507 |
例、疑い例が含まれています。
* 2月17日のデータ
♯ 年齢データがないものは除きます。
図1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD患者の分布図

※ 図のデータは、各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称
および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境
界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、
その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよそ
の境界線を表しています。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ
深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
・ 5月9日、リベリアにおけるEVD流行は終息が宣言されました。過去に広範囲に及ぶ深刻な感染伝播
が発生した国は新規発生例を認めず、最後の感染患者を埋葬して42日が経過しました。現在、3か月間
の高警戒期間に入っています。
EVDの曝露を早期に検知し、対応するための各国の対策
・ EVD非流行国へのEVD患者の入国は、EVDの発生国が存在する限り、危険性があり続けます。
しかし、適切な水準の対策が講じられれば、EVDが侵入したとしても迅速で適切な対応により封じ込め
ることが可能です。
・ WHOの対策活動は、全ての国が、潜在的なEVDを効率的、確実に検出、調査し、報告、そして効果
的対応の実施、などを励行することを目指しています。WHOは、これらの援助を、対策チーム(
PSTs)の派遣、直接的技術支援および技術指導と機器の提供を通じて行っています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 13 May 2015
http://apps.who.int/ebola/en/current-situation/ebola-situation-report-13-may-2015