(No.61)

ニジェールにおける髄膜炎菌性髄膜炎の流行の急速な拡大
2015年5月15日更新

 2015年1月1日から5月15日までの間に、ニジェール保健省は死亡者423人を含む6,179人の髄膜炎菌性髄膜炎の疑い患者をWHO(世界保健機関)に報告しました。この流行は、前例のない特徴と共に急速に拡大しています。

 疑い患者は、最後の2週間で3倍以上と、非常に急速に増加しています。これは、アフリカの髄膜炎ベルトの国における髄膜炎菌C型に起因した最初の大規模な髄膜炎の流行です。
 首都を含む11地域において、流行の域に達しました。これには、死亡者226人を含む4,099人の髄膜炎菌性髄膜炎の疑い患者が報告されているニアメ州の全5地域が含まれています。急速な拡大と患者数の増加は高いリスクとなり、100万人以上の人口密度が高い都市部に影響を与えるため、この流行は高い関心事となっています。
 流行地域では、検体検査で主に髄膜炎菌C型が確認されており、いくつかの患者検体からは髄膜炎菌W型も確認されています。豊かな国々では、C型が髄膜炎の主な原因となっていましたが、アフリカではこれまで高く関心を持たれておりませんでした。
 過去40年間、アフリカでは髄膜炎菌C型(A型とC型の混合血清群)は散発例やいくつかの局所的な流行を起こすだけでした。これらの流行は、1975年にナイジェリア、1991年にニジェール、2013年から2014年にナイジェリアで発生しました。
 この歴史的なパターンに対して、今回のニジェールにおける流行は驚くべき進展です。これは、髄膜炎菌C型によって引き起こされた髄膜炎のアフリカにおける最初の大流行であるため、この病気に対抗するワクチンが不足しています。

公衆衛生における対策
 流行への対策のために国家対策本部が設置されました。アメリカ疾病対策センター(CDC)及びWHOから成る国際調査チームが、この流行を調査する保健省を支援して同国のサーベイランスを強化するために派遣されました。
 WHOと支援団体は、ニジェール政府が集団予防接種キャンペーンやその他の緊急対策を実施することを支援しています。この取組に尽力しているのが、流行性髄膜炎コントロールのためのワクチン接種対策の国際調整団体(ICG)です。ICGは、WHO、UNICF、国際赤十字赤新月社連盟、国境なき医師団(MSF)から成る支援団体です。ワクチン製造業者と密に協力しており、アフリカで非常に大きく致命的であった髄膜炎の流行に伴い1997年に設立されました。
 現在、ICGは4つの団体からのワクチン請求を承認しました。髄膜炎菌A型・C型・W型に対する46万人分の従来の多糖体ワクチンと髄膜炎菌A型・C型・W型・Y型に対する20万人分の新しいコンジュゲートワクチンが出荷されました。
 2歳から15歳の小児を対象とした予防接種キャンペーンが、ニアメ州を含む流行11地域のうち8地域で実施されています。MSFは、医師や患者管理従事者のチームとともに、保健省を支援しています。非常に効果的な抗生物質であるセフトリアキソン18,500バイアルが、ICGの支援で利用可能となっています。これらの支援により、髄膜炎による患者の死亡率は、過去週週間で11%から6.8%に減少しています。WHOと支援団体は、流行のサーベイランス、住民啓発及び予防措置において保健省を支援しています。

 【出典】
  WHO, Global Alert and Response (GAR).
  Rapidly growing outbreak of meningococcal disease in Niger, 15 May 2015
  http://www.who.int/csr/don/15-may-2015-niger/en/