(No.103)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染症確定例(179)- 韓国 
平成27年6月26日更新


 2015年6月24日から26日までの間に、韓国の国際保健規則(IHR)担当窓口はWHO(世界保健機関)に
対して、死亡者4人を含む6人の中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例を報告しました。 

韓国での流行状況 
 2015年6月24日から26日までの間に、韓国の国際保健規則(IHR)担当窓口はWHO(世界保健機関)に
対して、死亡者4人を含む6人の中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例を報告しました。 
 現在、死亡者31人を含む181人のMERS-CoV感染確定例が報告されています。181人のうちの1人は、中国で確認された患者で、中国のIHRによって報告されました。
 患者の年齢の中央値は55歳(16歳から87歳)です。患者の多くは男性(61%)です。患者のうち25人(14%)は医療従事者です。現在、最初の患者を除いて全ての患者が1つの感染伝播で繋がっており、医療施設が
関連しています。
 韓国政府のMERS-CoV感染症例に関する詳細な情報は、他の文書(リンクを参照)で見ることができます。

公衆衛生の対策
 韓国政府は、患者と接触者の管理体制の強化を継続しています。26日現在、2,931人の接触者が
健康監視下にあり、12,203人の接触者が健康監視を終了しています。

世界での発生状況
 2012年9月以降、WHOには全世界で1,356人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、
うち484人が関連死しています。

WHO推奨 
 現在の状況と入手可能な情報に基づいて、WHOは全ての加盟国に対して急性呼吸器感染症への監視を継続することと、通常とは異なる呼吸器感染症について注意深く調査するように勧めています。
 医療施設でMERS-CoVが拡がる可能性を押さえるには、感染予防および管理方法が重要です。他の呼吸器感染症と同様に、MERS-CoVの初期症状は非特異的なため、早い時期に患者をMERS-CoVであると診断することは常にできるものではありません。したがって、医療従事者は、診断にかかわらず、すべての患者に
対して常に一貫した標準予防策を適用する必要があります。急性呼吸器感染症の兆候を呈している患者を
治療する場合には、標準予防策に加えて飛沫予防策を行うべきです。また、MERS-CoV感染の可能性がある症例、あるいは確診症例を治療する場合には、接触予防策および目の防護策を追加すべきです。さらに、
エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気感染の予防策を行う必要があります。
 今後、MERS-CoVに関して解明が進むまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫不全のある人は、
MERS‐CoV感染で重篤化するリスクが高いと考えられます。必ず手洗いを行い、病人との接触を避ける
という、一般的な衛生手順を厳守すべきです。 
 WHOは注意深く状況を監視しています。WHOは今回の事例に関して、持続的なヒト-ヒト感染の証拠は
ないため、韓国への渡航や貿易を制限することを推奨していません。影響を受けた国を往き来する旅行者の間でMERS-CoVの認識を上げることは、公衆衛生事業として良いことです。
 大規模な集会を予定している主催国の公衆衛生当局は、WHOが発行しているMERS-CoVに関しての勧告とガイダンスが必ず適切に参照され、これらが関係者全てに確実に周知できるようにしなければなりません。
また、公衆衛生当局は大規模な集会への訪問者が保健システムによって対応できるように最大の収容人数に
備えて計画しなければなりません。
 韓国でのMERS-CoVに関する緊急流行発生ニュース(Disease Outbreak News:DONs)を週2回(基本は火曜日と金曜日)発信することにしています。このニュースでは、個々の患者の詳細に焦点を当てるのでは
なく、流行の発生状況の展開と疫学的な傾向に焦点を当てていきます。

【出典】
 WHO, Global Alert and Response (GAR).
 Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Republic of Korea,
 26 June 2015
http://www.who.int/csr/don/26-june-2015-mers-korea/en/

 ※ 韓国における最新の患者数などは、下記のWHOのサイトをご参考ください。
 WHO(英語): http://www.wpro.who.int/outbreaks_emergencies/wpro_coronavirus/en/
 韓国保健福祉部(ハングル):
http://www.mers.go.kr/mers/html/jsp/Menu_B/content_B1.jsp?cid=26740