(No.94)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染症確定例(172)-サウジアラビア
2015年6月16日更新

 2015年6月9日から12日までの間に、サウジアラビアの国際保健規則(IHR)担当窓口はWHO(世界保健機関)に対して、死亡1人を含む3人の中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例を報告しました。

 症例の詳細は以下の通りです。
 1.ホフーフ市在住の77歳男性は5月26日に発症し、MERS-CoV感染を経験していた病院に5月27日
  入院しました。その時MERS-CoV検査のための検体採取は行われませんでした。対症療法をうけ
  5月31日に退院しましたが、6月10日に再発し同日別の病院に入院しました。患者は基礎疾患があり
  6月11日の検査でMERS-CoV陽性で同日死亡しました。発症前14日以内の既知の危険因子への
  曝露歴は調査中です。
 2.ホフーフ市在住の60歳女性は6月2日に発症し6月8日入院しました。患者は基礎疾患があり6月9日
  MERS-CoV検査で陽性でした。5月26日から6月7日の間に娘の見舞いのためMERS-CoV感染患者が
  発生していた病院を訪れていました。患者の娘はMERS-CoV感染とは関連のない疾患で入院しており、
  MERS-CoV感染徴候は認めていません。現在、陰圧室病棟に入院中で安定した状態です。
 3.トゥルバ(Turubah)市在住73才の男性は、5月23日に発症し、6月1日にジェッダ(Jeddah)で
  入院しました。患者は基礎疾患があり6月8日検査でMERS-CoV陽性でした。ラクダとの接触歴は
  ありませんがヒツジとの接触は頻繁にあり生乳を摂取していました。発症前14日以内の他の既知の
  危険因子への曝露歴はありません。現在、ICUに入院中で危篤状態です。
 家庭内及び医療従事者で接触した人の追跡調査が実施されています。

 サウジアラビアのIHR 担当窓口は、WHOに以前に報告したMERS-CoV感染患者2人の死亡を通知しました。(6月11日更新・既報169)

 2012年9月以降、WHOには全世界で1,292人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、うち458人が関連死しています。

 【出典】
  WHO, Global Alert and Response (GAR).
  Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Saudi Arabia,
  16 June 2015
  http://www.who.int/csr/don/16-june-2015-mers-saudi-arabia/en/