(No.109)

中東呼吸器症候群コロナウイルス感染症確定例(184)- フィリピン 
平成27年7月8日更新

2015年7月6日、フィリピンの国際保健規則(IHR)担当窓口はWHO(世界保健機関)に対して、
中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染確定例を報告しました。 

患者の詳細
 患者は、フィンランド国籍の36歳の男性です。6月10日から18日までの間にサウジアラビアを旅行して、リヤド、ジェッダ、ダンマンに滞在しました。サウジアラビアへ旅行する前に咳の症状がありましたが、
サウジアラビアに滞在している間に体調不良はなく、医師の診察を受けていませんでした。発症前14日以内の既知の危険因子との曝露歴については調査中です。
 6月18日にサウジアラビアを出国して、アラブ首長国連邦のドバイで一晩滞在した後、6月19日に
フィリピンのマニラを訪れました。サウジアラビアを出国した時は無症状でした。6月20日から22日までの間、マニラのタギッグとマカティに滞在しました。6月23日から24日までの間、マニラからクアラルンプール経由でマレーシアのペナンに渡航しました。6月25日にペナンからシンガポール経由でマニラに
戻りました。マレーシアからシンガポールへ旅行してマニラに戻るまでの間は無症状でした。
 6月30日に発熱と咳を発症して、7月2日に病院を受診して検査を受けましたが、医師の助言に反して
入院はしませんでした。7月3日は自宅に待機して、7月4日に検査結果を聞くために再受診しましたが、
病院は休診日でした。その後、別の病院を受診しました。7月4日にMERS-CoV陽性が確認されたため、
救急車で第三の病院(熱帯医学研究所)へ搬送され、隔離入院となりました。現在、解熱しており容態は
安定しています。

公衆衛生の対策
 フィリピン保健省は、家族と医療従事者の接触者について、積極的な追跡を行っています。
また、シンガポールからマニラへのフライトにおける全ての乗客を積極的に追跡しています。
 サウジアラビアとアラブ首長国連邦の国家当局に通知されており、曝露歴と接触者の調査が
行われています。強化された疾患サーベイランスが実施されています。

世界での発生状況
 2012年9月以降、WHOには全世界で1,367人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、
うち487人が関連死しています。

 WHOは、警戒体制をとりながら発生状況を監視しています。今回の事例に関して、地域住民間で持続的なヒト-ヒト感染の証拠はないため、フィリピンへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。

【出典】
 WHO, Global Alert and Response (GAR).
 Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) –The Philippines,
 8 July 2015
http://www.who.int/csr/don/08-july-2015-mers-philippines/en/