(No.71)

米国におけるラッサ熱発生例
平成27年5月28日更新

 2015年5月25日、米国の疾病予防管理センター(CDC)とニュージャージー州の保健省は、WHO(世界保健機関)に対して、ラッサ熱の死亡例を報告しました。この症例は、リベリアから米国への帰国者で、5月25日に診断されました。

 症例の詳細は以下の通りです。
 患者は、5月17日にリベリアからモロッコ経由でJFK空港(ニューヨーク市)に帰国しました。リベリアからの渡航中に発熱はなく、飛行中の症状(下痢、嘔吐、出血など)の報告もなく、米国に到着した時も発熱はありませんでした。18日に咽頭痛、発熱、倦怠感を発症して、ニュージャージー州の病院を受診しました。病院によりますと、患者に最近の渡航歴について尋ねましたが、西アフリカへの旅行については話しませんでした。患者は同日に帰宅しましたが、21日に症状が悪化して病院に戻り、ウイルス性出血熱専門治療センターへ移送されました。24日にCDCに検体が提出され、25日にラッサ熱陽性が検出されました。エボラや他のウイルス性出血熱は陰性でした。患者は25日に死亡しました。

 ラッサ熱は、アレナウイルス科のラッサウイルスによって引き起こされる急性ウイルス性出血疾患です。げっ歯類の排泄物で汚染された食品や家庭用品に接触することにより、ヒトに感染します。この疾患は、西アフリカの一部の地域のげっ歯類で流行しています。適切な感染防御対策が行われていない病院環境では、ヒト-ヒト感染や検査室での感染が起こり得ます。診断と迅速な治療が不可欠です。

【出典】
 WHO, Global Alert and Response (GAR).
 Lassa Fever – United States of America, 28 May 2015
 http://www.who.int/csr/don/28-may-2015-lassa-fever-usa/en/