エボラ出血熱の流行状況44
平成27年6月17日更新
2015年6月17日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 6月14日までの1週間でギニアでは4県(ボケ、コナクリ、デュブレカ、フォレカリア)から10人、
シエラレオネでは2地区(カンビア、ポートロコ)から14人の計24人(前週27人)の新たな確定例が
報告されています。
・ ギニアとシエラレオネでは、6月14日までの21日間に合計76人が報告されました。ギニアの3県
(ボケ、デュブレカ、フォレカリア)とシエラレオネの2地区(カンビア、ポートロコ)から69人
(91%)が報告されています。69人中55人は接触者追跡調査中でした。この症例は感染の危険因子と
なりますが、ほとんどの場合はリスクを十分に理解した上で対処しています。しかし、69人中14人は
感染源が特定されておらず、うち7人中5人は同時期に別の県や地区から報告されており、多数の
高リスクの接触と関連し、何人かは追跡調査できていません。このようなリスクをなくすために、
効果的なリスク管理を実施します。ギニアとシエラレオネの両国で監視の強化が導入されています。
・)ギニアの ボケとコワイヤ西部県では健康チェックポイントが設置されています。 6月7日からの
6日間、デュブレカで患者発見および戸別訪問キャンペーンを実施し、1人の確定例を発見しました。
過去2週間にギニアの首都コナクリから報告された3人と関連のあるリスクの高い接触者の追跡調査は
進行中です。3人は全て首都以外で感染しています。
・)シエラレオネのカンビアおよびポートロコでは、過去2か月間の患者・接触者・死体の水面下での
移動をなくすために大規模な事業が計画されています。事業内容は、接触者の識別と追跡基準の
拡大、検疫措置に対する遵守、適切な報告の促進、患者の隔離、迅速診断キットの使用拡大となって
います。
・ 6月14日時点で、ギニア8県から1,927人、シエラレオネの3地区から443人の接触者が健康監視されて
います。ギニアでは6月14日までの1週間に660人分の検体検査が実施され4%が陽性でした。同時期の
シエラレオネでは、1787人分の検体検査が実施され陽性率は1%未満でした。
・ ギニアでは6月14日までの1週間に、安全でない埋葬が15例報告されています。357件の埋葬の
うちの4%に相当します。シエラレオネでは6月7日までの1週間に、安全でない埋葬が1例報告されて
います。
・ ギニアでは4月6日に、シエラレオネでは5月14日に最後の医療従事者の感染が報告されました。
しかし今週、シエラレオネのポートロコTargrin地区から他の確定患者と同じ医療施設で治療を受けた
後に感染した症例が報告されました。同じ施設で治療を受けた多くの患者に加え、症例と直接または
間接的に接触した20人の医療従事者は中~高リスク接触者として、感染の発生源となる可能性が非常に
高くなります。流行の発生以来、ギニア、リベリア、シエラレオネから869人の医療従事者の感染が
報告されています。うち、507人が死亡しています。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、EVD患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が
合計27,305人、うち死亡者は11,169人となりました(多くの患者の結果は不明ですが、この総計には
可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者を含みます)(表1)。6月14日までの
7日間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで10人、シエラレオネで14人でした。リベリアでは
5月9日に流行の終息が宣言されました。
・ 確定患者の数はおよそ男女同数となっています(表2)。患者発生数を15歳未満の小児と比較した
とき、15歳から44歳までの成人では約3倍から4倍感染しやすく、45歳以上の成人では子どもよりも
4倍から5倍感染しやすいようです。
・ ギニア、リベリア、シエラレオネから869人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、
507人が亡くなっています。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
* 最後の確定例が埋葬されて42日が経過した後に、リベリアの流行は終息が宣言されました。現在、
3か月の高警戒期間に入っています。
**6月7日末週にフォレカリアから1人とキンディアから3人が報告されましたが検査の結果が疑陽性で
あり削除しています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ
深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
・ 5月12日、WHOはイタリアにおけるEVD確定例の報告を受けました。患者はボランティア活動を
行っていた医療従事者で、5月7日にシエラレオネからイタリアに帰国しました。5月10日に発症して、
5月11日にサルデーニャ島のサッサリ病院の感染症病棟に搬送されました。5月12日に臨床検体が
EVD陽性と確認され、患者はローマの国立感染症研究所へ隔離移送されました。現在、合計19人の
接触者が6月9日にEVD陰性が確認されており、21日間の健康監視を終えました。
・ 5月9日、リベリアにおけるEVD流行は終息が宣言されました。過去に広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が
発生しましたが、新たな確定例を認めず、最後の確定例を3月28日に埋葬して42日以上が経過しま
した。現在、3か月間の高警戒期間に入っています。6月14日までの1週間に、1日平均31検体が
検査されました。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 17 June 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-17-june-2015
要約
・ 6月14日までの1週間でギニアでは4県(ボケ、コナクリ、デュブレカ、フォレカリア)から10人、
シエラレオネでは2地区(カンビア、ポートロコ)から14人の計24人(前週27人)の新たな確定例が
報告されています。
・ ギニアとシエラレオネでは、6月14日までの21日間に合計76人が報告されました。ギニアの3県
(ボケ、デュブレカ、フォレカリア)とシエラレオネの2地区(カンビア、ポートロコ)から69人
(91%)が報告されています。69人中55人は接触者追跡調査中でした。この症例は感染の危険因子と
なりますが、ほとんどの場合はリスクを十分に理解した上で対処しています。しかし、69人中14人は
感染源が特定されておらず、うち7人中5人は同時期に別の県や地区から報告されており、多数の
高リスクの接触と関連し、何人かは追跡調査できていません。このようなリスクをなくすために、
効果的なリスク管理を実施します。ギニアとシエラレオネの両国で監視の強化が導入されています。
・)ギニアの ボケとコワイヤ西部県では健康チェックポイントが設置されています。 6月7日からの
6日間、デュブレカで患者発見および戸別訪問キャンペーンを実施し、1人の確定例を発見しました。
過去2週間にギニアの首都コナクリから報告された3人と関連のあるリスクの高い接触者の追跡調査は
進行中です。3人は全て首都以外で感染しています。
・)シエラレオネのカンビアおよびポートロコでは、過去2か月間の患者・接触者・死体の水面下での
移動をなくすために大規模な事業が計画されています。事業内容は、接触者の識別と追跡基準の
拡大、検疫措置に対する遵守、適切な報告の促進、患者の隔離、迅速診断キットの使用拡大となって
います。
・ 6月14日時点で、ギニア8県から1,927人、シエラレオネの3地区から443人の接触者が健康監視されて
います。ギニアでは6月14日までの1週間に660人分の検体検査が実施され4%が陽性でした。同時期の
シエラレオネでは、1787人分の検体検査が実施され陽性率は1%未満でした。
・ ギニアでは6月14日までの1週間に、安全でない埋葬が15例報告されています。357件の埋葬の
うちの4%に相当します。シエラレオネでは6月7日までの1週間に、安全でない埋葬が1例報告されて
います。
・ ギニアでは4月6日に、シエラレオネでは5月14日に最後の医療従事者の感染が報告されました。
しかし今週、シエラレオネのポートロコTargrin地区から他の確定患者と同じ医療施設で治療を受けた
後に感染した症例が報告されました。同じ施設で治療を受けた多くの患者に加え、症例と直接または
間接的に接触した20人の医療従事者は中~高リスク接触者として、感染の発生源となる可能性が非常に
高くなります。流行の発生以来、ギニア、リベリア、シエラレオネから869人の医療従事者の感染が
報告されています。うち、507人が死亡しています。
1.広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ ギニア、リベリア、シエラレオネでは、EVD患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が
合計27,305人、うち死亡者は11,169人となりました(多くの患者の結果は不明ですが、この総計には
可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者を含みます)(表1)。6月14日までの
7日間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで10人、シエラレオネで14人でした。リベリアでは
5月9日に流行の終息が宣言されました。
・ 確定患者の数はおよそ男女同数となっています(表2)。患者発生数を15歳未満の小児と比較した
とき、15歳から44歳までの成人では約3倍から4倍感染しやすく、45歳以上の成人では子どもよりも
4倍から5倍感染しやすいようです。
・ ギニア、リベリア、シエラレオネから869人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、
507人が亡くなっています。
表1.ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,245** |
35 |
2,025 |
可能性例 |
419 |
未報告 |
419 |
|
疑い例 |
12 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
3,674** |
35 |
2,444 |
|
リベリア* |
確定例 |
3,151 |
0 |
データなし |
可能性例 |
1,879 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
5,636 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
10,666 |
0 |
4,806 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,649 |
41 |
3,553 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
4,029 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
12,965 |
41 |
3,919 |
|
総数 |
確定例 |
15,045 |
76 |
データなし |
可能性例 |
2,585 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
9,675 |
未報告 |
データなし |
|
総数 |
27,305 |
76 |
11,169 |
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
* 最後の確定例が埋葬されて42日が経過した後に、リベリアの流行は終息が宣言されました。現在、
3か月の高警戒期間に入っています。
**6月7日末週にフォレカリアから1人とキンディアから3人が報告されましたが検査の結果が疑陽性で
あり削除しています。
表2.ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,559 |
1,685 |
505 |
1,854 |
840 |
(29) |
(31) |
(11) |
(40) |
(54) |
|
リベリア |
1,911 |
1,838 |
561 |
2,060 |
703 |
(96) |
(93) |
(33) |
(121) |
(132) |
|
シエラレオネ |
4,742 |
5,026 |
1,954 |
5,535 |
2,105 |
(166) |
(173) |
(81) |
(214) |
(285) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
2.初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
・ マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ
深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
・ 5月12日、WHOはイタリアにおけるEVD確定例の報告を受けました。患者はボランティア活動を
行っていた医療従事者で、5月7日にシエラレオネからイタリアに帰国しました。5月10日に発症して、
5月11日にサルデーニャ島のサッサリ病院の感染症病棟に搬送されました。5月12日に臨床検体が
EVD陽性と確認され、患者はローマの国立感染症研究所へ隔離移送されました。現在、合計19人の
接触者が6月9日にEVD陰性が確認されており、21日間の健康監視を終えました。
・ 5月9日、リベリアにおけるEVD流行は終息が宣言されました。過去に広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が
発生しましたが、新たな確定例を認めず、最後の確定例を3月28日に埋葬して42日以上が経過しま
した。現在、3か月間の高警戒期間に入っています。6月14日までの1週間に、1日平均31検体が
検査されました。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 17 June 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-17-june-2015