エボラ出血熱の流行状況41 平成27年5月27日更新
2015年5月27日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 5月24日末の週に、ギニアとシエラレオネから12人の確定例が報告されました。ギニアから9人、シ
エラレオネから3人となっています。1人以上の確定例が発生した地域数も合計5地区(ギニア3地区、シ
エラレオネ2地区)となっており、前週は6地区(ギニア3地区、シエラレオネ3地区)となっていました。
西ギニアのフォレカリア県で最も症例が多く、対策が進行中ですが4つの郡で複数の感染連鎖が有り、
また感染源が不明な患者も発生しています。
・ ギニアの症例はドゥブレカ3人、フォレカリア5人,ギニアビサウとの国境にあるボケ1人となっていま
す。前週と同様、ボケとドゥブレカではカムサールとタネネに集中しています。フォレカリアの5人は
4ヶ所の異なる地域からの報告です。5月19日には4日間の症例発見と注意喚起のキャンペーンが終了し
ました。その間症例発見と社会的動員のために訓練された集学的チームが8,023件の家々を訪れ
38,557人の住民を指導しました。
・ ギニアにおける9人の患者のうち7人は確定患者との接触があった例ですがフォレカリアの1人は伝播
経路が不明であり、もう1例は登録歴のない患者からの感染でしたが調査の結果フォレカリアの既知の
感染連鎖との繋がりが判明しました。伝播経路の不明な1人は病院外で死亡し、死後検査で診断が確定
したギニアの3人のうちの1人です。安全でない埋葬がこの週に13件報告されており、335件の埋葬の
うちの4%に相当します。前週の386件の埋葬のうち25件(6%)と減少,4月19日の週の375件中
163件(43%)に比べると非常に良く減少しています。
・ ギニアビサウ近傍のボケ県で最近の流行が発生したため、同国から対策チームが入国者の評価を目的
として国境に配備されています。国境を越えた接触者の追跡を確実にするために、ボケ州で葬儀に立ち
会ったあと同国の漁村に戻った人の追跡調査を実施中です。
・ シエラレオネの3人の確定例は、首都フリータウン(2人)、ポート・ロコ(1人)から報告されました。
フリータウンでは患者は人口の密集した近隣2地区(クロ-タウン及び350地区)から発生しています。
いずれもモア・ワーフ地区で発生している伝播の連鎖と関連した患者です。患者の1人は発症後自ら隔
離され近隣のエボラ治療センターへ転送されていました。もう一人の患者はモア・ワーフ地区での以前
の患者と接触のある高リスク者で5月15日に発症し、350地区でマラリアとして5月19日に治療を開始
されていました。この症例との接触者追跡調査が実施されており、高リスク者は自主的に隔離されてい
ます。ポルトロコのカフブロム村から報告された患者1名はカンビアの北部からの報告例と繋がってい
ます。数週間前には伝播の中心は存在しましたがカンビアでは5月24日までの10日間には診断確定例は
発生していません。
・ ギニアにおける最後の医療従事者の感染は4月6日に報告されました。流行の開始以降、ギニア、リベ
リア、シエラレオネから合計869人の医療従事者の感染が報告され、うち507人の死亡が報告されまし
た。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて27,013人の
EVD患者が発生しており、11,134人が死亡しています(表1)。5月24日までの7日間に、ギニアでは
9人、シエラレオネでは3人の新たな確定例が報告されました。リベリアでの流行は5月9日に終息しま
した。
・ 診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると15~44歳の成人の
患者数は3~4倍となっています。45歳以上の成人は小児と比べると4~5倍になっています。
・ 医療従事者の感染者数は流行3か国で合計869人となっており、うち507人が死亡しています。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
* 最後の確定例が埋葬されて42日が経過した後に、リベリアの流行は終息が宣言されました。現在、3か
月の高警戒期間に入っています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ
深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
・ 5月12日、WHOはイタリアにおけるEVD確定例の報告を受けました。患者はボランティア活動を行
っていた医療従事者で、5月7日にシエラレオネからイタリアに帰国しました。5月10日に発症して、
5月11日にサルデーニャ島のサッサリ病院の感染症病棟に搬送されました。5月12日に臨床検体が
EVD陽性と確認され、患者はローマの国立感染症研究所へ隔離移送されました。最後のフライト後の
72時間を経過して発症したため、飛行機の同乗者に対する接触者追跡調査は必要ないと考えています。
現在、合計13人の接触者が健康監視されており、いずれもリスクの高い暴露はなかったと考えられてい
ます。
・ 5月9日、リベリアにおけるEVD流行は終息が宣言されました。過去に広範囲に及ぶ深刻な感染伝播
が発生した国は新たな確定例を認めず、最後の確定例を3月28日に埋葬して42日が経過しました。
現在、3か月間の高警戒期間に入っています。5月24日末の週に、1日平均25検体が検査され、すべて
EVD陰性が確認されました。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 27 May 2015
http://apps.who.int/ebola/en/current-situation/ebola-situation-report-27-may-2015
要約
・ 5月24日末の週に、ギニアとシエラレオネから12人の確定例が報告されました。ギニアから9人、シ
エラレオネから3人となっています。1人以上の確定例が発生した地域数も合計5地区(ギニア3地区、シ
エラレオネ2地区)となっており、前週は6地区(ギニア3地区、シエラレオネ3地区)となっていました。
西ギニアのフォレカリア県で最も症例が多く、対策が進行中ですが4つの郡で複数の感染連鎖が有り、
また感染源が不明な患者も発生しています。
・ ギニアの症例はドゥブレカ3人、フォレカリア5人,ギニアビサウとの国境にあるボケ1人となっていま
す。前週と同様、ボケとドゥブレカではカムサールとタネネに集中しています。フォレカリアの5人は
4ヶ所の異なる地域からの報告です。5月19日には4日間の症例発見と注意喚起のキャンペーンが終了し
ました。その間症例発見と社会的動員のために訓練された集学的チームが8,023件の家々を訪れ
38,557人の住民を指導しました。
・ ギニアにおける9人の患者のうち7人は確定患者との接触があった例ですがフォレカリアの1人は伝播
経路が不明であり、もう1例は登録歴のない患者からの感染でしたが調査の結果フォレカリアの既知の
感染連鎖との繋がりが判明しました。伝播経路の不明な1人は病院外で死亡し、死後検査で診断が確定
したギニアの3人のうちの1人です。安全でない埋葬がこの週に13件報告されており、335件の埋葬の
うちの4%に相当します。前週の386件の埋葬のうち25件(6%)と減少,4月19日の週の375件中
163件(43%)に比べると非常に良く減少しています。
・ ギニアビサウ近傍のボケ県で最近の流行が発生したため、同国から対策チームが入国者の評価を目的
として国境に配備されています。国境を越えた接触者の追跡を確実にするために、ボケ州で葬儀に立ち
会ったあと同国の漁村に戻った人の追跡調査を実施中です。
・ シエラレオネの3人の確定例は、首都フリータウン(2人)、ポート・ロコ(1人)から報告されました。
フリータウンでは患者は人口の密集した近隣2地区(クロ-タウン及び350地区)から発生しています。
いずれもモア・ワーフ地区で発生している伝播の連鎖と関連した患者です。患者の1人は発症後自ら隔
離され近隣のエボラ治療センターへ転送されていました。もう一人の患者はモア・ワーフ地区での以前
の患者と接触のある高リスク者で5月15日に発症し、350地区でマラリアとして5月19日に治療を開始
されていました。この症例との接触者追跡調査が実施されており、高リスク者は自主的に隔離されてい
ます。ポルトロコのカフブロム村から報告された患者1名はカンビアの北部からの報告例と繋がってい
ます。数週間前には伝播の中心は存在しましたがカンビアでは5月24日までの10日間には診断確定例は
発生していません。
・ ギニアにおける最後の医療従事者の感染は4月6日に報告されました。流行の開始以降、ギニア、リベ
リア、シエラレオネから合計869人の医療従事者の感染が報告され、うち507人の死亡が報告されまし
た。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて27,013人の
EVD患者が発生しており、11,134人が死亡しています(表1)。5月24日までの7日間に、ギニアでは
9人、シエラレオネでは3人の新たな確定例が報告されました。リベリアでの流行は5月9日に終息しま
した。
・ 診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると15~44歳の成人の
患者数は3~4倍となっています。45歳以上の成人は小児と比べると4~5倍になっています。
・ 医療従事者の感染者数は流行3か国で合計869人となっており、うち507人が死亡しています。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,210 |
43 |
2,001 |
可能性例 |
419 |
未報告 |
419 |
|
疑い例 |
12 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
3,641 |
43 |
2,420 |
|
リベリア* |
確定例 |
3,151 |
0 |
データなし |
可能性例 |
1,879 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
5,636 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
10,666 |
0 |
4,806 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,608 |
13 |
3,542 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
3,811 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
12,632 |
13 |
3,908 |
|
総数 |
確定例 |
14,957 |
62 |
データなし |
可能性例 |
2,585 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
9,391 |
未報告 |
データなし |
|
総数 |
27,013 |
56 |
11,134 |
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
* 最後の確定例が埋葬されて42日が経過した後に、リベリアの流行は終息が宣言されました。現在、3か
月の高警戒期間に入っています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,546 |
1,657 |
497 |
1,833 |
828 |
(28) |
(31) |
(11) |
(39) |
(53) |
|
リベリア |
1,911 |
1,838 |
561 |
2,060 |
703 |
(96) |
(93) |
(33) |
(121) |
(132) |
|
シエラレオネ |
4,641 |
4,948 |
1,904 |
5,454 |
2,062 |
(163) |
(171) |
(79) |
(211) |
(279) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ
深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
・ 5月12日、WHOはイタリアにおけるEVD確定例の報告を受けました。患者はボランティア活動を行
っていた医療従事者で、5月7日にシエラレオネからイタリアに帰国しました。5月10日に発症して、
5月11日にサルデーニャ島のサッサリ病院の感染症病棟に搬送されました。5月12日に臨床検体が
EVD陽性と確認され、患者はローマの国立感染症研究所へ隔離移送されました。最後のフライト後の
72時間を経過して発症したため、飛行機の同乗者に対する接触者追跡調査は必要ないと考えています。
現在、合計13人の接触者が健康監視されており、いずれもリスクの高い暴露はなかったと考えられてい
ます。
・ 5月9日、リベリアにおけるEVD流行は終息が宣言されました。過去に広範囲に及ぶ深刻な感染伝播
が発生した国は新たな確定例を認めず、最後の確定例を3月28日に埋葬して42日が経過しました。
現在、3か月間の高警戒期間に入っています。5月24日末の週に、1日平均25検体が検査され、すべて
EVD陰性が確認されました。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 27 May 2015
http://apps.who.int/ebola/en/current-situation/ebola-situation-report-27-may-2015