(No.90)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染症確定例(170)-韓国
2015年6月12日更新

 2015年6月8日から12日までの間に、韓国の国際保健規則担当窓口(IHR)はWHO(世界保健機関)に対して、死亡者6人を含む62人の中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例を報告しました。 

 韓国の流行に関する追加情報です。
 12日現在、死亡者11人を含む126人のMERS-CoV感染確定例が報告されています。126人のうちの1人は、中国で確認された患者で、中国のIHRによって報告されました。
 患者の年齢の中央値は56歳(16歳から84歳まで)です。患者の多くは男性(59%)です。患者のうち10人(7.9%)は医療従事者です。
 12日現在、患者は全員が1つの感染伝播で繋がっており、医療施設が関連しています。保健当局は、感染伝播が発生、もしくはMERS確定患者が診断前に受診した44病院を特定しています。
 韓国と中国の研究者は、現在の流行におけるコロナウイルスの全ゲノム配列を解読しました。解読結果は、WHOが召集したウイルス学者グループによって分析されました。予備分析では、より感染力の強いウイルスが韓国で新興していることは示唆されていません。韓国での急速な流行の拡大は、ほぼ確実に別の原因によるものです。

公衆衛生の対策
 当局は、患者の早期発見と隔離、及び接触者の追跡調査による封じ込め対策を実施しています。12日現在、3,680人の接触者が特定され(3,453人は自宅、227人は施設で健康監視)、1,249人が健康監視を終了しています。現在、多くの接触者が健康監視されているため、少数のさらなる患者の検出は避けられません。
 また、公衆衛生当局は10日、積極的に患者を検出するために、約3,000の医療施設でMERS-CoVのスクリーニングを実施しました。
 韓国-WHOの合同調査団は、情報を取得し、疫学的パターンやウイルスの特徴、臨床的特徴を含めた韓国の状況を確認しています。加えて、公衆衛生の対策について評価し、今後の対応策のための推奨事項を提供します。合同調査は13日に終了します。

 2012年9月以降、WHOには全世界で1,289人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、うち455人が死亡しています。

 WHOは今回の事例に関して、持続的なヒト-ヒト感染の証拠はないため、韓国への渡航や貿易を制限することを推奨していません。

 今回の報告より、韓国におけるMERS-CoV感染確定例の報告は、毎週火曜日と金曜日に更新される予定です。

 【出典】
  WHO, Global Alert and Response (GAR).
  Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Republic of Korea,
  12 June 2015
  http://www.who.int/csr/don/12-june-2015-mers-korea/en/

 ※ 韓国における最新の患者数などは、下記のサイトもご参考ください。
  WHO(英語):
   http://www.wpro.who.int/outbreaks_emergencies/wpro_coronavirus/en/
  韓国保健福祉部(ハングル):
  http://www.mers.go.kr/mers/html/jsp/Menu_B/content_B1.jsp?cid=26740