(No.99)

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染症確定例(176)- サウジアラビア
2015年6月23日更新

 2015年6月13日~17日の間にサウジアラビアの国際保健規則(IHR)担当窓口は世界保健機関(WHO)
に対して5人のMERS-CoV感染診断確定例を報告しました。

 症例の詳細は以下の通りです。
 1.フフーフ在住の28歳男性は6月2日に発症しました。患者はMERS-CoVのアウトブレイクのあった
  病院の管理スタッフです。発症以後自宅に隔離されていましたが症状の悪化に伴い、6月14日に入院と
  なりました。患者には治療中の疾患がありMERS-Co Vの検査は6月15日陽性となりました。患者の
  勤務していた病院でのMERS-CoV患者との疫学的な繋がりや発症前2週間における他の危険因子への
  曝露歴については調査中です。現在患者は陰圧室に収容されており,状態は安定しています。
 2.フフーフ在住の69歳女性は6月12日に発症し,翌日入院となりました。
  患者には基礎疾患があり、6月14日の検査でMERS-CoV陽性となりました。患者は頻繁にMERS-CoVの
  発生した病院を訪れていました。医療従事者や当該病院に入院していたMERSの患者との接触歴、
  発症前2週間以内での他の危険因子への曝露歴は調査中です。現在患者は病棟の陰圧室に隔離されて
  おり、安定した状態です。
 3.フフーフ在住の54歳の女性は6月5日に発症し、6月12日にMERS-CoVのアウトブレイクのあった
  病院に入院しました。患者には基礎疾患があり、6月13日の検査でMERS-CoV陽性となりました。
  既知の危険因子への発症前2週間以内の曝露歴については調査中です。現在患者は病棟の陰圧室に
  隔離されており、状態は安定しています。
 4.フリマラ市の46歳男性は6月9日に発症し、12日に入院しました。患者は基礎疾患を有しており、
  12日の検査でMERS-CoV陽性となりました。患者にはラクダとの接触歴があり、ラクダの生乳を
  喫食歴がありますが発症前2週間以内に他の既知の危険因子への曝露歴はありませんでした。
  現在患者は病棟の陰圧室に収容されており、安定した状態です。
 5.フフーフ在住の55歳女性は5月23日に発症し、5月25日に入院となっています。患者には基礎疾患が
  あり、6月12日の検査でMERS-CoV陽性となっています。4月18日~5月17日にかけてMERS-CoVの
  アウトブレイクのあった医療施設に入院していました。さらに5月20日には同施設に通院しています。
  MERS-CoV患者や医療従事者と入院中に接触があったかどうか,また他の既知の危険因子への曝露が
  あったかどうか調査中です。患者は現在集中治療室に収容されており、重篤な状態です。
 家庭と医療機関でのこれらの患者の接触歴については調査中です。

 サウジアラビアのIHR担当窓口はWHOに対して報告済みの患者5人が死亡したことを報告しています。
 これらの患者は既報172の3番目の患者、既報169の2.3番目の患者、既報165の3.4番目の患者です。

 2012年9月から現在までにWHOには1,339人のMERS-CoV診断確定患者と、少なくとも476人の関連死が報告されています。


 【出典】
  WHO, Global Alert and Response (GAR).
  Middle East Respiratory Syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Saudi Arabia,
  23 June 2015
  http://www.who.int/csr/don/23-june-2015-mers-saudi-arabia/en/