エボラ出血熱の流行状況47
平成27年7月8日更新
要約
・7月5日週末、計30人のEVD確定例が(ギニア18人、リベリア3人、シエラレオネ9人)報告されました。
5月中旬以来、最も多い報告数ですが、症例報告と隔離措置を積極的に行ったことや、症例や接触者の調査の改善を加えたことによって1ヶ月前の症例と比較し、感染経路に関してより理解が得られるようになりました。特にギニアのボケやフォレカリア、シエラレオネのカンビアやポート・ロコのような以前問題があった
地域では、感染源不明の患者の割合(7月5日末の週の30人のうちの5人)が減少しました。フリータウンやコナクリのような人口密度の高い都市部では、未だに罹患者からの感染リスクがあります。一方で
リベリアでの新たな集団感染源がまだ良く分かっていません。
・ギニアでの症例は前週報告されたボケ県、コナクリ県、フォレカリア県の同じ3県から報告されています。最も北部のギニアビサウとの国境地域にあるボケ県では、前週は10人であったのに対し、今週は6人が
報告されています。これらの症例のうち1人を除くすべての患者は登録されている接触者でした。
残る1人の感染源は不明であると報告されています。コナクリで報告された症例は市のマタム自治区から
発生したもので、以前フォレカリア県の副都市であるベンティで発生した症例の接触者と分かっています。フォレカリア県では現在11人の感染が確認されており、うち9人はベンティからの報告です。
フォレカリア県で報告された11人のうち、2人を除く全員が以前報告された症例の接触者か疫学的に繋がりのある者でした。
・リベリアでは42日間連続して新たな症例報告がなかったため、今年5月9日にエボラ流行の終息が宣言されました。現在もなお、国内では高度な警戒態勢が取られ、毎日おおよそ30本の血液検体や口腔スワブ検体が集められ、検査が行われています。6月29日にリベリア、マージビ郡において調査監視内からEVD確定例が
検出され、3月20日以降初めての確定例の報告となりました。患者は17歳男性で6月21日に発症、28日に
死亡したのち、EVD検査を行ったところ陽性でした。また最初に検出された患者と接触のあった2人も
EVD陽性が確定しました。初めに検出された患者と同じ、小さな地域から発生した追加症例の患者は、
首都モンロビアのエボラ治療センター(ETC)で治療をうけています。さらにETC内には感染の可能性のある患者が1人隔離されており、最初の症例と疫学的に強い繋がりがあります。EVDの症状がいくつか現れていますが、検査結果については不確定です。この集団の感染源は現在調査中であり、5月9日以降の症例で
別の流行として考えられています。
・シエラレオネでは前週報告のあったカンビア、ポート・ロコ、首都フリータウンを含む区域の3区域から
9人が報告されています。1/3(3人)がフリータウンの人口密度の高いマガジン・ワーフからの発生と報告されました。3人全員が以前の症例と接触のある登録者です。カンビアの4つの首長支配地域では、各地域で
1人づつEVD確定例が報告されており、隣接する2つの首長支配地域でも同様に報告されています。
1つを除く全ての症例が以前の症例と接触があるか、疫学的な繋がりがあったことが分かっています。
1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて27,573人のEVD患者が発生しており、11,246人が死亡(多くの患者の検査結果不明ですが、可能性の高い患者および疑い患者の
死亡者を含む)しています(表1)。
7月5日までの7日間に、ギニアでは18人、リベリアで3人、シエラレオネでは9人の新たな確定例が報告されました。
・診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると、15~44歳の成人はギニアとリベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。
・7月5日週末、シエラレオネのカンビアで1人の医療従事者の感染が報告されました。医療従事者の感染者数は流行3か国で合計874人となっており、うち509人が死亡しています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
※ 表1のデータは、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は、再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変更される場合があります。
※2リベリアでは2015年5月9日に流行の終息が宣言されました。継続されている調査と患者と死亡者を遡って行う確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。現在、2015年5月9日以降に報告された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した集団発生を構成していると考えられています。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
※ 表2のデータの人口数値は、国連経済社会局に基づいています。
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
§データは5月9日までのものです。
2. 初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
・マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
・5月12日、WHOはイタリアにおけるEVD確定例の報告を受けました。患者はボランティア活動を行っていた医療従事者で、5月7日にシエラレオネからイタリアに帰国しました。2015年6月9日に検査で陰性が確認され、翌日退院しています。現在、19人の接触者全員が21日間の健康監視を終了しています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 8 July 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-8-july-2015
・7月5日週末、計30人のEVD確定例が(ギニア18人、リベリア3人、シエラレオネ9人)報告されました。
5月中旬以来、最も多い報告数ですが、症例報告と隔離措置を積極的に行ったことや、症例や接触者の調査の改善を加えたことによって1ヶ月前の症例と比較し、感染経路に関してより理解が得られるようになりました。特にギニアのボケやフォレカリア、シエラレオネのカンビアやポート・ロコのような以前問題があった
地域では、感染源不明の患者の割合(7月5日末の週の30人のうちの5人)が減少しました。フリータウンやコナクリのような人口密度の高い都市部では、未だに罹患者からの感染リスクがあります。一方で
リベリアでの新たな集団感染源がまだ良く分かっていません。
・ギニアでの症例は前週報告されたボケ県、コナクリ県、フォレカリア県の同じ3県から報告されています。最も北部のギニアビサウとの国境地域にあるボケ県では、前週は10人であったのに対し、今週は6人が
報告されています。これらの症例のうち1人を除くすべての患者は登録されている接触者でした。
残る1人の感染源は不明であると報告されています。コナクリで報告された症例は市のマタム自治区から
発生したもので、以前フォレカリア県の副都市であるベンティで発生した症例の接触者と分かっています。フォレカリア県では現在11人の感染が確認されており、うち9人はベンティからの報告です。
フォレカリア県で報告された11人のうち、2人を除く全員が以前報告された症例の接触者か疫学的に繋がりのある者でした。
・リベリアでは42日間連続して新たな症例報告がなかったため、今年5月9日にエボラ流行の終息が宣言されました。現在もなお、国内では高度な警戒態勢が取られ、毎日おおよそ30本の血液検体や口腔スワブ検体が集められ、検査が行われています。6月29日にリベリア、マージビ郡において調査監視内からEVD確定例が
検出され、3月20日以降初めての確定例の報告となりました。患者は17歳男性で6月21日に発症、28日に
死亡したのち、EVD検査を行ったところ陽性でした。また最初に検出された患者と接触のあった2人も
EVD陽性が確定しました。初めに検出された患者と同じ、小さな地域から発生した追加症例の患者は、
首都モンロビアのエボラ治療センター(ETC)で治療をうけています。さらにETC内には感染の可能性のある患者が1人隔離されており、最初の症例と疫学的に強い繋がりがあります。EVDの症状がいくつか現れていますが、検査結果については不確定です。この集団の感染源は現在調査中であり、5月9日以降の症例で
別の流行として考えられています。
・シエラレオネでは前週報告のあったカンビア、ポート・ロコ、首都フリータウンを含む区域の3区域から
9人が報告されています。1/3(3人)がフリータウンの人口密度の高いマガジン・ワーフからの発生と報告されました。3人全員が以前の症例と接触のある登録者です。カンビアの4つの首長支配地域では、各地域で
1人づつEVD確定例が報告されており、隣接する2つの首長支配地域でも同様に報告されています。
1つを除く全ての症例が以前の症例と接触があるか、疫学的な繋がりがあったことが分かっています。
1. 広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国
・ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、確定例、可能性例、疑い例を合わせて27,573人のEVD患者が発生しており、11,246人が死亡(多くの患者の検査結果不明ですが、可能性の高い患者および疑い患者の
死亡者を含む)しています(表1)。
7月5日までの7日間に、ギニアでは18人、リベリアで3人、シエラレオネでは9人の新たな確定例が報告されました。
・診断確定例と疑い例の男女比はほぼ同じです(表2)。14歳以下の小児と比べると、15~44歳の成人はギニアとリベリアでは4倍感染しやすく、シエラレオネでは3倍感染しやすくなっています。
・7月5日週末、シエラレオネのカンビアで1人の医療従事者の感染が報告されました。医療従事者の感染者数は流行3か国で合計874人となっており、うち509人が死亡しています。
表1. ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるEVD症例数と死亡者数
国名 |
症例定義 |
症例数 |
21日以内の 症例数 |
死亡者数 |
ギニア |
確定例 |
3,287 |
42 |
2,049 |
可能性例 |
450 |
未報告 |
450 |
|
疑い例 |
11 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
3,748 |
42 |
2,499 |
|
リベリア |
確定例 |
3,151 |
0 |
データなし |
可能性例 |
1,879 |
未報告 |
データなし |
|
疑い例 |
5,636 |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
10,666 |
0 |
4,806 |
|
リベリア※2 |
確定例 |
3 |
3 |
1 |
可能性例 |
1 |
1 |
1 |
|
疑い例 |
データなし |
未報告 |
データなし |
|
国別総数 |
4 |
4 |
1 |
|
シエラレオネ |
確定例 |
8,674 |
25 |
3,574 |
可能性例 |
287 |
未報告 |
208 |
|
疑い例 |
4,194 |
未報告 |
158 |
|
国別総数 |
13,155 |
25 |
3,940 |
|
総数 |
確定例 |
15,115 |
70 |
データなし |
可能性例 |
2,617 |
1 |
データなし |
|
疑い例 |
9,841 |
未報告 |
データなし |
|
総数 |
27,573 |
71 |
11,246 |
※2リベリアでは2015年5月9日に流行の終息が宣言されました。継続されている調査と患者と死亡者を遡って行う確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。現在、2015年5月9日以降に報告された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した集団発生を構成していると考えられています。
表2. ギニア、リベリア、シエラレオネの確定例と可能性例における性別・年齢別症例数
国名 |
症例数 |
||||
性別* (人口10万対) |
年齢別♯ (人口10万対) |
||||
男性 |
女性 |
0-14歳 |
15-44歳 |
45歳以上 |
|
ギニア |
1,571 |
1,777 |
515 |
1,869 |
853 |
(29) |
(31) |
(11) |
(40) |
(55) |
|
リベリア§ |
1,911 |
1,838 |
561 |
2,060 |
703 |
(96) |
(93) |
(33) |
(121) |
(132) |
|
シエラレオネ |
4,771 |
5,071 |
1,972 |
5,571 |
2,123 |
(167) |
(175) |
(81) |
(215) |
(287) |
* 性別データがないものは除きます。
♯ 年齢データがないものは除きます。
§データは5月9日までのものです。
2. 初期の症例が発生した国、あるいは局所的な感染伝播が発生した国
・マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、英国、アメリカ合衆国の6か国において、広範囲に及ぶ深刻な感染伝播が発生している国からの輸入例が報告されています。
・5月12日、WHOはイタリアにおけるEVD確定例の報告を受けました。患者はボランティア活動を行っていた医療従事者で、5月7日にシエラレオネからイタリアに帰国しました。2015年6月9日に検査で陰性が確認され、翌日退院しています。現在、19人の接触者全員が21日間の健康監視を終了しています。
【出典】
WHO, Ebola
Ebola Situation Report - 8 July 2015
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-8-july-2015