(No.122)

ニジェールにおける髄膜炎菌性髄膜炎(2)
平成27年7月23日更新

 2015年1月1日から6月28日までの間に、ニジェール保健省は死亡者573人を含む8,500人の髄膜炎菌性
髄膜炎の疑い患者をWHO(世界保健機関)に報告しました。これは、アフリカの髄膜炎ベルト地帯における
髄膜炎菌C型に起因した最大の髄膜炎の流行です。
 
 疑い患者の数は非常に急速に増加して、5月1日から15日までの間に3倍となりました。ニジェールの
13地域において、流行の閾値を超えました。首都で最大の都市であるニアメ州の5地域では、髄膜炎菌性
髄膜炎の疑い患者5,267人と死亡者260人が報告されました。
 この流行は、死亡者132人を含む2,182人の疑い患者が報告された5月4日から10日までの間にピークに
達しました。それ以降、患者数は大幅に減少して、6月22日から28日までの間は、死亡者2人を含む11人の
疑い患者の報告となりました。
 流行地域では、検体検査で主に髄膜炎菌C型が確認されており、陽性検体の12%で髄膜炎菌W型も確認
されています。豊かな国々では、C型が髄膜炎の主な原因となっていましたが、アフリカでは高い関心を
持たれていませんでした。

公衆衛生における対策
 流行への対策のために国家対策本部が設置されました。アメリカ疾病対策センター(CDC)及びWHOから
成る国際調査チームが、保健省の疫学調査を支援して同国のサーベイランスを強化するために派遣され
ました。

 WHOと支援団体は、ニジェール政府が集団予防接種キャンペーンやその他の緊急対策を実施することを
支援しました。流行性髄膜炎コントロールのためのワクチン接種対策の国際調整団体(ICG)は4つのワクチン請求を承認し、髄膜炎菌C型・W型に対する多糖体ワクチン96万5,000人分と、髄膜炎菌A型・C型・Y型・
W型に対する結合ワクチン20万人分を出荷しました。また、ニジェール政府は、マリ政府から髄膜炎菌A型・C型・W型・Y型に対する多糖体ワクチン20万人分の支援を受けました。
 集団予防接種キャンペーンとサーベイランスの強化に加えて、社会的動員と患者管理活動が全流行地で実施されました。これらの措置が発生の制御につながり、現在は全ての地域が流行の閾値を下回っています。

【出典】
 WHO, Global Alert and Response (GAR).
 Meningococcal disease - Niger, 23 July 2015
 http://www.who.int/csr/don/23-july-2015-niger/en/