エボラ出血熱の流行状況46
平成27年7月1日更新
2015年7月01日、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱(EVD)の流行状況を更新しました。
要約
・ 6月28日末の週に、ギニアとシエラレオネから計20人のEVD確定例が報告されました(前週も20人)。
過去5週間連続して患者数が20人から27人の間で推移していますが、感染源不明の患者やコミュニティ内の死後の検査で確認される患者が発生し続けています。ギニアでは、患者12人が前週と同じ3県(ボケ、コナクリ、フォレカリア)から報告され前週と同じ県からの発生です。シエラレオネでは、患者8人が3地区(カンビア、ポート・ロコ、フリータウン)から報告されました。さらなる感染危険性を生む死後感染判明例の一定の割合と共に、接触者のモニターと追跡調査の困難な状況が感染を終わらせるための対策を阻んでいます。
・6月29日にルーチンの調査でリベリアのマージビ郡でEVDの確定例が見つかっており、同国では3月20日
以来の新規発生となります。患者は17歳の男性で6月21日に発病しています。地域の医療施設でマラリアとして治療され、退院となっています。6月28日に死亡し、同日に安全な埋葬がなされています。埋葬前に
採取された口腔拭い液の検査で2回EVD陽性となっています。102人の接触者が同定されていますが今後調査が進むに連れて、数は増える予定です。現時点で感染源は不明です。患者には最近の旅行歴や汚染地域からの来訪者との接触歴、葬儀への出席歴などはありません。
・前週に報告されているギニアの3県では過去4週間かそれ以上の期間に渡り、患者発生報国が持続していますが発生の地域や感染源については変動しています。 ギニアビサウの国境近傍のボケ県では、10人の患者の内
9人は登録されている接触者でした。残りの1人は沿岸地域のカミサールでの発生で医療従事者であったためハイリスク接触数を相当増加かせることになりました。今回コナクリから報告のあった1例は同市のディクサンヌ地区からの発生であり、感染源は判明していません。同地区はマタム、マトトについでコナクリで
過去4週間に報告された3番目の地域となります。他の患者はフォレカリア県からの発生で感染伝播の
繋がりが判明しています。
・シエラレオネの感染伝播は、カンビアとポート・ロコのいくつかの首長支配地域、首都フリータウン近傍の1地域に集中しています。 8人中4人の患者は市街の人口密集地域であるマガジン・ワーフ地区で発生
しており、前週報告した地域の患者との疫学的な関連がありますが、元になった患者の感染源については
いまだ判明していません。カンビアから報告された2人の患者はトンコリンバ首長支配地域で検疫下にある
家屋から発生しています。あと2人の患者はポート・ロコの2か所の首長支配地域からの発生です。
マシメラの首長支配地域から報告された1人はマガジン・ワーフ地区での感染伝播と繋がりがあります。
・ギニアから報告された12人の患者のうち10人、シエラレオネから報告された8人の患者のうち4人だけが、以前の患者との接触者で登録されていました。20人の患者のうち5人は、コミュニティ内の死後の検査で
確認されました。
・ボケから2週連続で医療従事者2人の新たな感染が報告されましたがシエラレオネでは、新たな感染が
報告はありませんでした。流行が始まって以来、ギニア、リベリア、シエラレオネから医療従事者874人の
感染が報告されており、うち509人が死亡しています。
1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて27,443人のEVD患者が発生しており、11,220人が死亡(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の高い患者
および疑い患者から報告された死亡者を含む)しています(表1)。6月28日までの7日間に、ギニアでは12人、シエラレオネでは8人の新たな確定例が報告されました。
*診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると、15~44歳の成人は
ギニアとリベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。
*医療従事者の感染者数は流行3か国で合計874人となっており、うち509人が死亡しています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
2. 初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
5月12日、WHOはイタリアにおけるEVD確定例の報告を受けました。患者はボランティア活動を行って
いた医療従事者で、5月7日にシエラレオネからイタリアに帰国しました。2015年6月9日に検査で陰性が
確認され、翌日退院しています。現在、19人の接触者全員が21日間の健康監視を終了しています。
6月29日にルーチンサーベイランスにより、リベリアではマージビ郡で患者が発見されていますが今年
3月20日以来初めての患者となります。患者は17歳の男性で6月21日に発症しています。地域の医療機関で
マラリアの診断を受け、退院となっています。6月28日に死亡し、同日安全な埋葬をされています。埋葬前に採取された口腔の拭い液からEVD陽性となっています。102人の接触者が同定されていますが調査が進むに
連れて人数は増加すると予測されています。現在のところ感染源は判っていません。患者には海外渡航歴や、流行地域からの渡航者との接触歴、葬儀への出席歴などはありません。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 1 July 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-01-july-2015
要約
・ 6月28日末の週に、ギニアとシエラレオネから計20人のEVD確定例が報告されました(前週も20人)。
過去5週間連続して患者数が20人から27人の間で推移していますが、感染源不明の患者やコミュニティ内の死後の検査で確認される患者が発生し続けています。ギニアでは、患者12人が前週と同じ3県(ボケ、コナクリ、フォレカリア)から報告され前週と同じ県からの発生です。シエラレオネでは、患者8人が3地区(カンビア、ポート・ロコ、フリータウン)から報告されました。さらなる感染危険性を生む死後感染判明例の一定の割合と共に、接触者のモニターと追跡調査の困難な状況が感染を終わらせるための対策を阻んでいます。
・6月29日にルーチンの調査でリベリアのマージビ郡でEVDの確定例が見つかっており、同国では3月20日
以来の新規発生となります。患者は17歳の男性で6月21日に発病しています。地域の医療施設でマラリアとして治療され、退院となっています。6月28日に死亡し、同日に安全な埋葬がなされています。埋葬前に
採取された口腔拭い液の検査で2回EVD陽性となっています。102人の接触者が同定されていますが今後調査が進むに連れて、数は増える予定です。現時点で感染源は不明です。患者には最近の旅行歴や汚染地域からの来訪者との接触歴、葬儀への出席歴などはありません。
・前週に報告されているギニアの3県では過去4週間かそれ以上の期間に渡り、患者発生報国が持続していますが発生の地域や感染源については変動しています。 ギニアビサウの国境近傍のボケ県では、10人の患者の内
9人は登録されている接触者でした。残りの1人は沿岸地域のカミサールでの発生で医療従事者であったためハイリスク接触数を相当増加かせることになりました。今回コナクリから報告のあった1例は同市のディクサンヌ地区からの発生であり、感染源は判明していません。同地区はマタム、マトトについでコナクリで
過去4週間に報告された3番目の地域となります。他の患者はフォレカリア県からの発生で感染伝播の
繋がりが判明しています。
・シエラレオネの感染伝播は、カンビアとポート・ロコのいくつかの首長支配地域、首都フリータウン近傍の1地域に集中しています。 8人中4人の患者は市街の人口密集地域であるマガジン・ワーフ地区で発生
しており、前週報告した地域の患者との疫学的な関連がありますが、元になった患者の感染源については
いまだ判明していません。カンビアから報告された2人の患者はトンコリンバ首長支配地域で検疫下にある
家屋から発生しています。あと2人の患者はポート・ロコの2か所の首長支配地域からの発生です。
マシメラの首長支配地域から報告された1人はマガジン・ワーフ地区での感染伝播と繋がりがあります。
・ギニアから報告された12人の患者のうち10人、シエラレオネから報告された8人の患者のうち4人だけが、以前の患者との接触者で登録されていました。20人の患者のうち5人は、コミュニティ内の死後の検査で
確認されました。
・ボケから2週連続で医療従事者2人の新たな感染が報告されましたがシエラレオネでは、新たな感染が
報告はありませんでした。流行が始まって以来、ギニア、リベリア、シエラレオネから医療従事者874人の
感染が報告されており、うち509人が死亡しています。
1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて27,443人のEVD患者が発生しており、11,220人が死亡(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の高い患者
および疑い患者から報告された死亡者を含む)しています(表1)。6月28日までの7日間に、ギニアでは12人、シエラレオネでは8人の新たな確定例が報告されました。
*診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると、15~44歳の成人は
ギニアとリベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。
*医療従事者の感染者数は流行3か国で合計874人となっており、うち509人が死亡しています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,269 |
34 |
2,039 |
可能性例 |
443 |
未報告 |
443 |
|
疑い例 |
17 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
3,729 |
34 |
2,482 |
|
リベリア |
確定例 |
3,151 |
0 |
データなし |
可能性例 |
1,879 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
5,636 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
10,666 |
0 |
4,806 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,665 |
30 |
3,566 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
4,167 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
13,119 |
30 |
3,932 |
|
総数 |
確定例 |
15,085 |
64 |
データなし |
可能性例 |
2,609 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
9,769 |
未報告 |
データなし |
|
総数 |
27,514 |
64 |
11,220 |
再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,565 |
1,696 |
509 |
1,864 |
843 |
(29) |
(31) |
(11) |
(40) |
(54) |
|
リベリア |
1,911 |
1,838 |
561 |
2,060 |
703 |
(96) |
(93) |
(33) |
(121) |
(132) |
|
シエラレオネ |
4,771 |
5,071 |
1,966 |
5,571 |
2,123 |
(167) |
(175) |
(81) |
(215) |
(287) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
2. 初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
5月12日、WHOはイタリアにおけるEVD確定例の報告を受けました。患者はボランティア活動を行って
いた医療従事者で、5月7日にシエラレオネからイタリアに帰国しました。2015年6月9日に検査で陰性が
確認され、翌日退院しています。現在、19人の接触者全員が21日間の健康監視を終了しています。
6月29日にルーチンサーベイランスにより、リベリアではマージビ郡で患者が発見されていますが今年
3月20日以来初めての患者となります。患者は17歳の男性で6月21日に発症しています。地域の医療機関で
マラリアの診断を受け、退院となっています。6月28日に死亡し、同日安全な埋葬をされています。埋葬前に採取された口腔の拭い液からEVD陽性となっています。102人の接触者が同定されていますが調査が進むに
連れて人数は増加すると予測されています。現在のところ感染源は判っていません。患者には海外渡航歴や、流行地域からの渡航者との接触歴、葬儀への出席歴などはありません。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 1 July 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-01-july-2015